( 328818 ) 2025/10/02 06:13:54 0 00 tkyszk/shutterstock.com
生活保護とは、生活に困っている人に対して国や自治体が最低限の生活費や医療費などを支援する制度です。
2025年10月1日に厚生労働省が公表した調査結果によると、2025年7月時点における生活保護の受給者は199万93人です。
人口に占める受給人数の割合は1.61%となっています。
また、物価上昇や賃金上昇を考慮して、通常の生活保護に加えて特例で月1000円の生活扶助を支給中です。
そして、2025年10月からこの特例措置による支給額はさらに上乗せされます。
本記事では、特例的に給付される生活扶助基準の見直しについて解説します。
生活保護の受給要件や支給額についても説明するので、ぜひ参考にしてみてください。
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生活保護は誰でも申請すれば受給できるわけではありません。受給には要件を満たすことが必要です。
厚生労働省「生活保護制度」によると、生活保護の受給対象者となる要件は以下のとおりとなります。
●生活保護を受けるための要件 ・資産の活用:預貯金、生活に利用されていない土地・家屋等があれば売却等し生活費に充てること ・能力の活用:働くことが可能な人は、その能力に応じて働くこと ・あらゆるものの活用:年金や手当など他の制度で給付を受けることができる場合、まずそれらを活用すること ・扶養義務者の扶養:親族等から援助を受けられる場合、援助を受けること 上記の要件は、生活保護が最後の手段であることを明確にするためのものです。
たとえば、預貯金が100万円残っている人が「お金が足りない」と言って生活保護を申請しても、まずはその預貯金を生活費に使うよう求められます。
また、健康で働けるのに就労せずに生活保護に頼ろうとする場合も認められません。
さらに、年金や児童手当といった既存の制度を使えば生活が成り立つ人は、まずそれを優先する必要があります。
親や子どもなど、親族からの援助が受けられる状況にある人も同様です。
言い換えると、資産・労働・他の制度・親族からの支援といった利用できるあらゆる手段を尽くしても生活が成り立たない場合にのみ、生活保護が適用されます。
現在、生活保護は物価高や賃金上昇などの背景から通常の支給額とは別に、月額1000円の生活扶助を支給中です。
そして、2025年10月からは、直近の物価上昇や賃金上昇を踏まえて、さらに月額500円が特例措置で加算されます。
そのため、通常の生活保護支給額に加えて「月額1500円」を上乗せして受給することが可能です。
月額500円は決して高額ではないですが、生活保護を受給する人にとっては嬉しい加算といえるでしょう。
ただし、入院患者や介護施設の入所者については、すでに食費や光熱費などが現物で提供されている状況を考慮し、現在の一人当たり月額1000円の加算をそのまま維持します。
2025年10月からの特例的加算について説明しましたが、本加算も踏まえて生活保護はいくらもらえるのでしょうか。
生活保護は、最低生活費から収入を差し引いた不足額が支給される仕組みです。
最低生活費は自治体や家族構成によって異なります。例えば、川崎市における家族構成別に見た最低生活費は以下の通りです。
●川崎市における「生活扶助基準額の例」 ・夫婦子1人世帯(30代夫婦、子3〜5歳) 15万3400円 ・夫婦子2人世帯(40代夫婦、子中学生と小学生) 18万1760円 ・高齢夫婦世帯(65歳夫婦) 12万900円 ・高齢単身世帯(65歳) 7万6880円 40代夫婦と中学生と小学生の子を持つ世帯の場合、最低生活費は月額18万1760円です。
そのため、収入が全くない場合には月額18万1760円を受け取れます。
また、生活保護受給者がアパートなど賃貸住宅に居住している場合は、家賃にあたる住宅扶助を受けることができます。
さらに、医療サービスや介護サービスについても、自己負担なく利用することが可能です。
生活保護で特例的に月額1500円を上乗せして支給する措置は、2年間継続予定です。
前年度まで行われていた加算が、今後も2年間継続されることで、生活保護を受けている世帯の家計を支える一助となるでしょう。
その後は、社会経済情勢などを踏まえて、一般世帯の消費実態との均衡を図りながら改めて検討される予定です。
・厚生労働省「生活保護の被保護者調査(令和7年7月分概数)の結果を公表します」 ・厚生労働省「生活保護制度」 ・川崎市「令和7年10月からの生活保護基準改定について」
苛原 寛
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