( 130090 )  2024/01/19 00:27:01  
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石川県七尾市で起きた能登半島地震で、立川ゆき子さんが自宅の倒壊によって亡くなった悲劇が伝えられています。

夫である立川康則さんと遠い親戚同士の2人は35年の結婚生活を送っており、家族や孫たちとともに楽しい新年を迎えていました。

しかし、地震によって自宅が崩れ、ゆき子さんは倒れた柱に直撃されて亡くなりました。

夫婦仲は良く、家族の中心である明るく頑張り屋のゆき子さんの死は家族にとって大きな喪失です。

(要約)

( 130092 )  2024/01/19 00:27:01  
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能登半島地震による家屋の倒壊で亡くなった石川県七尾市の立川ゆき子さん=家族提供 

 

 「初詣の後『お賽銭(さいせん)で3000円も入れたから、今年は良いことあるわい』なんて大笑いしていた。その30分後にこんなことになるなんてね……」。石川県七尾市川尻町の立川康則さん(64)は、1日の能登半島地震で倒壊した自宅の下敷きになって亡くなった妻、ゆき子さん(56)について、こう話した。 

 

【写真】「早く行けっ、逃げろ!」振り返ると夫の姿はなかった 

 

 遠い親戚同士だった2人は結婚して35年。康則さんの母、一子(かずこ)さん(88)と3人暮らしだった。毎年正月2日は、3人の娘や孫らが帰省してにぎやかに新年を祝うのが恒例。今年も10人以上が集まる予定で、1日は振る舞うおせちを一子さんと2人できれいにお重へ詰めた後、午後3時半過ぎ、近所の神社へ初詣に行った。自宅に戻って一子さんと2人でテレビを見ていた同4時10分、大きな揺れが襲い、自宅が崩れた。 

 

 玄関にいた康則さんが外に出た後、2度目の大きな揺れで自宅の屋根が完全に落ちていた。一子さんはがれきの下に体が半分見えていて、近所の人を呼んですぐに助け出した。 

 

 だが、ゆき子さんの声がしない。「ゆきちゃん、ゆきちゃん」。小一時間かけ、何とかジャッキで屋根をどけて体を引っ張り出した。体はまだ温かく、きれいな顔をしていたが息はなかった。崩れた柱が上半身を直撃し、即死のようだった。 

 

 夫婦は年が八つ離れているせいかけんかもなかった。昨年12月28日のゆき子さんの誕生日には、康則さんがケーキを買ってきて一子さんと3人で祝ったばかり。康則さんが「明るく頑張り屋で冗談をよく言う人だった」というゆき子さんの声は、家族の中心だった。ようやく子供や孫と集まれたのは、5日に七尾市で開いた葬式だったという。 

 

 「台所にでもおれば助かっていたかもしれない。でも地震が(孫ら家族が集まる)2日だったらと思うと、もっと怖い……」。一子さんはうつむきがちに語った。【斉藤朋恵、横見知佳】 

 

 

 
 

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