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大川原化工機の大川原正明社長らが、軍事転用可能な装置を不正輸出した疑いで逮捕・起訴され、約11カ月の勾留の後、起訴取り消しの判決が出された。

東京地裁は警視庁公安部と東京地検の捜査を違法と認め、都と国に賠償を命じる判決を言い渡した。

2023年の証人尋問で警視庁の現職警部補2人が「事件は捏造」と証言し、注目されていた。

同社側は公安部の捜査を批判し、地検も見切り発車で起訴を断行したと主張。

一方、都側と国側はそれに反論していた。

(要約)

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東京地裁に向かう大川原化工機の大川原正明社長(右から2人目)ら=東京都千代田区で2023年12月27日午後1時27分、前田梨里子撮影 

 

 軍事転用可能な装置を不正輸出したとして外為法違反で逮捕・起訴され、約11カ月に及ぶ勾留後に起訴を取り消された化学機械製造会社「大川原化工機(おおかわらかこうき)」(横浜市)の社長らが、東京都と国に5億円超の損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁は27日、警視庁公安部と東京地検による捜査を違法と認め、都と国に賠償を命じる判決を言い渡した。賠償額は国が約1億5800万円、都は約1億6200万円とした。 

 

【写真まとめ】被告のまま死亡した大川原化工機顧問 

 

 訴訟では、2023年6月の証人尋問で捜査に携わった警視庁の現職警部補2人が「事件は捏造(ねつぞう)」などと証言する極めて異例の経過をたどり、判決が注目されていた。 

 

 訴状によると、同社の大川原正明社長らの弁護人が起訴後に、不正輸出が疑われた同社の噴霧乾燥器について、経済産業省の輸出規制の省令解釈などが恣意(しい)的に判断されていると指摘。地検は補充捜査を実施し、初公判4日前に起訴取り消しを公表した。 

 

 同社側は訴訟で、公安部は国際基準と異なる独自の省令解釈を基に捜査を進め、規制品に該当するかを確かめる温度実験でも立件に不利になるデータをあえて計測しなかったと訴えた。警部補2人の証言を踏まえれば、事件は公安部幹部による「捏造」だと主張。地検については、捜査をチェックする責任を果たさず「見切り発車」で起訴を断行したとした。 

 

 これに対し都側は、警部補2人の証言は「個人の臆測」だと反論した。公安部の省令解釈は他のメーカーや有識者の意見聴取に基づくもので、不合理ではないとした。国側は、経産省が大川原化工機の装置を「輸出規制品に該当」と判断し、公安部からも規制品に該当することを示す実験結果が検事に報告されていたとし、賠償責任を負うほどの過失はないと主張していた。【巽賢司】 

 

 ◇大川原化工機の起訴取り消し 

 

 噴霧乾燥器を海外に不正輸出したとして警視庁公安部が2020年、同社の社長、取締役(当時)、顧問(同)の3人を外為法違反容疑で逮捕し、東京地検が起訴した。無実を訴える社長らの勾留は約11カ月に及び、その間に胃がんが見つかった元顧問は被告の立場のまま死亡した。地検は21年7月に起訴内容に疑義が生じたとして社長と取締役の起訴取り消しを東京地裁に申し立て、認められた。法人としての同社と社長、元取締役、元顧問の遺族3人が同9月に国家賠償訴訟を起こした。 

 

 

 
 

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