( 130650 ) 2024/01/20 13:15:24 0 00 自民党の松川るい参院議員
自民党派閥のパーティー収入不記載事件を受け、岸田文雄首相(自民党総裁)が党内に立ち上げた「政治刷新本部」。総勢38人のメンバーうち、最大派閥「清和政策研究会」(安倍派)の議員は10人いるが、1月13日、朝日新聞は「10人のうち9人がパーティー収支の一部を裏金にしていた疑いがある」と報じた。その9人の中に、「エッフエル姉さん」こと松川るい参院議員(52)も名を連ねている。フランス研修でも猛批判され、裏金疑惑も出ている松川氏がなぜ政治刷新本部のメンバーに選出されたのか。松川氏を知る安倍派関係者らに背景を聞いた。
【写真】松川氏が「ライバル視」しているという女性議員はこちら
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松川氏は昨年7月、自民党女性局の議員ら38人でフランス研修に行った際に、パリのエッフェル塔をまねたポーズをした写真をSNSにアップするなどして厳しく批判された。以降、松川氏は「エッフェル姉さん」という不名誉な呼び名をつけられ、2023年の「流行語大賞」にもノミネートされるほどだった。
松川氏は安倍晋三元首相を尊敬する政治家と公言しており、党内では安倍派でも忠誠心が高い女性議員とみられていた。
安倍派の裏金疑惑が発覚した当初、松川氏は報道陣の取材に対し「やましいことは全くありません」などと答えていたが、前述の通り、政治刷新本部に入っている安倍派10人のうち、裏金疑惑のある9人に名を連ねていたのだ。
■丸川珠代氏とのライバル関係
フランス研修での失態に続き、裏金疑惑まで浮上した松川氏。なぜここまで不祥事が続くのか。松川氏を知る安倍派関係者は「一言で言うと“焦り”ですかね」とさらりと言い、その真意をこう語った。
「松川さんはエリートでプライドが高い。東大法学部卒業後は外務省に入省し、その後は米国ジョージタウン大学の大学院で博士号を取得するほどのエリートです。そんな彼女のライバルは丸川珠代参院議員です。2人は経歴が似ているところもあり、自民党内では比較されやすい立場にいます。丸川氏に負けたくないというライバル心があるはずですよ」
松川氏と丸川氏はともに1971年生まれ。それに加えて、経歴にも共通点がある。丸川氏は東大経済学部卒業後、テレビ朝日に入社。同局でアナウンサーとして活躍するかたわら、2003年から約1年間、米国ニューヨーク支局に駐在している。
「東大を卒業し、社会人になってから米国で経験を積んだところや、どちらも参院議員で、松川さんが2期、丸川さんが3期とキャリアが近い。お互いがライバル意識を持っていると思うが、丸川さんは既に環境相、東京五輪相と2つも大臣を経験した。一方で、松川さんはまだ党副幹事長で出世が早いとは言えない」(前出・安倍派関係者)
■安倍派10人のうち6人が女性
さらに昨年、丸川氏は参院議員を辞職し、次の選挙で衆議院に「鞍替え」する予定だと報じられた。そのことも松川氏を“刺激”しているという。
「実は、松川さんも鞍替えして衆院選に出たいんですよ。大阪か東京の小選挙区からの出馬を望んでいるようです。だけど、松川さんは22年7月の参院選で当選したばかりなので、『まだ1年半しかたっていない』と党側から突っぱねられて、実現しそうにないんです」(自民党関係者)
ストレスがたまっているのか、松川氏はこんな姿も目撃されている。
「ここ1年の話ですが、松川さんがかなり深くまで飲んでいるところを目にすることがありました。背景には、出世への焦りや鞍替えの問題があったのかもしれません」(前出の自民党関係者)
とはいえ、裏金疑惑を持たれながら、自民党の政治刷新本部のメンバーに入ったことは説明がつかない。前出の安倍派関係者は背景をこう話す。
「安倍派10人のうち6人が女性ですよね。政界も企業も『困った時の女性頼み』という姿勢は変わらず、そういう意味では、象徴的な女性議員が刷新本部に必要だったというわけです。あくまで自民党内部での話ですが、松川さんは今後、出世の見込みはあると思います。だから刷新本部にも入ったんでしょう」
昭和の時代から「永田町の常識は世間の非常識」と言われてきたが、2024年になってもそれは変わらないようだ。
(AERA dot.編集部・上田耕司)
上田耕司
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