( 130817 )  2024/01/20 23:03:21  
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自民党の裏金問題で、現役議員が相次いで起訴され、派閥解散の動きにつながった。

特捜部の聴取を受けた安倍派幹部の会計責任者が、政治とカネの実態を明かした。

裏金として高額のキックバックを受け取った議員や派閥の会計責任者らが立件された。

一方、議員や後援者は責任を否定する動きも見せ、裏金の慣習が安倍元総理の関与で進行していたことも伝えられた。

被告人たちの発言から、政治とカネの結びつきや責任に関する複雑な状況が浮き彫りにされている。

(要約)

( 130819 )  2024/01/20 23:03:21  
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自民党の裏金問題では、現役議員が相次いで起訴され、派閥解散の動きにもつながりました。特捜部の聴取を受けた安倍派幹部の会計責任者が取材に応じ、政治とカネの実態を語りました。 

 

【写真を見る】“キックバックの指示があったとしても、議員は守る”安倍派幹部の会計責任者が語る「政治とカネ」の実態【報道特集】 

 

■安倍派幹部の会計責任者が語る実態 

 

今回の裏金事件で、東京地検特捜部の聴取を受けたという人物がいる。 

安倍派幹部の事務所で、会計責任者を務めてきた男性だ。 

聴取の冒頭、検察側から“黙秘権”の説明を受けたという。 

 

安倍派幹部 会計責任者 

「『答えにくいことがあるなら、別に答えなくて構いません。それで(罪に)問われることはありません』そんな言い方だったと思います」 

 

派閥から押収したとみられるデータをもとに、検察庁の庁舎や、ホテルの一室で、複数回にわたり、調べが行われたと話す。 

 

安倍派幹部 会計責任者 

「よく調べているというか、全部、データを持ってるんだなと」 

 

村瀬健介キャスター 

「例えばどういったデータ?」 

 

安倍派幹部 会計責任者 

「入出金記録ですね。多分、通帳を押さえてるんだと思います。そこから全部見てるんじゃないですかね」 

 

村瀬キャスター 

「金の出入りは全部知られている?」 

 

安倍派幹部 会計責任者 

「みたいですね」 

 

特捜部は19日、安倍派、二階派、岸田派の3つの派閥の会計責任者らを立件。 

 

裏金として、高額のキックバックを受け取った議員側では、安倍派の池田佳隆 衆院議員に続き、大野泰正 参院議員、谷川弥一 衆院議員を立件した。 

 

一方、安倍派「5人衆」と呼ばれる幹部や、事務総長経験者ら7人のうち複数の幹部が、特捜部の聴取に対し、キックバックについて自身の関わりを否定する説明をしたという。 

 

「キックバックは会長案件だった…」 

 

――派閥の会計責任者は“自らの判断で行った”と? 

 

安倍派幹部 会計責任者 

「そう言わなきゃしょうがないだろうと。自分がその立場だったら、そう言うと思いますよ。間違いなく」 

 

ーーたとえ議員から指示があったとしても? 

 

安倍派幹部 会計責任者 

「あったとしても」 

 

ーー議員は守るという? 

 

安倍派幹部 会計責任者 

「守るということですね。やっぱり、この世界はそうでなきゃいけないだろうし。政治家の、政治団体の会計責任者をやるということは、そういうこともあるということです、最初から」 

 

20年以上にわたり、続けられていたというキックバックの慣習。 

 

派閥では、安倍元総理が会長だった2022年5月のパーティーを前に、キックバックを廃止する方針が決まったという。 

 

 

――取りやめのお知らせは来た? 

 

安倍派幹部 会計責任者 

「連絡もらいましたね。“今年は戻し(キックバック)は無いから”って。毎週、(派閥の)総会やってるじゃないですか。あの時に多分、発表があったんじゃないですかね」 

 

しかし、派閥の議員からの反発を受け、その後もキックバックは、継続されることに。 

 

ーーこれをひっくり返す判断は誰が? 

 

安倍派幹部 会計責任者 

「分からないですね。復活したこと自体も、実を言うと知らなかったぐらいの話なので。ただ、ひとつだけ言えるのは、ずっと続いていたことを止めるというのは、やっぱり安倍先生ぐらいの強権が無いと、無理だと思います。ただ、それを以前(キックバックを継続する)に戻すというのは、比較的簡単ではないかと」 

 

特捜部は今回、会計責任者のみならず、議員との“共謀”を立証しようとしてきた。 

 

男性は、キックバック分を記載するかどうか、最初の判断を、会計責任者だけですることは考えられないと話す。 

 

安倍派幹部 会計責任者 

「(報告書に)載せないということに関しては、政治家が決めることだろうと。これは多分、会計責任者・秘書というよりは、先生方(議員ら)の問題だと思うんですけどね」 

 

――秘書が決めるような話ではない? 

 

安倍派幹部 会計責任者 

「ではないと思いますね」 

 

■「大野氏起訴は“尻尾切り”」 

 

議員側で最高額の約5150万円の裏金があったとして、在宅起訴となったのは、大野泰正 参院議員だ。 

 

19日、会見を開き、争う姿勢を示した。 

 

大野議員 

「全て事務所スタッフに任せておりました。ですから、私が収支報告書に関与したことはございません」 

 

大野議員の地元・岐阜県羽島市を訪ねると… 

 

街の人「(大野議員は)おじいちゃんと比べると格段の差がありますから。政治家一家として、普通の政治家とちがいます?」 

 

街の人「どうにもならへんやん!昭和の時代の政治家はみんな、国民の為に尽くしたけど、今の2代目3代目のおぼっちゃんは東京育ちなので…自分のお金のためにやっているだけだ」 

 

 

大野議員は、父は元労働大臣、母も元参院議員という政治家一家に生まれた。 

祖父の大野伴睦 氏は、自民党副総裁や衆議院議長を務め、「政治は義理と人情だ」という名言も残した。 

 

当初、計画がなかった東海道新幹線「岐阜羽島駅」の開業にこぎつけ、“田んぼの中の政治駅”と騒がれたことも。 

今も、岐阜羽島駅の前には、大野伴睦 氏の銅像が立っている。 

 

18日、大野議員の後援会の元責任者が取材に応じた。 

議員が起訴されたことに、こう憤る。 

 

大野議員の後援会の元責任者 

「“トカゲの尻尾切り”は、僕は許されないと思います」 

 

元責任者によると、大野議員は、岐阜県議の頃から、“カネにはクリーン”だったという。 

 

大野議員の後援会の元責任者 

「選挙違反になることは細かいことまで全てチェックし、派手な服を着ない、派手な車に乗るわけじゃない。本当に慎ましい生活をしながら、コツコツと上にあがられた人です」 

 

5000万円を超える裏金疑惑について、こう断言する。 

 

大野議員の後援会の元責任者 

「選挙の時に、あまりにも大きなお金がかかることが、そもそもの原因だと思います。上からの指示があって、それに従わざるを得なかったと僕は思っています。自ら率先して、キックバックを、不正に収支報告書に載せないような人ではないと僕は信じています」 

 

■谷川氏支援者「もうこれで終わり」 

 

一方、議員本人の責任が大きいと語るのが、略式起訴された谷川弥一 議員の後援会長、島信行さんだ。 

 

谷川やいち後援会 島信行 会長 

「谷川に対する支持は、もうなくなってると思います、後援会としてはですね。(後援会で)谷川さんも、もうこれで終わりだねと。我々も、もう今後は応援しないよっていうようなことは、いくつも聞いてますからね。私自身も、これを機にですね、今後、政治家との付き合いというのは一切やめようというように、もう決意しております」 

 

去年12月、地元で取材に応じた谷川議員は… 

 

――会派の中でそういったことがあった? 

 

谷川議員 

「頭悪いね。言っているじゃないの。質問しても、これ以上、今日は言いませんって、言ってるじゃない?わからない?」 

 

 

谷川やいち後援会 島信行会長 

「呆れたと言ったら失礼なんですけどね、我々に対しても、経緯をやっぱり説明して欲しいなと、本当に心底そう思ってます。そういうことがですね、今まで20年間支えてきた後援会のみんなに対する、ひとつの礼儀かなと」 

 

実は、島さんは去年12月から、“誹謗中傷”を受けているのだという。 

 

届いたハガキの文面 

「谷川議員の裏金問題は、貴方たち後援会が組織的に行ってきた事です。貴方の行動、振る舞いが一番「ガン」になっている。貴方も谷川議員から貰っていませんか?」 

 

谷川やいち後援会 島信行 会長 

「私までね、地域振興を阻害している、ひとつの大きな“ガン”である、なんて言われてね、私は地域のために一生懸命、一生懸命あらゆることで努力してきたなと思ってるのにね。逆に我々も、ひとつの被害者だなと、このようにも思ってますね」 

 

かつて谷川議員の政治団体に寄附をしていたこともあった、会社経営者の三宅敏彦さん。 

 

谷川氏の元支援者 三宅敏彦さん 

「なんでそんな馬鹿なことをしたのかというのが本音ですね」 

 

特に憤るのは、議員たちが支援者から金を集めながら、キックバックを報告していなかったことだ。 

 

谷川氏の元支援者 三宅敏彦さん 

「コロナで売り上げがダウンしてですね、赤字が続いたんですけど、やっと回復してきて、やっと税金が払えるようになったなっていう、そういう気持ちなんですよね。我々みたいな零細企業から、1円でも取るっていうぐらい、もう本当に厳しくされますから。国を司ってる人たちが、本当は見本を見せていかないといけないんじゃないですかね」 

 

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