( 124321 ) 2023/12/31 21:22:43 0 00 自民、公明両党が推薦した東京都武蔵野市長選立候補者の個人演説会に集まった支持者たち=武蔵野市で2023年12月21日午後7時15分、坂根真理撮影
自民党派閥の政治資金パーティーを巡る問題に、自民党員たちも厳しい目を向けている。党員らによると、自民内では年内の党員獲得目標が掲げられており、地方議員らは31日までに一人でも多くの入党者を集めなければならない。党員になれば毎年4000円の党費を支払う必要がある。裏金疑惑がクローズアップされる中で「『党員になって』なんて、とても言えない」という本音も漏れる。
【図で解説】そもそも…今回の疑惑の構図
◇「リクルート事件より厳しい」
「もう自民を応援しない」。関東のある自民党県連には、支持者から怒りの声が届くようになった。県連幹部は「今が党員獲得の締め切りのピーク。こんな時期に問題が起きて、党費をもらいにくい。ただでさえ高齢化で党員数が減少しているのに……」と戸惑いを隠せない様子だ。
自民の党員数は1991年の約547万人がピークで、2022年は約112万人まで減少した。党員数の獲得目標は120万人。獲得党員数のノルマを課される地方議員もおり、達成できなかった人数分の党費を議員個人が肩代わりすることもあるという。
「風当たりはリクルート事件の時より厳しい」。ある県議は明かす。「裏金づくりで多くの国会議員の名前が挙がっており、結党以来の危機だ。先日県議の忘年会があったが、みんな(党員を)集める気もないよ。『自腹を切る』って言っていた」と明かす。
党員歴約40年で、茨城県内で廃棄物処理の会社を経営する川崎敏秀さん(71)は、今回の問題について「最低最悪だね」と言い切る。「国民にはマイナンバーやインボイス制度をつくり、税金もがっぽり取る。政治家は裏金づくりで野放し。何やってるんだという不信感は当然ある」
だが、党員をやめるつもりはない。「戦後の日本をつくってきたのは自民党。政治資金をちゃんと使って申告すれば悪いと思わない。国民から見てきれいで分かりやすい政治をしてほしい」と望む。
◇党員継続、悩む人も
一方、約20年前に入党した東京都内の行政書士の男性(64)は、党員を続けるか悩んでいるという。「今年も党費の請求が来ているが、部屋に請求書を置いたまま考えている。インボイス制度が導入され、税金をよりきっちり納めるシステムが導入された。それなのに政治資金規正法の抜け道を使って流用ができるとは。こんな状況で党員から党費を集めるのはおかしい」
今月21日夜、東京都武蔵野市。自民、公明両党の推薦を受けて市長選に立候補した男性候補の個人演説会で、党員の女性はこう呼びかけた。「『自民の推薦受けているんでしょ』と言われたら、(候補者の)『中身を見てくれ』と言ってくださいね」
推薦候補は24日、339票差で野党支持候補を降して初当選したものの、自民党を見る有権者の目は険しい。この女性党員は「『最近の自民党はどうなっているんだ』と言われることが増えた」と打ち明ける。
会場には、それでも党員を続けるという高齢の女性がいた。「自民党の政治家が近所に住んでてね。政界の方は騒がしいけど、ご近所さんはみんな自民党員だし、近所の付き合いがあるからやめることはないね」
岸田文雄首相は25日、政治改革を議論する新たな党組織を年明けのできるだけ早い時期に設置する方針を示した。ある衆院議員は自分に言い聞かせるように言った。「党員であっても、この問題の受け止めは厳しい。政治活動をするために資金は必要だが、資金集めが目的になってはいけない」【坂根真理、木許はるみ】
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