( 329553 ) 2025/10/05 05:45:51 0 00 Sanae Takaichi and Shinjiro Koizumi. Photographers: Tomohiro Ohsumi/Getty Images, Akio Kon/Bloomberg
(ブルームバーグ): 自民党は4日、総裁選挙の投開票を行った。1回目の投票では過半数を獲得した候補者がおらず、高市早苗前経済安全保障担当相と小泉進次郎農相の上位2人による決選投票にもつれ込んだ。
1回目の投票では国会議員と党員・党友票を合わせた合計で高市氏が183票、小泉氏が164票を獲得した。3位は林芳正官房長官の134票だった。
石破茂首相の辞任表明を受けた今回の総裁選には5人が立候補した。決選投票は295人の議員票と47都道府県連に配分した地方票の合計342票で新総裁を決める。議員票の比重が約9割となる。
今回の総裁選は、衆参両院で与党が過半数割れするなど、自民党にとって平時ではない状況下で行われた。選挙期間中は、物価高対策に加え、野党が主張する政策への立場や、連立拡大の是非なども論点となった。
報道各社の調査では、国会議員票で首位を走る小泉氏や保守色の強い高市氏が先行。石破首相の継承候補とされる林芳正官房長官が追う構図となっていた。
みずほ証券の松尾勇佑シニアマーケットエコノミストは3日の電話取材で、市場のコンセンサスは小泉氏だとした上で、小泉氏か林氏が勝利すれば市場反応は限定的になるとの見方を示していた。高市氏が選出されればイールドカーブ(利回り曲線)のスティープ(傾斜)化、株高円安が進行するだろうと予想していた。
小泉氏は総裁選の公約で「インフレ時代の新たな経済運営」を提唱。2030年度までに国内投資135兆円・平均賃金100万円増を目指す。財政規律を意識しつつ、インフレ下の税収増を活用した経済成長の実現を明記した。物価高対策としてガソリン税暫定税率の速やかな廃止と所得税制の見直しを掲げている。
保守派を代表する高市氏は、従来から「責任ある積極財政」で経済成長を目指す姿勢を示していた。物価高対策では赤字国債の増発も辞さない方針を明言。参院選前に主張していた消費税減税は封印し、与党が立憲民主党と進めている「給付付き税額控除」の制度設計の着手を公約に明記した。
市場で年内利上げ観測が強まっている金融政策を巡る2候補の主張も対象的だ。小泉氏は「日本銀行と政府が物価安定と経済成長に向けて歩調を合わせることが重要だ」と連携の重要性を主張する。一方で、高市氏は共同通信の調査で、0.5%程度としている現在の政策金利を「維持すべきだ」と回答した。
新たに選出される総裁は週明けにも党役員人事に着手。今月中旬にも行われる臨時国会での首相指名選挙に臨む。野党が候補者を一本化する見込みは立っていないため、新総裁は首相に選出される公算だ。
小泉氏が勝利すれば戦後最年少の首相、高市氏が選出されれば初の女性首相の誕生となる。衆参で与党が過半数割れする中、野党との連立も視野に当面は政策ごとの協力が不可欠となる。まずは物価高対策に向けた経済対策の策定とその裏付けとなる年内の補正予算編成への着手が喫緊の課題となる。
9人が出馬した昨年の総裁選では1回目の投票で党員票トップだった高市氏が議員票の比重が大きい決選投票で石破首相に敗れた。自民党の支持基盤が弱まる中で、今回も党員票の結果を反映しない決選投票結果になれば、党員と議員の乖離(かいり)が指摘される可能性がある。
候補者は高市、小泉、林の各氏に加え、小林鷹之元経済安保担当相、茂木敏充前幹事長の計5人だった。
(c)2025 Bloomberg L.P.
Takashi Hirokawa, Akemi Terukina
|
![]() |