( 329718 )  2025/10/06 05:15:16  
00

自民党本部総裁室の椅子に座って記者団の取材に応じる高市早苗総裁=4日午後(春名中撮影) 

 

自民党新総裁に積極財政や金融緩和を志向する高市早苗前経済安全保障担当相が就任し、週明け6日以降の株式市場は株価が上昇しそうだ。市場では9月7日に石破茂首相が辞任表明してから日本株が買われる〝高市トレード〟が起き、日経平均株価は最高値更新を続ける。今後、短期間で足元の水準から3000円超高の4万9000円程度まで株高が進むとの見方もある。 

 

■減税政策は個人消費を刺激 

 

野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミストは「政府による投資拡大や各種減税策が短期的な経済にはプラスになると市場は考えるだろう。予想される円安の進行も株式市場に追い風となる」と指摘する。 

 

高市氏は大胆な金融緩和や機動的な財政政策を柱とした安倍晋三元首相の経済政策「アベノミクス」を継承する。総裁選では所得に応じ給付や所得税の控除を行う「給付付き税額控除」の制度設計着手や、ガソリンや軽油の暫定税率廃止を公約に掲げた。4日の記者会見では給付付き税額控除について「中所得、低所得の方々を応援する一つの方法として提案した」と述べ、党内で意見集約を進める考えを示した。一連の減税政策は、個人消費など経済活動を刺激するため市場に好評だ。 

 

一方、積極財政による財政規律の悪化が通貨価値を損ねる懸念から、円安や長期金利の上昇(債券価格は下落)につながる可能性があるが、円安は輸出企業に追い風となるため株価にはプラスに働く。 

 

■高市総裁誕生は「ポジティブサプライズ」 

 

こうした背景から、木内氏は日経平均について、今後1カ月程度は4万4000~4万9000円の範囲で推移すると予想する。日経平均は3日終値で4万5769円50銭と終値での最高値を更新したばかり。この時点では自民総裁選で小泉進次郎農林水産相が優勢とみられていただけに、高市新総裁の誕生は「ポジティブサプライズ」になりそうだ。 

 

安倍元首相の経済政策が市場の脚光を浴びたアベノミクス相場の初期には、2012年11月~13年3月まで18週連続で買い越しが続いた。日本経済が停滞していた当時と、株価が最高値になった現在とを単純に比較はできないが、積極財政と金融緩和を再び掲げた「サナエノミクス」が株式市場にどこまで追い風になるのか注目される。(田辺裕晶) 

 

 

 
 

IMAGE