( 124507 )  2024/01/01 13:41:40  
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ソフトバンクグループ(SBG)が出資する米シェアオフィス大手ウィーワークが2023年11月に経営破綻し、新型コロナウイルス感染症によるオフィス需要の減少が原因とされている。

SBGの孫正義会長兼社長が1兆円以上の資金を投じていたが、結果は失敗に終わった。

ウィーワークは急成長を遂げたが、不透明な企業統治や経営難に陥り、経営再建のためにSBGが支援したものの、新型コロナの影響で業績が悪化した。

経営破綻後、債務圧縮や拠点の閉鎖を進める方針だが、先行きは厳しい。

また、ウィーワークの破綻で米国の商業用不動産市場にも悪影響が及んでおり、SBGの業績にも懸念がある。

(要約)

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写真提供: 現代ビジネス 

 

 ソフトバンクグループ(SBG)が出資する米シェアオフィス大手ウィーワークが、2023年11月に経営破綻した。新型コロナウイルス感染症によるオフィス需要の消失で、収益が悪化したことが理由だった。ウィーワークに惚れ込んだSBGの孫正義会長兼社長が投じた、1兆円以上の巨額費用も水の泡となってしまった。 

 

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 ウィーワークはアダム・ニューマン氏が2010年に創設したスタートアップ企業。米国にとどまらず日本や欧州などにも進出を果たし、2019年には企業価値が470億ドル(6兆9000億円)に達するなど急成長を実現した。オフィスを持たない中小企業や個人事業主から支持を得た。 

 

 しかし、ずさんな経営実態が明るみになるなど、華々しい成長も徐々に鈍化していった。2019年にはニューマン氏による不透明な企業統治が発覚し、経営難に陥った。同年に予定していた新規株式公開(IPO)は延期を余儀なくされ、同氏は退任に追い込まれた。 

 

 そこに手を差し伸べたのが孫正義氏だ。2019年以降、SBGの主導によるウィーワークの経営再建が本格化した。同社は2017年から段階的に出資を行っており、これまでの投資額は160億ドル(2兆4000億円)に上る。 

 

 しかし周知の通り、2020年からは新型コロナが世界中で猛威を振るい、ロックダウンなどの影響で業績悪化に拍車が掛かった。2021年にニューヨーク株式市場に上場した際の時価総額は約90億ドルと、ピーク時の企業価値の5分の1の水準に落ち込んでいた。 

 

 2023年8月には、ウィーワークは自ら「経営継続について疑義が生じている」と表明。このとき既に借金が資産を上回る債務超過に陥っていた。経営破綻は時間の問題だったようだ。同社の日本法人によると、日本国内のウィーワークは通常通り事業を継続するという。 

 

 ウィーワークへの投資を決めた張本人の孫氏は、責任を厳しく問われている。2023年6月の定時株主総会でウィーワークの株価低迷について質問を受けた孫氏は、「ああ、胸が痛い。これは僕の責任です。ウィーワークに最初に訪問して惚れ込んでしまいました」と謝罪した。 

 

 孫氏は続けて、役員らから出資をやめるよう促されたにもかかわらず、「僕が突っ込んで多額のお金を注ぎ込んでしまいました。(ウィーワークの)価値や投資の規模について、僕がニューマン氏をあおった部分もある。私の人生の汚点です」と弁明した。 

 

 ウィーワークは社債の利払いを延滞するほど資金繰りに窮したため、11月に裁判所に破産を申請した。今後は債務圧縮に加え、不採算拠点の閉鎖などを通じて、経営再建を進める方針だが、先行きは厳しい。米国ではコロナ禍後も在宅勤務が浸透しているためだ。 

 

 在宅勤務を前提に、コロナ禍を経て郊外に多くの人が引っ越したため、「皆、今さらオフィスには出社したくない。出社を強制すれば従業員は辞めてしまう」(アナリスト)との指摘も多い。そうなると、ウィーワークのビジネスモデルはもはや復活できない可能性が高い。 

 

 同社の破綻は、米国の商業用不動産の苦境を示す象徴的な出来事でもある。近年、米国ではオフィスの空室が目立ち、オフィスビルの所有者がローンを返済できない事態が相次いでいる。債務不履行が頻発すれば、金融機関の経営を揺るがしかねず、やがて経済に深刻な影響をもたらす可能性がある。 

 

 加えてウィーワークの破綻は、SBGの今後の業績にも響く懸念がある。SBGの9月中間連結決算は、1兆4000億円の赤字となった。ウィーワーク関連に加え、投資先のスタートアップ企業の株価下落などが要因だ。 

 

 後藤芳光CFO(最高財務責任者)は決算会見で、「非常に残念に思いますし、会社としてはこの結果を真摯に受け止めて今後の投資活動に生かしていかなければいけない。投資の決定にわれわれとしてどういう過ちがあったのか、改善していく点はどういうところなのか考えていく大きな宿題をもらったと考えています」と述べた。 

 

 孫氏の経営責任について問われると、「CEO(最高経営責任者)としてすべての経営に責任を持つという考え方はもちろんある中で、彼も意思決定に入っていますが、これは組織として認識すべきテーマだと思います。SBG全体のさらなる価値向上のため今、新機軸を打ち出していくことを徹底的に取り組んでもらうことの方が、われわれのステークホルダーにとっては重要な考え方ではないかと理解しています」と応答した。 

 

 

 
 

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