( 329558 ) 2025/10/05 05:51:28 0 00 高速道路や一般道のバイパスなど、頑なに右車線に居座るクルマをときどき見かけます。もしかして故意に…。それとも周りが見えていないだけ…。
その理由を考えてみましょう。
高速道路のイメージ(画像:PIXTA/イメージです)
今年のお盆休みにクルマで帰省した人もいたのではないでしょうか。
特に週末や連休期間中、3車線ある高速道路で、なぜか追越車線がいちばんクルマの台数が多いということがあります。
しかも、車間がやたらとつまっていて、もし前のクルマが急ブレーキを踏んだら追突してしまうほど。
最近のクルマはACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)を装備していることが多く、ACCをオンにして運転していたらその車間にはならないはず…というくらいの距離感です。
人によっては煽られていると思う人がいてもおかしくないレベルの近さです。
皆さん、他の人より先を急ぎたいという心理の現れなのでしょうか。
百歩譲って、流れに乗っていれば良し(本当は良くありませんが)としましょう。
しかし、なかにはマイペースで右車線を走行し続け、後ろに続くクルマからなんとなく怒りのオーラが出ている(ような気がする)場面をしばしば見かけます。
後ろに続くクルマのトライバーたちも程よい距離感を保ちつつ(ドライバー同士の暗黙の了解ですが)、「早く退いてよ」と念じますが、前を走るクルマはそんなことは一切お構いなし。
もはや意固地というか、頑なに右車線(追越車線)から動こうとはしません。
なぜこのようなことが起こるのでしょうか。
ひとつには高速道路で、「いちばん右車線は追越車線であるという認識がない」ケースです。
毎日のようにクルマを運転する人や、しっかりと道路交通法を理解している人であればもはや「言わずもがな」なことであっても、ごくたまにしか高速道路を使わない人もいます。
当然、交通ルールだけでなく、ドライバー同士の暗黙の了解を熟知しているとは限りません。
なかには、「なんで自分の後ろにはあんなにクルマがならんでいるんだ」と本気で考える人もいます。
駐車場で空いているのに隣に駐めてくる「トナラー問題」などと同様に、本人にとっては悪気はないのです。
それと速度を守りつつ、ひたすらに追い越し車線を走る「通せんぼ」なケースです。
「自分は速度を守って追い越し車線を走っているのに、後ろのクルマは煽ってくるとは、けしからん」というわけです。
もちろん、言われてみればたしかにそのとおりなのですが、同時に「ある程度は流れに乗る」状況が求められる場面もあります。要はその場の空気を読めないのです。
頑なに自分の主張や意思を曲げないので、残念ながら何を言っても無駄です。
ここまでくると、もはやサーキットにおいてなくてはらない存在である「ペースカー」状態です。サーキットにおいてペースカーは追い越し禁止。しかし、高速道路や複数車線のあるバイパスなどは別です。
もはやペースカーと化したクルマに痺れを切らし、後方を走るクルマがすっと左車線へ移動。
フル加速していきながらペースカーを追い抜き、車線変更してふたたび追い越し車線へと移動します。
この1台に呼応するかのように、後方を走るクルマも次々とペースカーを追い抜いていきます。
ちなみに、遅いペースカーを追い抜いた後、すぐに追い越し車線に戻ると「追越違反」になってしまうので注意が必要です。
道路交通法第28条1項には「車両は、他の車両を追い越そうとするときは、その追い越されようとする車両(以下この節において「前車」という。)の右側を通行しなければならない。」と明記されています。
少しややこしいのですが、左からペースカーを追い抜き、そのまま走行車線に留まる分には違反にはなりません。
追い越し違反の違反点数は2点、反則金は普通車が9千円、2輪車が7千円、大型車が1万2千円です。
もちろん、最高速度を超過しての追い越しはれっきとした「速度違反」になりますし、追い越し車線を理由もなく走り続けると「通行帯違反」に該当することがあるので注意が必要です。
通行帯違反の違反点数は1点です。違反点数に加えて、小型特殊車・原付車の場合5千円、普通車・2輪車の場合6千円、大型車の場合7千円が科されます。
ただし、非常に悪質なケースだと、制限速度よりもはるかに遅いスピードで、ペースカーとして走るというものもみられます。
道路は自分ひとりのものではありません。円滑な交通のためにも、意固地にならずに、「速いクルマが来たら退く」「原則的に左車線を走る」というルールを認識し、柔軟かつ空気を読むことが求められます。
松村透
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