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2023年、日本全国でクマによる被害が話題となり、一部の国民が「クマを殺すな」と主張しています。

海外ではこのようなクレームが少ない傾向にあり、日本のクマ被害が世界的に注目されています。

熊による襲撃事件は報道され、日本のメディアは共生の方法や専門家の意見を取材しています。

北海道の知床では電気柵や捕獲などの対策が行われ、また、熊の追い払いは人間にとっても危険であるとの指摘もありました。

(要約)

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 2023年も全国各地でクマの被害が話題になった。しかし、「クマを殺すな」という一部の国民の声も聞こえてくる。作家の小倉健一氏は「海外では『クマを殺すな』とクレームを入れる人は少ないようだ」とレポートするーー。 

 

 日本を悩ませる「クマ」被害の増大は、海外メディアでも報じられるようになっている。 

 

 米大手メディア「CNN」では、2023年12月8日「日本における熊の襲撃は過去最高を記録している。気候変動と高齢化が問題を悪化」として、9月に岩手県岩泉町でクマに襲われた事件を詳細に報じている。この事件は、キノコ採取やペット用品販売などを営む佐藤誠志氏が、キノコを採集中にクマに襲われ、大声を出し棒を振り回して退散させた模様を自身が運営するYouTubeチャンネル「原生林の熊」で配信したことで有名になった。 

 

 他にもシンガポール最大の新聞「ザ・ストレーツ・タイムズ」(2023年11月28日)が、「日本では冬眠しないクマもいる可能性、相次ぐ襲撃事件で野生動物専門家が指摘」と題して、こちらも詳細に報じられている。 

 

 こうした日本のメディアではない、独自取材によって世界中の様々なメディアが日本のクマ被害を報じているのを考えると、いかに今年のクマ被害が世界的な関心事項になっているかがわかる。 

 

 世界中がクマ被害を報じる中、日本のメディアの関心は、どうやってクマと共生していくかに焦点が置かれつつある。さまざまなバックボーンの有識者たちにクマ被害を防ぎ、共生する方法を取材し、掲載しているのだ。いくつか紹介してみよう。 

 

 「世界的にもヒグマの高密度な生息地である北海道・知床では、早くからクマと人間の『境界線』を引く努力をしてきました」 

 

 「市街地や水産加工場を電気柵で囲う。何度も市街地に侵入したり、人間の食料を食べるようになったりした問題個体のクマは、被害が大きくなる前に捕殺する――といったことです。1985年を最後に知床で死亡事故は起きていません」 

 

 「追い払いは人間にとってリスクの高い作業でもあります。ゴム弾は30メートル以内に近づかないと当たらず従事者の命を危険にさらします」 

 

 「北海道では90年に春グマ駆除の奨励制度が廃止されましたが、それ以降、警戒心の薄いクマが増えた印象があります。殺気のこもる銃によってでなく、追い払いで警戒心を持たせるのは難しいことを感じます」 

 

(野生動物被害対策クリニック北海道」代表の石名坂豪氏・朝日新聞・12月23日) 

 

 

 
 

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