( 328643 ) 2025/10/01 07:44:51 0 00 ABCテレビ
国際結婚でカナダ国籍を取得したところ、二重国籍を認めない国籍法11条1項により日本国籍を失い、日本のパスポートも発行されなかった大学教授が国を相手に起こした裁判で、大阪地裁は訴えを退けました。 東京都出身で現在は京都市の大学で教授を務める清水裕子さん(60)は、結婚を期に2008年にカナダ国籍を取得し夫とともに移り住みました。 2018年に父親の介護のために帰国することになり、日本のパスポートの更新をしようとカナダの領事館に問い合わせたところ日本で国籍喪失の届けを提出するように言われため、一旦カナダのパスポートで短期滞在で帰国し、東京都内の区役所で手続きをしようとしたところ、「カナダ国籍取得の日にちが記載されていない」という理由で受理されなかったといいます。 京都の大学で勤務することが決まっていた清水さんは入管で事情を説明すると、短期滞在の入国資格をキャンセルするスタンプを押され、2019年に改めて日本のパスポートを申請しました。 しかし外務省から「国籍法11条1項によりカナダ国籍の取得により日本国籍は失われていてパスポートを発給できない」と通知されます。 さらに法務省からは「不法滞在にあたる」と通告されたといい、清水さんは2023年に日本人配偶者の在留資格を、そして2024年に永住権を取得して暮らしています。 清水さんは、外国籍を取得したら日本国籍を失う国籍法11条1項の規定は憲法違反で無効だと主張し、2022年12月、国を相手にパスポートの発給や日本国籍があることの確認を求めて大阪地裁に訴えを起こしていました。 30日の判決で大阪地裁は、「個人が複数の国家に主権を持つ場合、外交保護権の衝突に伴う国家間の摩擦や、別々のパスポートを行使することで入国管理上の弊害が生じたり重婚の恐れがある」とし、「国籍法11条1項の重国籍を可能な限り防止するという理念には合理性がある」と、清水さんの訴えの内、日本のパスポート発給の請求を却下、国籍確認の訴えなどは棄却しました。 判決後に会見を開いた清水さんは、「色々な人が色々な所に行くようになった時代で、国籍の意味が変わってきていると思う。」「裁判所が言う合理的とは何をもって、誰にとって合理的なのか。裁判所の理屈と大きなギャップを感じた」と話しました。 一方で清水さんは、東京や福岡でも同様の訴訟が同じような理由で退けられていることから、控訴はしない方針を明らかにしました。
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