( 126727 )  2024/01/09 00:08:39  
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円安や物価高、燃料費の上昇などにより、海外出張はますます難しくなっている。

さまざまな工夫が行われているが、宿泊費が不足することもあり、官民を問わず課題となっている。

旅行会社のデータによると、航空券や宿泊費の平均価格が大幅に上昇しており、財務省も規定を見直す方針で、各企業の海外出張費用にも影響が出る可能性がある。

(要約)

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海外出張のハードルが上がっている 

 

歴史的な円安と物価高、燃料費高騰が続く中、海外出張のハードルが上がっている。官公庁や企業が個別に設けている規定額では、宿泊費用などが不足するケースが出ているからだ。ポストコロナ禍で国境を越えた経済活動が活発になる一方、コストカットの工夫を強いられている。 

 

「燃料費高騰の影響が大きいので、早めに飛行機を予約してください」 

 

東京都内の企業に勤める40代の男性会社員は10月、欧州出張を控え、会社側からこう指示された。この時、出張先での日程はまだ固まっていなかったが、渡航費用を抑えるため、指示に従った。 

 

予約のタイミングが早ければ早いほど、航空券や宿泊費を安くできる。それでも宿泊費をさらに抑える必要があり、以前の出張に比べてホテルのランクを下げた。 

 

海外出張費の高騰は官民共通の課題だ。①複数人で出張する場合、ホテルは相部屋②以前なら別日程だった複数の案件を1回で済ませる③出張先との事前のリモート打ち合わせを入念に行う-ことなどでコストを抑えている。 

 

それでも、宿泊費が規定をオーバーし、不足分の〝自腹〟を余儀なくされるケースも、官民問わずあるとされる。 

 

■平均価格7割増も 

 

旅行会社のHISが同社との法人契約の内容から算出した結果からは、海外出張費の高騰は明らかだ。 

 

国内出発のエコノミークラス航空券平均価格は、令和元年のアジアで9万3603円だったが、5年は14万8287円(元年比158%)。欧州だと元年の平均価格23万7386円が、5年には41万1406円(同173%)になった。 

 

宿泊費の平均価格も上海が元年の1万3815円から5年は2万2682円(同164%)、ニューヨークでは2万6012円が4万2551円(同164%)などと、軒並みアップしている。 

 

そんな中で注目を集めるのは、財務省の動向だ。国家公務員が海外出張した際に支給する宿泊費の規定を昭和59年以来、約40年ぶりに改定する方針で、定額支給から実費となる見込み。所管する旅費法の改正案を今年の通常国会に提出することを目指している。 

 

財務省ルールは民間企業や地方自治体も参考にしているため、改定内容次第では各企業などの個別規定変更も視野に入る。日本全体の国際的な経済活動の活発化に直結する可能性もありそうだ。(大泉晋之助) 

 

 

 
 

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