( 133589 )  2024/01/29 12:53:16  
00

日本の新書『日本の死角』が日本と日本人の謎や難題に迫り、日本の災害避難所の問題点を取り上げている。

日本では災害時に体育館が避難所として利用されるが、その狭さや設備の不十分さが指摘されるなか、国際基準と比べても不十分だという。

避難所での劣悪な生活環境が災害関連死につながるケースも報告されている。

この現実に目を向け、改善を求める機会として書籍が呼びかけている。

(要約)

( 133591 )  2024/01/29 12:53:16  
00

〔PHOTO〕iStock 

 

 いま日本はどんな国なのか、私たちはどんな時代を生きているのか。 

 

 日本という国や日本人の謎や難題に迫る新書『日本の死角』が8刷とヒット中、普段本を読まない人も「意外と知らなかった日本の論点・視点」を知るべく、読みはじめている。 

 

【写真】人生で「成功する人」と「失敗する人」の意外な違い 

 

 自然災害時の避難場所としては、床に毛布を敷いて大勢がひしめきあう体育館が思い浮かべる方も多いだろう。 

 

 しかし、それを当たり前と思ってはいけない。 

 

 海外の災害避難所と比べれば、日本の問題点が浮き彫りになる。 

 

 〈日本と同じ地震国のイタリアでは、国の官庁である「市民保護局」が避難所の設営や生活支援を主導してきた。 

 

 2009年4月のイタリア中部ラクイラ地震では、約6万3000人が家を失った。この大被害に向けてイタリア政府は、初動48時間以内に6人用のテント約3000張(1万8000人分)を完備し、最終的には同テント約6000張(3万6000人分)を行きわたらせた。 

 

 ただし、実際にテントに避難したのは約2万8000人である。それよりも多い約3万4000人に割り当てられた避難所はホテルであった。もちろん宿泊費は公費で支払われる。仮設の避難所や体育館よりも、ホテルで避難生活をする人が多いのである。〉(『日本の死角』より) 

 

 しかも、テントといってもキャンプ用のような簡易なものではなく、「約10畳」の広さで電化されてエアコン付きであるというから驚きだ。 

 

 そんな日本の体育館の避難には、いくつもの問題がある。 

 

 「1人あたりの面積が狭い」「大人数のため常に騒音や混雑感があり落ち着かない」「1人用のベッドや布団がない、または不足している」「エアコンや入浴施設がない」……挙げたらキリがないが、それは避難者に直接の被害となって現れる。 

 

 〈2016年4月の熊本地震では、地震の後で体調を崩すなどして死亡に至った「災害関連死」のうち45%にあたる95人が避難所生活や車中泊を経験していたという(NHK調べ・2018年5月1日現在)。劣悪な避難所生活が、避難者の生命と健康を削っているのである。 

 

 体育館の床の上だけでなく、学校の廊下で寝起きをした例もある。1人あたりの面積が1畳ほどしかない避難所もあり、「難民キャンプより劣悪」という声も出た。〉(『日本の死角』より) 

 

 じつは国際赤十字などが策定した最低基準では、「世帯ごとに十分に覆いのある生活空間を確保する」「1人あたり最低3.5平方メートル以上の広さで、覆いのある空間を確保する」「最適な快適温度、換気と保護を提供する」「トイレは20人に一つ以上。男女別で使えること」などが定められている。 

 

 台風の避難でも体育館が利用されるかもしれない。避難所の運営や援助の方法に欠けているという現実を直視する機会としたい。 

 

現代新書編集部 

 

 

 
 

IMAGE