( 132632 ) 2024/01/26 13:30:19 1 00 東京や日本を襲う可能性がある首都直下地震、南海トラフ巨大地震、そして富士山噴火についてまとめた記事が紹介されています。 |
( 132634 ) 2024/01/26 13:30:19 0 00 〔PHOTO〕iStock
首都直下地震、南海トラフ巨大地震、富士山噴火……過去にも起きた「恐怖の大連動」は、東京・日本をどう壊すのか。
【写真】日本人が青ざめる…突然命を奪う大災害「最悪すぎるシミュレーション」
2024年の必読書『首都防衛』では、知らなかったでは絶対にすまされない「最悪の被害想定」がありありと描かれている。
(※本記事は宮地美陽子『首都防衛』から抜粋・編集したものです)
南海トラフでの巨大地震は約100~150年の間隔で発生している。直近が1944年の「昭和東南海地震」(M7.9)と1946年の「昭和南海地震」(M8.0)であることを考えれば、いつ巨大地震が襲来しても不思議ではないタイミングといえる。
では、南海トラフ巨大地震が襲いかかってきたとき、政府はどのような対応を見せるのか。国の中央防災会議幹事会が2015年3月に決定し、2023年5月に再改定した「南海トラフ地震における具体的な応急対策活動に関する計画」の中身を見ていこう。
基本的には首都直下地震における対処行動と同様に、国家の総力を挙げた応援活動が展開される。
応援部隊の派遣規模は警察が約1万6000人、消防は約2万1000人に上り、自衛隊も約11万人投入される。国土交通省の緊急災害対策派遣隊「TEC-FORCE」は約1360人派遣され、航空機約490機、船舶約530隻も投じられる。
医師や看護師らで構成する災害派遣医療チーム「DMAT」が陸路や空路で参集するのも同じだ。
写真:現代ビジネス
国は地震発生直後の被害推計を踏まえて応援部隊派遣や物資支援の地方別割合を算定し、域内の警察・消防機関の勢力に比して甚大な被害が想定される「地震重点受援県」を特定する。
静岡、愛知、三重、和歌山、徳島、香川、愛媛、高知、大分、宮崎の10県を想定しており、緊急輸送ルートの確保や救助・医療、物資・燃料の提供などに乗り出す。被災地からの要請を待たずに「プッシュ型」で支援するのも、首都直下地震における応急対策活動と同様と言える。
被災府県の拠点には発災後4~7日間に必要な救援物資を輸送する計画で、具体的には飲料水46万立方メートル、食料1億800万食分、毛布570万枚、乳児用粉(液体)ミルク42トン、簡易トイレ9700万回分、トイレットペーパー650万ロール、生理用品900万枚などを想定している。
関東から九州にかけてさまざまなダメージが生じ、経済被害が東日本大震災の約10倍にも達するという重要性を踏まえ、国家を挙げた応急対策活動のレベルは「首都防衛策」に匹敵するものだ。
ただ、この「南海トラフ巨大地震作戦」にも「穴」がないわけではない。一つ目は、南海トラフ巨大地震が東側と西側の時間差で連続発生する可能性があることだ。
一度目の「半割れ」で甚大な被害が生じた場合でも、二度目の巨大地震に備えなければならない各自治体の警察や消防などが地元を離れることができるのかは疑問が残る。
巨大地震の連発が予想されるときには、計画通り他県に応援に回るほどの余力がない可能性は小さくないだろう。東西の道路が寸断される超広域の大災害発生時においては、それぞれの地元で活動するだけで精一杯となりかねず、消防や警察の応援の数は被害に対して不足している。
京都大学の河田惠昭名誉教授は「起きてほしくないことは、そこまでは起こらないでしょうと考えてしまう。想像を超えることが起こるという、それなりの覚悟をしておかないと助からない」と指摘する。
2023年1月、東大地震研究所と京大防災研究所、東北大災害科学国際研究所は南海トラフ巨大地震が連続発生する確率を発表した。
一度目の巨大地震が発生した後に、別の「後発地震」が起きる確率は約2~77%で、平時の約100~3600倍になると算出している。発生予測には不確実性が伴うものの、世界の他地域と比べて巨大地震が連発する発生確率は大きい可能性があるという。
そして、二つ目の課題は、南海トラフ巨大地震と首都直下地震が連動する可能性がある点だ。たとえば、南海トラフ巨大地震が連続して発生する前後で首都直下地震が襲来するケースが考えられる。
最初に首都直下地震が発生すれば、国家の命運を賭けた大作戦は首都に向かう。つまり、南海トラフ巨大地震が起きても計画通りにリソースが割けないことを意味する。逆に南海トラフ巨大地震が最初に生じれば、首都防衛のための応急対策活動は力を大きく失う。
国は首都直下地震と南海トラフ巨大地震という二つの大地震が襲来した場合の対応は考えているものの、南海トラフ巨大地震の連続発生や首都直下地震との連動までは描き切れていないのだ。
しかし、我が国の歴史を振り返れば「連続発生」「連動」は十分に起こり得ると言える。
いざ、そのときを迎えたら国はどうするのか。南海トラフ巨大地震の応急対策活動計画は改定されたばかりだが、大地震が単発ではなく連続して生じ得るとの前提に立った想定は欠かせないだろう。
つづく「『まさか死んでないよな…』ある日突然、日本人を襲う大災害『最悪のシミュレーション』」では、日本でかなりの確率で起こり得る「恐怖の大連動」の全容を具体的なケース・シミュレーションで描き出している。
宮地 美陽子(東京都知事政務担当特別秘書)
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