( 329968 )  2025/10/07 05:31:05  
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自民党の高市早苗新総裁=4日午後、党本部(相川直輝撮影) 

 

日銀の利上げに慎重とされる自民党の高市早苗新総裁の首相就任が濃厚となる中、金融市場では日銀の早期利上げ観測が急速に後退つつある。円安が進行する一方で「責任ある積極財政」を掲げる高市氏がばらまきへと突き進めば、物価高を助長することになりかねない。金融政策の正常化を進める日銀との政策の方向性の違いが、国民生活に混乱を招くという懸念も出ている。 

 

6日の東京外国為替市場で円はドルに対して急落。円相場は一時、1ドル=150円台半ばの低水準をつけた。 

 

「財政政策にしても金融政策にしても、責任を持つのは政府だ」 

 

「コストプッシュ型のインフレを放置して、もうデフレではなくなったと安心するのは早い」 

 

高市氏が4日の記者会見で日銀の利上げを牽制(けんせい)するような発言をしたことから、29~30日の金融政策決定会合での利上げ再開を見込んでいた市場では巻き戻しが起こり、運用面の魅力が高まりそうにない円を売ってドルを買う動きが強まった。 

 

だが、過度な円安が進めば、輸入コストが上昇し、国内物価の上昇を助長することになる。高市氏が積極財政を打ち出していることも需要の刺激を通じて、物価をさらに押し上げることになる。 

 

6日の国債市場で、長期金利は一時1・680%と2008年7月以来の高水準をつけた。高市氏が総裁選中に「赤字国債の発行もやむを得ない」と述べたことから、国債が売られ利回りが上昇した。 

 

大和証券の尾谷俊チーフマーケットストラテジストは「1ドル=150円を超えて円安になると、国民の負担が重くなる。10月の利上げは遠のいているものの、利上げ自体に待ったをかける状況にはならない」と指摘。来年度にかけて、高市氏の存在が日銀による金融政策正常化の障害になるとは考えにくいとの見方を示す。今後は政府と日銀との密なコミュニケーションが一段と必要とされる局面となる。(米沢文) 

 

 

 
 

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