( 331018 )  2025/10/11 06:38:51  
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写真:自動車情報誌「ベストカー」 

 

10月29日から開幕するジャパンモビリティショーにおいて2025年5月に発表され、2025年秋から納車されている、6代目となるマイクラが日本初公開! このマイクラは、いまのところ、日本では売る予定はなし。長年、日本ではマーチとして40年も愛されたクルマだけに、なぜ売らないのだろうか? 

 

文:ベストカーWeb編集部/写真:日産 

 

マイクラといえば長年、日本販売名「マーチ」の欧州販売名だった。現行型マーチ(K13型)が2010年7月に発表後、タイや欧州でも発売。その後、欧州市場では2016年、5代目マイクラ(K14型)が発売されたが、日本ではタイ生産の4代目モデルが継続販売されていた。 

 

しかし、2022年8月末をもって、マーチの販売を終了、日本国内における40年の歴史に幕を閉じた。マーチの実質的な後継車となったのがノートということになる。 

 

2025年5月には、6代目となる新型マイクラが欧州で発表された。デザインはロンドンにある日産デザインヨーロッパ。久々にマーチらしい、個性溢れるデザインに、日本でも発売してほしいと思った人も多いはずだ。 

 

プラットフォームはルノー主導で設立されたアンペア社が開発した「アンプRスモール」と呼ばれるBEV専用のプラットフォームで、ルノーの5 E-TECHが兄弟車だ。ボディサイズは全長3974×全幅1830×全高1499mm、ホイールベース2540mmで、四隅にホイールを配してパッケージを最大化。 

 

まず目に飛び込んでくるのは愛嬌たっぷりのフロントマスク。上下に半円のデイタイムランニングライト、中央には目を細めたような横長のヘッドライトが装着され、ヘッドライトの横には上下の半円をつなげてCに見えるようなデザインとなっている。バンパーはピアノブラックとアルミ調の加飾が装着されている。 

 

ドアロック解除時には、ヘッドランプが左右に脈動する。ドアロック解除時の「ウェルカムウィンク(いらっしゃい)」やドアロック時の「フェアウェル(ごきげんよう)」機能があり、なんとも愛嬌のある心にくい演出である。 

 

リアテールランプは、円形(左上または右上につまみのような突起がある)で、左右のテールランプをつなぐ一文字のパネルにはNISSANのロゴが装着されている。 

 

全グレードに18インチホイールを標準装備(アクティブ用カバー、 アイコニック/スポーツ用アルミホイールを選択可能)。ボディカラーは全14通りの組み合わせで、ツートンカラーも用意。 

 

一般的にクロスオーバーSUV化すると、無塗装樹脂製のバンパーやホイールアーチを装着することが多いが、新型マーチは艶ありの大型のサイドパネルやホイールアーチを装着していて、愛嬌のあるヘッドライトやフラッシュサーフェース化されたボディなども相まって、新鮮さを感じるデザインである。 

 

インテリアは歴代マーチ/マイクラのテーマである「控え目ながら上質感のあるシンプルさ」を継承。2つのタッチ式10.1 インチ液晶ディスプレイを備え、前席収納には富士山のモチーフを配している。インテリアの素材や加飾は「モダン」「アウダシアス」「チル」のグレードによって差別化が図られている。 

 

安全・運転支援機能では、高速道路用支援として「プロパイロットアシスト」搭載予定。アダプティブクルーズコントロール、駐車支援、自律緊急ブレーキ、緊急車線維持支援、車線逸脱警報などが標準装備され、安全性にも配慮されている。 

 

 

アンプRスモールのプラットフォームのフロアに極力バッテリーを低く配置し、サスペンションはフロントがストラット、リアがマルチリンク。車両重量は40kWh仕様が約1400、52kWh仕様は1524と車体重量を抑えている。 

 

新型マイクラには40kWh仕様と52kWh仕様が用意され、一充電あたりの航続距離は40kWh仕様が308km、52kWh仕様が408km。また急速充電性能は100 kW出力(40 kWh仕様では最大80 kW相当)で、15%→80% を約30分で充電可能と発表されている。またV2L(Vehicle-to-Load)機能を標準装備しており、車載バッテリーから外部機器に給電できる設計となっている。 

 

・40 kWh仕様:最大出力 90 kW、最大トルク 225 Nm、航続距離 308 km(社内測定値) 

 

・52 kWh仕様:最大出力 110 kW、最大トルク 245 Nm、航続距離 408 km(社内測定値) 

 

日産ヨーロッパでは、新型マイクラの走りについて以下のようにコメントしている。 

 

「運転席に座ると、新型マイクラの能力は即座に伝わります。マルチリンク式リアサスペンション、低搭載バッテリー、路面から伝わるステアリングインフォーメーションが組み合わさり、コンパクトカーには、あまり期待できないリニアなハンドリングを実現します。 

 

狭い市街地を縫うように走るときも、曲がりくねる郊外の道でも、トルク感のある加速、シャープな操舵感が味わえます。 

 

アンプRスモールプラットフォームは、低重心で1500 kg という軽量化を両立していますが、この特徴があらゆるシーンに好影響を与え、“運転が楽しい”と感じるはずです」。 

 

2025年5月に新型マイクラが発表された際、欧州では2025年後半から発売、日本での発売の予定なしと断言していた。 

 

今回のジャパンモビリティショーへの出展に関してもあくまでも参考出品で、日産は日本で発売するかどうかも明らかにしていない。しかし、「火のないところに煙は立たぬ」。わずかばかりの光明はあるのだろうか。きっと日本での反響を見て、「反響が大きかったので発売します!」ということになるかも。 

 

ちなみに新型マイクラのイギリスでの価格(1ポンド=203円)は40kWh仕様のEngageが2万1495ポンド(436万9503円)、Advantageが2万3495ポンド(477万6063円)、52kwhのAdvanceが2万5495ポンド(518万2623円)、Evolveが2万8365ポンド(576万6037円)。 

 

2025年1〜9月の販売台数が1万2198台と大ヒットしている軽BEV、サクラは航続距離180kmで259万9300〜308万2200円(CEV補助金は57万4000円)。 

 

このサクラと、BEVではないが同クラスのノートe-POWERと食い合う可能性があり、さらには発表したばかりのリーフの価格、「B7 X」が518万8700円(CEV補助金込みだと約430万円)と、価格面ではバッティングする。 

 

リーフと同じ日本の栃木工場で生産すればグッと価格は下がると思うのだが、ルノーによる生産環境を栃木工場に移管するというのは現状では考えにくい。 

 

しかし、2007年7月に1500台限定で日本でも発売されたマーチC+Cはルノー製のプラットフォームをベースに、カルマン社製の電動ハードトップを装着したもの。フランスのドウェにあるアンプシティ工場や「NMUK」(英国日産自動車製造会社)のサンダーランド工場で生産され、日本に輸入された例がある。 

 

やはり、日産を立て直すには、もっと車種を増やさなければいけないだろう。新型リーフ(2025年10月8日発表)、新型エルグランド(2026年度日本発売)に加え、新型パトロール(日産車体九州工場生産)とともに、新型マーチ(マイクラ)もぜひ発売してほしい。日本発売を望むべくはBEVではなく、e-POWERのマーチなのだが……。 

 

ベストカーWeb 

 

 

 
 

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