( 130301 ) 2024/01/19 13:21:58 0 00 トーヨータイヤHPより
ホンダの人気車種「N-BOX」で使用されている部品をめぐり、製造元の大手自動車部品メーカー「TOYO TIRE(トーヨータイヤ)」が、両社の契約で定められた管理基準から大幅に外れた数値のまま納入していることが「 週刊文春 」の取材でわかった。トーヨータイヤはこの部品について自社の検査で〈管理基準を満たしていない〉という結果が出た事実をホンダに報告しておらず、この部品は、すでに出荷された車にも使用されている可能性がある。
【画像】《現役社員が告発》“不適部品”が使用される部分
トーヨータイヤは1945年に大阪市で設立。従業員数は1万1744名(2022年12月31日時点)で、2022年12月期の連結売上高は4972億円。2019年に社名を「東洋ゴム工業」から現在のトーヨータイヤに変更している。
同社は大手自動車メーカーに部品の納入を行っている。「N-BOX」を販売するホンダもその1つだ。
「『N-BOX』は、軽自動車にもかかわらず、車内空間が広いことが特徴です。2011年の発売から2023年末時点までで累計販売台数が250万台を突破した人気車種です。昨年1年間だけでも約23万台が売れ、軽四輪車新車販売台数は9年連続1位を記録しています」(自動車業界担当記者)
2023年10月には新型モデルが発売された。そんなホンダの看板車種「N-BOX」にトーヨータイヤ製の“不適合部品”が使用されている可能性があるという。
「その部品とは、トレーリングアームブッシュと呼ばれる部品です」(トーヨータイヤ現役社員)
「ゴム製の部品で車体底のタイヤ付近に使われています。段差を乗り越える時やアクセルやブレーキで車体が動く時に発生する揺れを抑制して乗り心地に作用します。設計通りでない場合、ただちに車体の故障や事故が発生するわけではありませんが、乗り心地が不安定になる可能性があります」(自動車業界関係者)
問題が起こったのは昨年の夏頃。ホンダからトレーリングアームブッシュの発注を受けたトーヨータイヤの設計部は、部品の特性を計測する実験部に数値の計測を依頼した。すると、
「管理基準から20~30%と大きく外れていたことが分かったのです。本来ならば、この数値では納入することはできません。実験部が社内向けに出した測定試験結果にも〈本部品は管理基準を満足していない〉と明記されています」(トーヨータイヤ設計部関係者)
さらに、新たな事実も発覚する。
「工場で日常的に行っている品質管理目的の測定方法自体が誤っていたことが判明したのです。少なくとも2022年頃から誤った測定方法が実施されていた可能性があり、そこで得られたデータを基に部品の製造調整が行われていました」(トーヨータイヤ工場関係者)
トーヨータイヤでは、過去の不祥事を経て、現在は「社外に数値を報告する際は、測定担当部署=実験部が計測したデータを使用すること」という社内ルールが存在する。ところが――。
「ホンダの窓口になっている設計部は、実験部が取得したデータではなく、誤った測定方法を実施しているおそれがある工場で取得したデータをもとに“問題なし”として報告し、そのまま部品を納入してしまった。“不正報告”と言えますし、極めて重大な問題です」(前出・設計部関係者)
トーヨータイヤに事実確認を求める仔細な質問状を送ったが、「B2B取引における2社間での機密情報に当たるため、そのような仔細に関しては言及することはできません」などとし、個別の事柄への回答はしなかった。
一方のホンダはこう答えた。
「弊社四輪製品『N-BOX』についてのお問い合わせについて今回のご質問に限らず、車両構成部品のサプライヤー様についてはお答えしておりません。サプライヤー様について回答できないため、ご質問内容について回答が出来かねます」
ホンダの「N-BOX」は人気車種であり、すでに市場には自動車が出回っている。今回の問題が与える影響が注目される。
現在配信中の「 週刊文春電子版 」では、トーヨータイヤによるホンダへの“不正報告”の疑いを詳報している。当該パーツが使われている車種、その役割、実験部と設計部の関係などの社内事情、設計部がホンダに実験結果を伏せた理由、そしてトーヨータイヤとホンダに送った質問状への回答などを独自に入手した内部資料と共に報じている。
「週刊文春」編集部/週刊文春
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