( 329713 )  2025/10/06 05:09:55  
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新総裁選出後に話す高市早苗氏 

 

自民党総裁選が10月4日に行われ、高市早苗・前経済安保相が第29代総裁に選出された。 

 

高市氏は選出後の挨拶で、自民党議員に対し「馬車馬のように働いていただきます」と呼びかけ、さらに「私自身もワーク・ライフ・バランスという言葉を捨てます」「働いて、働いて、働いて、働いて、働いてまいります」と発言。 

 

過労死なども問題となり、誰もが働きやすい社会を目指すために民間・行政共に、ワーク・ライフ・バランスを尊重する働き方を進める中、時代と逆行する発言に批判が相次いでいる。 

 

SNSでも「総裁による公的な場での発言の重み、影響力をわかっていない」「自分のライフワークバランスを守らない人は、他人のライフワークバランスも配慮しない」「辞める公務員が増えてる中で、さらに深刻化しそうで心配」などの声が相次いでいる。 

 

コンサルティング会社「ワーク・ライフバランス」(東京)は公式Xで「時間内で働いて、しっかり評価されて、生活できる給料が得られる日本社会をどう作るかに尽力するのが、優れたリーダー」だと指摘。 

 

トップが「馬車馬のように24時間働く」と宣言することで、決定権がない部下などは苦しく、肩身が狭く感じてしまうと強調した。 

 

高市氏が「馬車馬のように働いていただきます」と呼びかけた対象は自民党議員だが、議員がそのように働くということは、議員事務所職員や関連省庁職員などにも影響が及ぶ可能性は大きい。 

 

かねてから霞が関の官僚の長時間労働は問題となっており、特に国会対応中の残業は終電後の午前1時や、場合によっては午前5時などになることもあると報道され、対応が求められてきた。 

 

いわゆる「過労死ライン」を超えた120時間の残業などの証言もあり、常態化している長時間労働が露呈していた。 

 

高市氏の発言は各メディアでも問題視され、新聞やテレビなどで取り上げられた。 

 

総裁選翌朝に放送されたTBSテレビ「サンデーモーニング」では、コメンテーターとして出演しているフォトジャーナリストの安田菜津紀さんが高市氏のコメントについて以下のようにコメントした。 

 

「過労で身内が亡くなった1人として『ワークライフバランスを捨てて馬車馬のように働く、働いてもらう』ということを美徳のように扱うような語りには、非常に強い抵抗があるということも申し上げておきたいと思います」 

 

安田さんはエッセイなどで、兄が過労の末に他界したことを明かしていた。 

 

総裁選の夜には安田さんは、自身のInstagramで「そんな言葉を堂々と吐ける人が、自民党の総裁に選ばれてしまった。過労のすえに死んだ兄を思う。彼が生きられたはずの社会はどんなものだっただろう」とし、以下のように思いを綴った。 

 

「私たちはチェスの駒ではない。経済を回すための歯車でもない。血の通った人間の話を、これからももっと、していかなければいけないのだと思う」 

 

一方で、高市氏は夫で元衆院議員の山本拓氏の自宅介護をしているとも講演会などで明かし、その苦労についても報じられてきた。山本氏は脳梗塞で倒れ、右半身不随の状態という。 

 

SNSでは「ワーク・ライフ・バランスを捨てる」という発言に対し、高市氏の介護の状況などが関係しているのではという意見も。 

 

「もしかしたらご家族の介護もあるので周囲の心配を払拭するためかもしれない」という声も上がる一方で、それでも「国のトップがそのような発言をすれば、それが波及していく」「政治家としては発言の撤回をしたほうがいい」との指摘も寄せられている。 

 

 

 
 

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