( 131259 )  2024/01/22 13:04:44  
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安倍派のパーティー裏金事件を受け、東京地検特捜部は政治資金規正法違反で複数の派閥に関わる人物を立件した。

この中で、岸田首相は岸田派を解散すると決定した。

これにより、安倍派や二階派も同調せざるを得ず、派閥の存続は不可能とされる。

岸田首相は、自民党の総裁選挙で支援を受けて勝利した派閥にも何も知らせず、解散を決断した。

この動きにより、派閥政治が一掃され、岸田首相には政治のフリーハンドが生まれるとの見方が広がっている。

更に、岸田首相は2025年の大阪・関西万博を中止する可能性も検討している。

このような動きには国内外で関心が寄せられており、岸田首相の行動には様々な期待や懸念が寄せられている。

(要約)

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GettyImages 

 

 「今でも信じられません。しかしこうなったら、岸田首相の英断についていくだけです」 

 

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 こう話すのは、岸田派の国会議員のひとりだ。 

 

 安倍派のパーティー裏金事件で、東京地検特捜部は政治資金規正法違反(不記載)で安倍派の清和政策研究会に加えて、二階派、志帥会の会計責任者ら2人を在宅起訴し、岸田派の宏池会の元会計責任者を略式起訴した。安倍派5人衆と呼ばれた幹部については、1000万円を超す高額な不記載がありながら立件されなかった。 

 

 ところが、ここで世論の反発を見越し、先手を打ったのが岸田文雄首相だった。特捜部の処分結果発表前日となる1月18日夕方、「岸田派を解散するつもりだ」とメディアに表明し、「岸田の乱」に打って出たのだ。 

 

 池田勇人によって創設され、大平正芳、鈴木善幸、宮澤喜一、そして岸田文雄と、歴代総理を5人輩出した宏池会は、自民党の保守本流とされてきた名門派閥。この岸田派を自らの手で、解散すると表明したのだ。 

 

 「岸田首相は、元会計責任者が立件されることが確実視されるなか、18日朝に、腹心の林芳正官房長官と会談して岸田派を解散する意向を示した。林氏は『岸田首相の鬼気迫る話しぶりに押され、了承するほかなかった』と言っていた。 

 

 林氏の確認がとれると、岸田首相は次々に派閥の幹部を呼び出し、一人ずつに岸田派解散を了解をとりつけて発表した。途中『派閥全員で決めるべきではないか』と派閥総会を開催すべきという横やりが入ったが、岸田首相は一顧だにせず、解散を貫いた」(前出の岸田派国会議員) 

 

 政治評論家の田村重信氏は、自民党で長く政務調査役を務める前、宏池会のスタッフとして働いた経験がある。田村氏が語る。 

 

 「ふつう、総理大臣になったら派閥会長はやめます。しかし、岸田首相は安倍派のパーティー裏金事件発覚まで辞めなかった。それほど宏池会への愛着があり、かつ派閥が頼りになることをわかっている。 

 

 だが、安倍派・二階派だけでなく岸田派も刑事責任を問われることになり、派閥政治を自ら終わらせるべきと判断したのでしょう。本当は安倍派が先に解散と決めなければならないのに、岸田首相に出し抜かれた。 

 

 こうなれば、安倍派にせよ二階派にせよ、守旧派だ、カネのためだと非難されるのは必至で、解散するしかない」 

 

 岸田首相が安倍派、二階派にも「引導」を渡したと解説するのだ。 

 

 

1月19日に開かれた安倍派の臨時総会 (c)現代ビジネス 

 

 政治資金収支報告書への不記載は、安倍派が約6億7000万円、二階派が約2億6000万円とされる。一方で、岸田派は3000万円と桁が違う。少額の岸田派が解散するというのだから、安倍派や二階派も同調せざるを得ない。もはや「派閥」の存続は不可能であろうという見方が自民党では大勢だ。 

 

 だが、麻生太郎副総裁率いる麻生派と茂木敏允幹事長が会長の茂木派は特捜部の立件を免れている。この二派はどうなるのか。 

 

 19日、岸田首相は麻生氏と自民党本部で会談。「派閥の解散はしない」と麻生氏は伝えたという。茂木氏も麻生氏に同調。 

 

 「何も知らされず派閥解散をぶち上げた岸田首相に、麻生会長はめちゃくちゃ怒っていた」(麻生派の国会議員) 

 

 田村氏が続ける。 

 

 「これまで岸田首相は何かあるとまわりの派閥の顔色をうかがいながら、行動してきた。2021年の自民党総裁選挙で勝てたのは、この2つの派閥に加え安倍派の支援があったから。しかし今回は、麻生氏、茂木氏には何も知らせず派閥解散を決断した。 

 

 自民党の派閥を潰すということは、その長である麻生氏や二階俊博元幹事長にも、政界引退を迫る流れを意味する。岸田首相は、今年秋の自民党総裁選挙で負けても構わない、『岸田おろし』が起こったところで総理の椅子からおりてもかまわないと考えているのではないか。 

 

 そうとなれば、もはや派閥の世話になることもないと考え、清水の舞台から飛び降りるように『岸田の乱』に出たと推測します」 

 

 自民党が長年、政権を取ってきた原動力でもあった派閥政治だが、それが一掃され、岸田首相自身に再選も視野にないというのであれば、 

 

 「岸田派を解散し、他の派閥も右にならえとならざるをえない。そうなると岸田首相には怖いものがなくなり、フリーハンドですよ。そうなると、低迷する支持率回復のためにどんな手を打つのか」(前出の岸田派の国会議員) 

 

 と、岸田首相の動きに永田町も戦々恐々となっているというわけだ。 

 

 そこで注目されているのが2025年4月開幕の大阪・関西万博だ。 

 

 

(c)現代ビジネス 

 

 これまで建設費が1250億円から1850億円、そして2350億円と増額を続ける万博。それ以外にも運営費が約800億円から1160億円にアップとさらなる税金投入が批判を浴びている。 

 

 1ヵ月ほど前に岸田首相と話したという自民党幹部は驚きの証言をした。 

 

 「岸田首相は万博をこのまま開催していいのか、ちょっと首をかしげてたんだよ。外務大臣を長く務めた経験があるので、国際的な万博の重要度はよく理解している。 

 

 だが、パビリオンなどの建設遅れや地震など災害時の安全性も危惧されるなかで『再考しなければならないことがあるかも』と口走っていた。 

 

 年が明けて、能登半島地震が起こりとんでもない事態となっている。どうも岸田首相は万博の中止もしくは延期を決断する可能性が出てきた」 

 

 万博中止となれば、岸田派解散以上のインパクトがある。 

 

 1月16日、日経新聞の名物コラム「大機小機」に掲載されたひとつの記事が話題を呼んだ。「大阪万博より震災復旧を」と題したこのコラムはこう綴っている。 

 

 《能登半島地震の被害からの復旧に向けただでさえ足りない人出を同地域に振り向ける工夫が求められる》 

《万博にかけている人手を被災地支援・復興事業に回せば公益に資する》 

 

 万博の縮小開催か中止を意見しているのだ。 

 

 日本の経済界がこぞって賛意を示し、3分の1の費用負担をしている万博の開催に対し、財界御用達の日経が「待った」をかけたわけだ。SNSでは日経新聞の主張に賛同する「いいね」が相次ぎ「トレンド入り」した。 

 

 前出の自民党幹部が続ける。 

 

 「岸田派の解散となれば、岸田首相への支持率が急激にアップするはずだ。それに加え、能登半島地震への復旧を優先して万博の縮小ないし延期・中止であれば、世界的な評価も高まるはず──外相経験のある岸田首相ならではのセンスだ。 

 

 これから、日本の建設事業は人も資材も重機も、万博に一極集中となることは明らかだ。つまり能登半島地震の復旧はあとまわしになる。 

 

 岸田首相は遅れに遅れている万博の準備に、昨年8月には大阪府の吉村洋文知事を呼びつけるほど、イラついている。維新に任せておいては万博開催が危ないからだ。それならいっそ、震災復旧、復興という理由なら国際的な理解も得られるので、縮小なり中止ということも十分、考えられる」 

 

 一方で万博に突き進んできた日本維新の会、馬場伸幸代表は 

 

 「万博は被災地復興の障害ではない。北陸のみなさんにも、新たな夢や希望を持ってもらえるイベント」 

 

 と被災者の逆鱗に触れかねない対応で、火消しに躍起だ。だが、岸田首相の周辺からは、こんな話も聞こえてくる。「自見華子万博担当相の口から、いつ能登半島地震復旧、万博見直しを言わせるか」──そのタイミングを図っているというのだ。 

 

 何よりも大事なのは、復旧と復興であり、そのためにも政治とカネの問題に終止符を打つことだ。派閥の解散という究極の一手を打ってきた岸田首相。「次の手」は「万博の中止」となるか。 

 

能登半島地震で記者が見た異様な光景…軽装でスマホ片手に被災地入りする「闖入者」たちの姿とは もあわせてお読みください。 

 

現代ビジネス編集部 

 

 

 
 

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