( 126835 )  2024/01/09 13:14:43  
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リニア中央新幹線の静岡工区で進展がない状況が記事になっている。

産経新聞の記事によると、2年前の意識調査結果が報じられており、その内容や静岡県民の関心度などが示されていた。

しかし、その時点での情報が現在の状況を反映しているとは限らず、記事の意義や進展への貢献に疑問が呈されている。

(要約)

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 リニア中央新幹線工事の静岡工区が全く進まない。一体いつまでこの状態が続くのか。作家で元プレジデント編集長の小倉健一氏が解説するーー。 

 

 不思議な記事が、産経新聞から配信された。記事のタイトルは『<独自>リニア静岡工区関心ある静岡県民は6割のみ 2年前の国調査 知事発言は「総意でない」』『リニア、静岡除く沿線住民は「関心」2~3割 建設目的「知らない」が最多』という複数の記事で、配信日は「12月23日」だった。<独自>という表現を使うぐらいだから、社会に影響を与えうるスクープとして配信をした意図が窺える。 

 

 内容は、国土交通省が令和3年にリニア中央新幹線への意識調査の結果を伝えるものだ。あらかじめ言っておくが、現在から2~3年前のアンケートである。 

 

 内容は、 

 

<9都府県の調査対象者は計6千人。静岡工区問題に関心を持っている人は、東京-愛知間の6都県で約3割、三重-大阪間の3府県は約2割だった> 

 

<関心がある人のうち、リニア工事に関して信頼している組織の割合が、静岡県民への調査では県6割、JR東海3割、国交省2割だったのに対し、9都府県民は同社6割、同省5割、県4割と評価が分かれた> 

 

<調査では静岡工区に関して県が問題提起していること、国が有識者会議を立ち上げていることの両方を認知している人を「関心を持っている」と定義。静岡県内の該当者は約6割だった。 

 

該当者のうち5割は工区問題の原因を「JR東海」とし、1割が「国交省」と回答。一方「県」と「判断がつかない」がそれぞれ2割だった> 

 

としていた。記事の最後のほうで、とってつけたように<関心度について2年前より状況が改善している可能性はある>と書いてある。 

 

 産経新聞の記者は、この2年以上の期間に、静岡県の川勝平太知事を取り巻く状況が激変していることに気づいていないらしい。それもたかがアンケートである。現在の状況をアンケートをすればいいだけなのに、それをやらない。やらないで2年以上前のアンケートをさも価値があるかのように取り扱う態度はいただけない。国交省からなんか資料を手に入れたから、さもすごいことのように報じてみようという狙いが透けて見える。いったい、このアンケートに何の価値があるのだろうか。すべては2年以上前の県民の意識である。もし、今、2年以上前の岸田政権への支持率を報じたら「なぜそれがニュース?」と感じるのではないだろうか。同じことである。 

 

 

 
 

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