( 328988 ) 2025/10/03 04:28:56 0 00 安倍晋三・元首相が2022年に奈良市内で銃撃されて死亡した事件で、殺人罪などで起訴された無職山上徹也被告(45)の初公判を28日に控え、審理内容を決める協議が大詰めを迎えている。弁護側は「事件の背景には母親による宗教的な虐待があった」と訴え、検察側は「宗教論争ではなく、犯行の悪質性に目を向けるべきだ」と反論している。
山上徹也被告
奈良地裁と検察側、弁護側は23年10月以降、争点を絞り込む公判前整理手続きを計8回行ってきた。
地裁の発表によると、公判は裁判員裁判で審理され、初公判は28日。第2~7回は10月29日~11月13日に週3回ペースで開かれる。その後の審理予定は発表されていないが、公判関係者によると、12月の結審と来年1月の判決の予定が決まった。
関係者によると、山上被告の母親は、被告が小学生の時に世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に入信し、約1億円の献金を重ねて破産。被告は捜査段階で、「教団に恨みがあり、つながりがあると思って(安倍氏を)狙った」と供述していた。
厚生労働省は事件後の22年12月、信者を親に持つ「宗教2世」が、親の宗教活動で教育費を失うなどした場合、「宗教の信仰等に関係する児童虐待」にあたるとする指針をまとめている。
複数の公判関係者によると、弁護側は殺人罪について認める方針。その上で、母親の信仰で家庭が崩壊した生い立ちが事件に与えた影響を強調し、情状酌量を求める考えだ。こうした背景を明らかにするため、母親や宗教学者ら5人の証人尋問を求めている。
検察側は「宗教論争をする場ではない」とし、宗教学者らの証人尋問に反対している。
複数の公判関係者によると、検察側は、計画性や殺意の強さを重視している。
計画性に関しては、被告が安倍氏を撃った手製銃について、事件前に試射を繰り返していた行動などで立証するとみられる。さらに、この銃を鑑定した警察関係者や解剖医らの証人尋問で、殺傷能力の高さを明らかにし、強い殺意があったと主張するという。
安倍氏は佐藤啓参院議員の応援演説中に銃撃されており、検察側は、佐藤氏の証人尋問も求めているが、弁護側は「立証の目的が不明。目撃者という立場であれば、複数の映像で客観的な状況は十分わかる」と反対している。
地裁は、検察側が証人とするよう求めていた対象者のうち、解剖医ら一部を採用した。弁護側の請求を含む残りについても、近く採否を決める。
一方、起訴された罪のうち、銃刀法違反の発射罪について、弁護側は「今回の手製銃は特殊で法の想定外。銃刀法の規制対象に該当しない」として無罪を主張する方針。
起訴状では、山上被告は22年7月8日昼、奈良市の近鉄大和西大寺駅前の路上で、演説中の安倍氏を手製銃で銃撃して殺害したとしている。
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