( 328873 )  2025/10/02 07:06:49  
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トラの墓の前で手を合わせる川津幸寛さん=島根県雲南市三刀屋町 

 

 島根県雲南市三刀屋町で複数の飼い犬が散歩後に不審死する事案が起きてから半年が過ぎた。島根県が専門機関に検査を依頼し、検体として送った1体は戻ってきたが、原因はいまだに判明していない。飼い主は「なぜ死んだのか」と気持ちの整理ができず、早期の原因解明を願っている。  

 

 「元気だったのになぜ、死んでしまったのか不思議でならない」。自宅近くに作った愛犬「トラ」の墓を見つめ、飼い主の川津幸寛さん(85)は話した。 

 

 トラを含め死んだのは4匹。飼い主は別々で3月21~23日にいずれも、三刀屋町内を流れる三刀屋川の河川敷や周辺を散歩した後に体調が急変した。 

 

 川津さんによると、トラは雄の柴犬で当時8歳だった。3月21日午後6時ごろに自宅を出発し、河川敷などを20分程度散歩して帰宅。翌日午前6時ごろ、散歩しようと様子を見に行くと、口から血を出して息絶えていた。前日の散歩中に河川敷で茶褐色の物をなめていたのを思い出し、現場に行ったが不審物は見つからなかった。 

 

 雲南保健所が4月2日、火葬されずに唯一、土葬されていたトラを回収。県薬事衛生課によると、専門機関による外観検査で死に至った原因は特定できなかった。引き続き、採取した組織などを検査し、原因を調べるという。ただ、専門機関には全国各地から多くの検体が送られており、詳しい検査結果が出る時期のめどは立っていない。 

 

 川津さんはトラが死んで以降も晴れの日は必ず朝夕、散歩コースを歩いているという。以前は犬を連れて散歩する顔見知りを見かけていたが、警戒してか、この半年間、姿を見ていない。河川敷近くの歩道には今も、落ちている物を犬などに食べさせないよう注意喚起する看板が設置されている。 

 

 トラは5月19日に川津さんの元に戻り、今は墓の下に眠っている。川津さんは「トラのことは片時も忘れたことがない。なぜ死んでしまったのか。早く原因を知りたい」と話した。 

 

 

 
 

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