( 129612 ) 2024/01/17 13:50:01 1 00 ダイハツ工業が品質不正を調査した第三者委員会の報告書を公表し、多くの不正が発覚した。
これまでにもトヨタグループで複数の不祥事が起こり、それらの原因について自動車担当アナリストは「トヨタ方式」に追いつけなかったことを指摘している。
これにより、トヨタグループにおける不正が相次いでいる背景や、ダイハツ工業とトヨタの関係の深さが明らかになっている。 |
( 129614 ) 2024/01/17 13:50:01 0 00 ダイハツは全工場の生産を停止(C)日刊ゲンダイ
【企業深層研究】ダイハツ工業(上)
暮れも押し迫った昨年12月20日、ダイハツ工業の品質不正を調査した第三者委員会は報告書を公表した。4月、従業員の内部告発でドアトリム、5月にはポール側面衝突試験での不正が発覚。第三者委員会の調査の結果、すでに生産終了したモデルを含めて64車種174件という大規模な不正が明らかになった。エンジン3機種もあり、衝突試験ではタイマーでエアバッグが作動するような細工をしたと指摘した。
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ダイハツはトヨタ自動車の完全子会社で、グループ企業の車も生産している。マツダやSUBARU(スバル)から委託された、相手先ブランドによる生産(OEM)供給分も含まれる。
■全工場の生産を停止
この結果、少なくとも1月末まで車の出荷、および全工場の生産を停止した。部品メーカーや自動車販売店(ディーラー)に対して損害を補償する方針。直接取引のある1次部品メーカーが国内だけで423社、2次以下の下請けは4000社以上あり、他に運送会社など生産に直結しない取引先が1000社以上。資本関係のない販売店が約3万店ある。いずれも補償の対象とする。
手持ち資金で賄いきれない場合は、親会社のトヨタ自動車から支援を仰ぐ。ダイハツが巨額の赤字に陥れば、親会社、トヨタの業績への影響は避けられない。ダイハツの企業規模でも、関係先はこれだけある。自動車産業の裾野の広さを改めて印象付けた。
この1、2年を振り返ると、トヨタグループの不祥事が相次いだ。2022年3月、日野自動車のエンジン燃費試験での不正が発覚した。23年3月には、トヨタグループの本家にあたる豊田自動織機でフォークリフト向けエンジンの不正が明らかになった。
12月20日には、北米トヨタでエアバッグのセンサーに不具合が見つかり、100万台がリコールとなっている。同日、ダイハツの車両認証試験の不正が公表された。
第三者委の貝阿弥誠委員長は「決められた開発日程を守らないと大変なことになるとの思いで、認証試験に確実に合格することを目的にした行為」と述べた。
なぜ、トヨタグループで、こうした不正が続発するのか。
「トヨタが効率的に車を造るために進めてきた“トヨタ方式”についていけなくなったのではないか」は自動車担当アナリストの見立てだ。
ダイハツとトヨタの関係はどのように深化したのか。
ダイハツの歴史は古い。初の国産エンジンを開発する目的で大阪高等工業学校(大阪大学工学部の前身)の技術者たちが1907(明治40)年、発動機製造株式会社を創立したのがルーツだ。本社工場がある大阪府池田市に自動車工場ができたのは38(昭和13)年のこと。戦後の51年にダイハツ工業株式会社に社名変更した。
トヨタとの関係は、67年に業務提携したことに始まる。98年、トヨタが子会社にした。2016年に完全子会社となり、多数の幹部がトヨタから送り込まれた。
不正が認定された1989年以降のダイハツの歴代会長・社長12人のうち8人がトヨタの出身者だ。
2005~11年6月、会長を務めた白水宏典氏の時代に、低燃費・低コストのコンパクトカーを短期開発で仕上げ、この手法で収益を上げるビジネスモデルが確立した。第三者委は「11年に発売したミライースの成功で無理な短期開発が定着し、そのプレッシャーが従業員を追い込んだ」と問題点をえぐり出した。
白水氏は「白水天皇」とまで呼ばれるほどのダイハツの最高権力者になっていた。
「白水天皇」とは何者か。=つづく
(有森隆/経済ジャーナリスト)
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