( 331081 )  2025/10/11 07:30:46  
00

日本のコメ価格高騰について、農林水産省の山口農産局長がインタビューで語った。

彼は農水省のコメ政策を初めて担当する素人として、新しい視点を持つことの重要性を強調した。

小泉農水相との意見交換を通じて、リーダーシップの重要性を感じていると述べ、コメの需要と供給の見通しに関する具体的な取り組みや、情報発信を強化していく必要性を指摘した。

また、コメ消費が減少する中、インバウンド需要の変化に対する適応が課題であり、精密な需給見通しが求められることを強調した。

最終的には、コメ政策の改革に向けて他の関係者の意見を聞きながら進めていく意向を示した。

(要約)

( 331083 )  2025/10/11 07:30:46  
00

日テレNEWS NNN 

 

長引く“コメ価格高騰”をどう、終わらせるのかー。日本テレビはその陣頭指揮を執る農林水産省の山口農産局長に単独インタビュー。小泉農水相から“山口さんは素人みたいなもん”と言われたという山口局長が語るコメ政策の難しさと課題とは。インタビュー全文を公開します。 

 

『news zero』藤井貴彦メインキャスターとの対談に応じる農水省の山口靖・農産局長(9月29日) 

 

◇実際に局長になってみての苦労は(ことし7月に農水省“コメトップ”農産局長に就任)。 

 

――苦労というか、私自身、色々いままで申し上げましたけど、じゃあ純粋にコメ政策ってやった時あるのかって言われると、初めていま担当してるわけなので。 

 

そういう意味では、結構、「ああこんな風になってるのか」とか、「こういう風にみんな思ってるのか」とか、結構知らないことがいっぱいあって、そういう意味では、日々苦労というわけじゃないですけど、日々勉強だなっていう風に思ってます。 

 

ただその上で、新しいことを今からチャレンジしていかなきゃいけないので、精いっぱいやっていかなきゃいけないなという風に思ってます。 

 

◇新しい視点を、山口局長は持ちやすい立場なのでは。 

 

――そうかもしれませんね。小泉大臣も、“山口さんは素人みたいなもんだから”と。素人っていうのは、これまでのしがらみもないんで、“いろんなことをやりやすいはずだから”などと、励ましてもらってます。 

 

定例と化した“1日2回”の小泉農水相による“ぶら下がり会見” 

 

◇小泉氏のいる農水省は雰囲気が変わったか。 

 

――いや、農水省、小泉大臣になってからっていうことかどうかはあるんですけど…。大臣自身すごく真面目にコメ政策については、僕、来る前ですけど、午前中、意見交換して、午後も意見交換してみたいな、すごく熱心に取り組まれて。 

 

真面目に、リーダーシップをすごく発揮される方だなっていう風に思ってますので、そういう意味では、我々としてもしっかり支えていかなきゃいけないなという風に思ってます。 

 

◇小泉大臣についてのイメージは。 

 

――もう繰り返し。先ほどもすごく真面目。真面目な方だなっていう風に思ってます。それは、政策の打ち合わせの真面目さもあるんですけど、言葉の端々に、この政策がいま、国民にとってどういう風な位置づけで、あるいは、いまこの政策を国民の皆さんに説明しようと思うと、どういうロジックだと1番伝わるんだとか、すっごく真面目に追求。 

 

ともすれば我々は、我々がこう思ってるんでっていう風にすぐ言っちゃいがちなわけですけど、それをもう1回噛み砕いて、国民の皆さんにどうやったらちゃんと受け止めてもらえるのかっていうのを、しっかり考えられる方だなっていう風に思います。 

 

◇小泉大臣のもと、備蓄米の「随意契約」などを行った。その時の農水省内の雰囲気は。 

 

――ここが私もわからないところ。私も担当していないので、その時は。でもさぞ大変だったんだろうなという風には思いますけども。 

 

◇農水省内では、随分大きく舵を切ったなという感じだったか。 

 

――ですね。やっぱり、「随意契約」でコメを販売するのに、直接、小売業者の方と契約を結ばなきゃいけないので、それだけでも事務がものすごく増えるんです。 

 

集荷業者って呼ばれる方の数っていうのは、一定の限られた方ですけど、小売業者っていうと、ほんとにその何十、何百倍といらっしゃるわけなので。そういう方々からの申請を受け付けて、手続きしようと思うと、既存の体制じゃできないっていうことで、すぐに全省から人を別途集めて、組織というか、そういうことをやる、実務をやる部隊を大臣のリーダーシップのもと、すぐに作ってっていう形で動いてきましたので。 

 

そういう意味ではその時は、側から見てて、すごいスピード感と、強烈なリーダーシップのもとで進んでいくなっていう風に見てました。 

 

 

“コメレク”を終えて農水大臣室から出てくる山口農産局長ら 

 

◇いまコメは日本の中で一番大きなイシュー。そこで貢献できるというのは、山口局長にとっても素晴らしいことではないか。 

 

――そうですね。いますごく農業政策自身が曲がり角にきてる中の、特に大きな部分がコメの政策だと思ってますので、なかなかこういう巡り合わせは、私自身も、公務員やっててないなという風には思ってますから。 

 

皆さんのしっかり声を聞いて、しっかりとした政策転換っていうのを実現できればという風に思っています。 

 

◇小泉大臣のもとで仕事をする大変さは。 

 

――小泉大臣のもとで仕事をする大変さは、もう何せ精力的なんで、議論も多分1時間でも2時間でも。僕ももういい加減、歳なので、1時間ぐらいいると疲れちゃうんですけど、全く大臣はそういう意味では疲れ知らずというか、すごく精力的に対応されるので、そこはなかなかもう、私なんぞでは対応できないなと。 

 

だから逆に言えば、それだけエネルギッシュに活動するっていうのが、いま農政には求められてると私も思うので、そういう意味ではしっかりと支えていかなきゃいけないと思っています。 

 

農水省内・農産局長室 

 

◇今後の展開。これからもコメを国民の皆さんに食べてもらうため、どう政策を進めるか。 

 

――まずコメ政策、コメの状況っていうものを、消費者の皆さん、流通業者の皆さん、しっかり発信していくっていうことが、これから大切になってきますし、そのためにも、流通のところの、我々としてのエビデンスの把握みたいなものを、よりきちんと精度を上げて(行っていく)。 

 

今回、需給のところで不足感が出た。で、価格高騰したっていうことになってるわけですけど、そういうような、なるべく丁寧な情報発信ができるような体制を作った上で、コメの価格とかもより安定化するような、そういう取り組みをやっていかなきゃいけない。 

 

そのためには、備蓄制度もそうですし、生産の体制もそうですし、いろんなところを手を付けていかなきゃいけないところあると思いますが、そこは、与野党の国会議員の皆さんはじめ、関係の皆さんの声を丁寧に聞いて、しっかり対応したいと思います。 

 

――流通段階のところで言うと、今回、農水省、これまでもずっと、人口も減るしコメの消費も減るんで、回帰曲線を作って、“大体毎年10万トンぐらいずつ消費というか需要が減っていくのよね”というような前提で、ずっと需要見通しっていうのを作ってきたわけですけど、コロナ明けて、インバウンドが増えて、需要っていうのが、必ずしもいつも下に、ダウントレンドで行くわけじゃないっていうことがわかったりとか。 

 

あるいは、最近すごく暑くて、暑くなると精米歩留まりっていうのが悪くなるんですけど、玄米から精米した時に、量的に減る量が大きくなるってことなんですけど、これが1パーセント減っただけで、7万トン需要が、逆に生産が減ることになる。 

 

需要が増えることになるっていうことになるんで、そういうところは、これまで農水省としてしっかり把握してこなくて、流通段階でどうなってるのかっていうのをある意味、省略して考えてきたっていうところがあって、これは今回の事態になったという意味で、我々として、我々、実務担当してる者としては、反省しなきゃいけないなという風な形で、皆さんにお詫びもしたりしているわけなんです。 

 

ただ、そういう意味で今回、需要のところをある程度もう少し、インバウンドとか、実際の家計消費の動向とか、あるいは精米歩留まりとか、そういうのも踏まえた上で「需給見通し」を作っているわけなんですが、それに対しても、今回そういう意味で幅ができてるんですけども、その幅が、もうちょっと小さくなんないのかとか、いろんな声があるのも、ご指摘あるのも、その趣旨も理解できますので、我々としてはそこの幅を縮めたり、あるいはより精度を上げるための情報を、どうやって入手していくのかという、そういうところから、より精度を上げるために検討していかなきゃいけないなという風に思っています。 

 

だから、そういう意味で、これまでの計算よりも、より精緻化はしていますが、そういう意味では、課題というか、なお不断の見直しをやっていかなきゃいけない、そういう風な理解でいます。 

 

 

“コメは足りている”としたこれまでの「需給見通し」について自民党の会合で謝罪する農水省幹部ら(山口農産局長は右から2番目・8月) 

 

◇生産量が需要量を最大で50万トン程度上回ると見込んだ政府の「需給見通し」…信用して良いのか。 

 

――そういう意味では、玄米ベースで(生産量が需要量を最大で約)50万トン上回りそうだっていう、それは一定の幅があるわけですけど、そういう状況ではあると思ってます。 

 

ただ問題は、先ほど申し上げた通り、結局、今年暑かったので、精米にしてみると、かなり悪くなるんじゃないのかっていう風な方も一方でいらっしゃるわけなんですけど、その方々に関しては、そうは言っても、今年のとれ高から見て、仮に精米歩留まりが1番、この5年間で悪かったとしても、下限値は行くんだよっていうのが(今回の見通し)。 

 

だから50万トンじゃないかもしれないんですけど、198(万トン)から229(万トン)っていう幅の、1番歩留まりが悪かった時でも198(万トン)ぐらいに、来年6月の在庫がなる可能性が高いっていう、そういうことを理解して取引を進めてもらいたいなという風に思います。 

 

◇コメの出来具合を示す「作況指数」に代わる新指標「作況単収指数」の狙いは。 

 

――これは、私の担当部署のお話ではないのであれなんですが、作況指数って、過去30年間の10アールあたりの収量と、今年の10アールあたりの収量を比較したものっていう形なんですけど、「作況指数」っていう言い方として、今年とれる全体の量と過去の数量の比較で見られがちだとか、あるいは、過去っていうと、温暖化が進んでるわけなんですけど、過去はすごく冷害とかあって、収量がとれない時もあった。 

 

ところが最近は、冷害っていうのはなくて、むしろ高温障害が多いわけですけど、冷害よりは高温障害の方が、量的にはとれているわけなので、そういう意味で、過去だとすごく低い数字も含めて、分母が形成されてるんで、実感よりも収量が上振れしてるように見えちゃうっていうあたりが、「作況指数」については問題というか、生産者の方の肌感に合わないという統計データというか、データなんで、別に実態は実態なんですけど、ただ、生産者の方にしてみると、過去30年前の全部のデータと比べられても、そこはあんまり実感が湧かない。 

 

ここ4、5年ぐらいのとれ方と今年の収量を比較されると、まだ実感が湧きやすいっていう、そういうことで、より生産者の皆さんにより実感しやすいような、そういう数値として、「作況指数」っていうのを見直していくと、そういう風に理解しています。 

 

(※備蓄米の放出の効果や今後の備蓄米のあり方に加え、コメ価格が再び上昇傾向にある背景などについては『農水省の“コメの見通し”信じて大丈夫?…“農水省コメトップ”山口農産局長に直撃!【独自インタビュー】』の記事をご覧ください。) 

 

 

 
 

IMAGE