( 329733 ) 2025/10/06 05:32:54 0 00 【給付金】「2万円の定額給付」「消費税減税」は結局どっちが良い? 2万円給付は本当に“ばらまき”で終わってしまう? 減税が食費に与える影響も検証
2025年の参議院選挙で与党が掲げた公約の1つが、国民1人あたり2万円の定額給付です。支給されることを心待ちにしている人がいる反面、「ばらまき」と批判する意見もあがっています。一方で、野党には消費税減税を公約に掲げる党もあり、どちらがより有効なのか議論が分かれているようです。
本記事では、過去の定額給付の効果をもとに、定額給付が本当に「ばらまき」に終わるのかを検証し、消費税減税と比べてどちらが良いのかを解説します。
与党が参議院選挙で公約とした定額給付は、全国民を対象に1人あたり2万円、子どもや住民税非課税世帯の大人に、2万円を上乗せして最大4万円を支給するという案でした。こうした現金の定額給付は今回が初めてではありません。例えば、2020年に新型コロナウイルス感染症緊急経済対策として支給された、特別定額給付金(1人10万円)があります。
このときの分析では、給付額の17~22%しか消費に回っていないという結果でした。給付金の多くは、貯蓄や借入返済に回ったことになり、景気刺激策として効果が薄かった、単なる「ばらまき」ではないかという指摘は軽視できません。
ただし、低所得層に限ると約32%が消費に回っていたというデータもあります。今回の参議院選挙で掲げられた定額給付は、物価高騰下の暮らしの支援が目的であり、より低所得な世帯ほどセーフティーネットとしての効果が発揮されることが見込まれます。
現金による定額給付ではなく、減税で家計を支援すべきだという意見も根強くあります。例えば、立憲民主党は参院選の公約で「原則1年間・最大2年間、食料品の消費税を0%にする」という政策を掲げました。仮にこの政策が実現した場合、家計にどのくらいの効果が出るかを試算してみましょう。
総務省が2024年に実施した家計調査によると、2人以上世帯の月平均の食費は8万5040円(税込)です。
食料品の多くは軽減税率が適用されるため、ここでは一律8%と仮定して考えると、消費税が0%となる場合、月あたり約6300円の支出が軽減されます。年間では約7万5600円、最大2年間継続すると15万1200円の軽減効果となり、定額給付に比べて金額効果は大きいと言えます。
消費税減税には、定額給付と比較して財源に大きな課題があります。財務省によると、2025年度予算における消費税による税収は、国税分だけで24.9兆円にのぼります。消費税は国税分と地方消費税分に分かれており、24.9兆円という予算は国税分のみであるため、国と地方の税収を合わせるとさらに大きな金額です。
減税率によっては、数兆円~数十兆円規模の税収減となる可能性もあります。そのため、消費税減税は長期的に財政を圧迫するリスクがあり、減収分をどのようにして補うのかという財源もセットで議論されるべきであり、制度設計には慎重さが求められます。
過去に定額給付を行ったときの実績を見ると、支給額の多くは貯蓄や返済に回り、消費刺激効果は限定的でした。そのため、定額給付は単なる「ばらまき」と批判されがちですが、物価高騰下の低所得層の生活を支えるという点では、一定の効果が見込めます。
一方、消費税減税は、継続的に家計が下支えされる反面、巨額の税収が減るため財源確保などの持続性という点で慎重な判断が求められます。
どちらが良いかは、短期的な生活支援なのか、長期的な負担軽減なのか、という目的や、制度の継続性などによって評価が分かれるといえます。目先の給付額だけでなく、将来の暮らしにどんな影響を与えるのかを見極めていくことが大切です。
出典 立憲民主党 主な政策項目2025 内閣府 政策課題分析シリ-ズ 22 特別定額給付金が家計消費に与えた影響 総務省 家計調査家計収支編二人以上の世帯 2024年
執筆者 : 東雲悠太 FP2級、日商簿記3級、管理栄養士
ファイナンシャルフィールド編集部
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