( 132338 )  2024/01/25 14:14:31  
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日本銀行は23日の金融政策会合でマイナス金利の解除を見送り、緩和政策を維持することを決定した。

今後の金融引き締めの可能性も指摘されているが、4月の大型補選を考慮して植田総裁がどのような判断を下すかが注目されている。

3月の会合までに賃上げの状況が明らかになることで、解除の可能性が高まるかもしれないとの見方もあるが、市場は解除のサプライズに対して慎重な姿勢を示している。

(要約)

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今会合では緩和を維持したが(植田総裁)/(C)共同通信社 

 

 株高バブルに浮かれていられるのも今のうちか──。日銀は23日の金融政策決定会合で、マイナス金利の解除を見送り、緩和維持を決めた。能登半島地震による影響や今年の春闘の動向などについて議論し、物価上昇と賃上げの好循環がまだ実現できていないと判断した。 

 

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 市場では4月会合(25、26日)で、金融引き締めとなるマイナス金利を解除するとの見方が強まっている。 

 

「4月会合の時点で春闘の結果はほぼ出揃います。経済・物価情勢の展望リポートを公表する会合でもある。賃上げの結果と最新の物価見通しを示し、解除の理由を説明できます」(市場関係者) 

 

■植田総裁は4月の大型補選を考慮か 

 

 ところが、4月会合での解除決定は困難との見方が一部で浮上している。28日投開票予定の補欠選が注目の大型選挙になりそうだからだ。元々、予定されていた衆院島根1区に加え、派閥の裏金事件や江東区長選の買収事件で議員辞職が相次ぎ、少なくとも3カ所で実施される可能性がある。 

 

「中央銀行のトップは政治日程に配慮します。もし、4月会合で解除し、直後の補選で自民党が大敗すれば、直前の金融引き締めが影響したように見えてしまう。大型補選になれば、政権とギクシャクするのを避けるため、植田総裁は配慮せざるを得ないでしょう」(金融ジャーナリスト・森岡英樹氏) 

 

 その場合、3月会合(18、19日)に前倒しするか、6月会合(13、14日)以降にするかの判断になる。 

 

「6月以降はいつ衆院が解散されてもおかしくない政治状況が予想され、植田総裁はズルズルと解除を打てなくなってしまう。ならば、サッサと3月会合で踏み切るのではないかとの見方が一部であります」(金融関係者) 

 

 3月会合の時点では日銀が重要視する賃上げの状況も見えてくる。連合の集計(1月15日時点)によると、加盟193組合が3月11~15日に回答引き出しを目指している。大企業中心で春闘の流れを決める重要な回答だが、3月会合はその直後だ。 

 

「11~15日の回答が昨年を上回る高水準なら、全体の結果が出揃う前でも、植田総裁は持続的な賃上げを確認できた、とマイナス金利解除に踏み切る可能性は十分あるでしょう」(森岡英樹氏) 

 

 

空前の株高に沸いているが… 

 

 植田総裁は23日の会見で「(3月会合時点で)賃金回りのデータもある程度出てくる」と語っている。23日公表の展望リポートでは、物価目標実現の確度について「少しずつ高まっている」との文言が加わった。近く、解除するための布石ともとれる。 

 

 3月解除は市場にとっては想定外のサプライズ。日経平均は34年ぶりの3万6000円台に沸いているが、一気に水を差すことになる。 

 

「3月会合の19日火曜午後にマイナス金利解除が伝えられると、市場はパニック。外国人投資家のろうばい売りで、日経平均は暴落しかねません。しかも、19、20日のFOMC(米連邦公開市場委員会)では、1回目の利下げが有力視されています。日銀の利上げ直後にFRB(米連邦準備制度理事会)が利下げを行えば、日米金利差は一気に縮小。その予測も織り込まれ、急激な円高を招き、さらに株価は大暴落に向かう恐れがあります」(森岡英樹氏) 

 

「暗黒の火曜日」はやって来るのか。 

 

 

 
 

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