( 129629 ) 2024/01/17 14:00:31 0 00 photo by istock
2019年に金融庁の金融審議会、市場ワーキング・グループが出した報告書が発端となり、世間を大騒ぎさせた「老後資金2000万円問題」からもうじき5年が経ちます。
【写真】新NISA、実は落とし穴だらけ…荻原博子が「おやめなさい」と断言するワケ
定期預金では資産はほとんど増えない時代が長く続いてきた中、政府や経済界では、この問題が取りざたされるよりずっと前から、国民の資産形成に向けて「貯蓄から投資へ」に誘導することを目指し、様々な取り組みを行ってきました。
しかし、長らく元本保証の銀行預金に慣れ親しんだ人が、元本が減るリスクが伴う投資というものを始めるには心理的なハードルがどうしてもあります。
しかも、いざ頑張って投資を始め、せっかく利益を出しても、そこからけっこうな税金を持っていかれてしまうことも問題になっていました。たとえば株式投資で100万円儲かったとしても現在の税制ではそのうち約80万円しか手元に残らないのです。これではかなり損した気になってしまい、なかなか投資に前向きになれません。
そんな状況を打開し、「貯蓄から投資へ」の流れを一層進めるため、政府は2014年に、一定の条件を満たせば株式投資などの利益が非課税になる仕組み、NISA(少額投資非課税制度)を導入したのでした。この制度を利用すれば、上記の例なら儲かった100万円が無税で丸々懐に入ります。
ただ、NISAの適用を受けるには投資金額や適用期間に一定の条件があり、導入から10年経っても国民の資産形成手段として爆発的に普及したとは言い難いものでした。
そんなNISAですが、この2024年から期間制限が撤廃されるとともに投資金額が3倍に増額されるなど、非常に使いやすい制度へ大幅リニューアルされました。
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詳しい話は、解説している書籍やサイトがいくらでもあるのでそちらを見てほしいのですが、要するに、投資で儲かっても(つまり自分の資産が増えても)税金を取られない投資の仕組みが大幅に充実することになったので、余裕資金を長期間積み立てていくなどして上手に活用すれば、老後に向けて資産を効率的に増やせるよ、これを利用しない手はないよ、ということです。
この状況を指して2024年のことを、投資に強い追い風が吹く「投資元年」だと呼ぶ人たちもいます。
ところが、そんな絶好のチャンスが訪れたはずなのに、ひとつ問題があります。投資に回すお金、「種銭」が用意できない人がけっこういるのではないかということです。
2024年度にリニューアルされるNISA(新NISA)では、最高で1人あたり年間360万円ずつ投資を行っていくことができます。
結婚している世帯(夫婦)なら2人分なので720万円です。しかし、その投資枠をフルに活用できる世帯はそう多くないかもしれません。子どもがいて生活費や教育費、さらには住宅ローンでカツカツだと、投資に回す余裕なんてない、そんな声が聞こえてきそうです。
ちょっと待ってください。
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