( 329568 ) 2025/10/05 06:04:06 0 00 2026年から“独身税”の徴収が始まると聞きました。損をするなら支払いたくないのですが、一体どういうものなのでしょうか?
少子化が進む社会のなかで、政府は子育て世帯を手厚く支えるための財源確保を目指しています。そこで2026年4月から新たに導入される税制度が、俗にいう“独身税”です。「独身だけ徴収されるのは不公平」といった声も多く、批判も少なくありませんが、実は独身の人だけにかかる税金ではありません。
本記事では、世間で“独身税”と表現されることがある新制度の仕組みや負担額の目安、実際に集められた税金がどのように使われるのかについて詳しく解説します。
SNSなどで“独身税”と表現されることもある新税制度は、正式名称は「子ども・子育て支援金制度」といい、2026年4月から健康保険料に上乗せする形で徴収が始まります。
この税金が対象とするのは、すべての医療保険加入者であり、独身者だけに課されるものではありません。具体的な対象者は次のとおりです。
●被用者保険(協会けんぽ・健保組合・共済組合)の加入者 ●国民健康保険の加入者 ●後期高齢者医療制度の加入者
制度の目的は、少子化が進むなかで安定的な財源を確保し、社会全体で子育てを支える仕組みを整えることにあります。
こども家庭庁も、「社会連帯の理念を基盤に、こどもや子育て世帯を、全世代・全経済主体が支える新しい分かち合い・連帯の仕組み」としており、単なる課税ではなく、未来世代への投資という位置づけを明確に示しています。
なお、妊婦や子のいる家庭が支援の対象となり、子がいない場合は負担が増えるにもかかわらず恩恵を受けられないことから、“独身税”と表現されるようになったと考えられています。
子ども・子育て支援金の負担額は、加入する医療保険によって表1のように異なります。
表1
表1
出典:こども家庭庁「子ども・子育て支援金制度について」を基に筆者作成
被用者保険の場合は労使折半で企業も同額を負担します。徴収額は少額ですが、加入者全体から集めることで安定的な財源を確保する狙いがあり、2028年度以降も段階的に引き上げられる可能性もあるでしょう。
子ども・子育て支援金制度で徴収された支援金は、子育て世帯が安心して生活できるようにするための幅広い施策に充てられます。ここでは具体的な使い道を紹介します。
【ライフステージを通じた経済的支援の強化】 子ども・子育て支援金は、妊娠・出産から高校卒業まで、すべてのライフステージにおいて必要な経済的支援を強化するために使われます。
具体的には、次のとおりです。
●児童手当の抜本的拡充 ●妊婦のための支援給付の創設
児童手当は、所得制限を撤廃して高校生年代まで延長、さらに第3子以降は3万円を給付するなど、充実した内容に拡充されます。さらに、妊婦のための支援給付として10万円相当の経済的支援を実施する予定です。
【すべての子ども・子育て世帯への支援の拡充】 子ども・子育て支援金は、家庭の状況にかかわらず、すべての子どもが健やかに育つための環境整備にも充てられます。
例えば「こども誰でも通園制度」の創設によって、親の就労有無を問わず未就園児が保育サービスを利用しやすくなります。さらに、保育施設の定員拡大や保育士の処遇改善を進め、質の高い保育を提供したり、虐待予防や発達支援など困難を抱える家庭への早期介入が強化されたりします。
これにより、子どもの発達格差を減らし、すべての家庭に安心して子育てできる基盤の提供を目指します。
【共働き・共育ての推進】 共働き世帯や育児と仕事を両立する家庭を支えるため、育児休業給付金が拡充され、時短勤務中の所得補償も手厚くなります。
企業には男性の育児休業取得を後押しする仕組みや柔軟な働き方の導入が求められ、職場全体で子育てを支える風土づくりが進むでしょう。
さらに、自営業者やフリーランスも対象とした子育て中の一部期間の国民年金保険料免除や新たな育休給付が設けられる予定です。雇用形態によって育児が左右されない社会づくりを目指しています。
独身税とは、正式には「子ども・子育て支援金制度」と呼ばれる新しい制度で、社会保険料に上乗せされて徴収されます。子のいない人は恩恵を受けられない制度であることから“独身税”と呼ばれることもありますが、実際には全世代・全加入者が対象です。
独身の方たちにとっては、大きな負担となると感じてしまうかもしれません。しかし、少子化対策として社会全体で子育てを支える仕組みづくりの一環ととらえることが大切です。
こども家庭庁や厚生労働省の公的資料を確認し、制度の意義や今後の変更点を正しく理解していきましょう。
出典 こども家庭庁 子ども・子育て支援金制度について
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部 ファイナンシャルプランナー
ファイナンシャルフィールド編集部
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