( 329373 )  2025/10/04 06:55:35  
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立憲民主党の野田佳彦代表(10月3日) 

 

(ブルームバーグ): 立憲民主党の野田佳彦代表は3日、同党が提案する現金給付が秋の経済対策に盛り込まれることを条件に、与党との政策協議に応じる意向を示した。ブルームバーグとのインタビューで語った。 

 

野田代表は、経済対策に現金給付を盛り込むことが最優先事項であるべきだと主張。立民が提案する給付案を「丸々与党が飲み込んでくるようなら、協議する可能性は十分ある」と述べた。ただ、現時点ではその可能性は低いという。 

 

立民は先の参院選で、所得に応じた給付を行うため、所得税の課税対象となる一律2万円の給付案を掲げた。一方、自民、公明両党は子どもや住民税非課税世帯の大人に2万円を上乗せする形での一律2万円給付を訴えた。 

 

自民党は参院選で大敗し、与党は衆参両院で過半数を割り込んだ。野党の協力なしでは予算や法律を成立させることができない状況で、自民党総裁選に出馬した候補5人は現金給付案を撤回または見直す考えを示している。野田氏の発言は、立民案の実現に向けて与党側に決断を迫った格好だ。 

 

野田氏は、当面の物価高対策として現金給付を求める一方、「食料品の消費税ゼロ税率が一番有効」だと指摘。「野党と心あわせをして与党に迫ることは、引き続き試みていきたい」と述べた。 

 

中長期的な施策として参院選で訴えた給付付き税額控除を巡っては、参院選後に立民、自民、公明3党で制度設計に向けた協議を開始した。総裁選候補のうち、高市早苗前経済安全保障担当相は公約に明記。小泉進次郎農相や林芳正官房長官も3党協議を引き継ぐ考えを示している。 

 

野田氏は、高市氏とは財政を巡る考え方が「決定的に違う」と強調。石破茂政権と行っている協議を受け継ぐ人が総裁になる方が「政策で実現できるチャンスが大きい」と語った。 

 

金融政策 

 

野田氏は物価高の大きな要因として為替の影響があるとみている。「行き過ぎた円安の基調」が続いているとし、日本銀行には為替を念頭に置いた金融政策を行ってほしいと語った。エコノミストの多くが、緩和的でも引き締め的でもない中立金利を1%程度としている中で、現在の「実質金利は低過ぎる」という。 

 

 

政策変更のタイミングは日銀が判断するべきだとする一方、利上げを行う環境は「整っている」との見方も示した。 

 

立民のワーキングチームは2023年、「新しい金融政策」の実現を図るとした文書を発表。13年以降に日銀が続けてきた異次元金融緩和は、「悪い円安」と物価高騰を招き、実質賃金が上昇しない現状を悪化させてきたと指摘していた。 

 

日銀が9月の金融政策決定会合で決定した保有上場投資信託(ETF)の売却については、国庫納付金が国債の償還と防衛費に使われるのであれば「国民に対する還元がない」と指摘。財源として考えるのであれば使途を「もう少し広げていかなければいけない」と述べた。売却に約100年をかけるかどうかは「検討の余地がある」とした。 

 

日銀は簿価ベースで年間3300億円(時価で6200億円)のETFなどを保有しており、完全売却までには100年以上要する計算になる。立民は日銀保有のETFを政府が取得し、分配金などを高校授業料無償化などに活用する「日銀保有ETF活用法案」を衆院に提出している。 

 

(c)2025 Bloomberg L.P. 

 

Akemi Terukina, Erica Yokoyama 

 

 

 
 

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