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石川県輪島市のキリコ会館多目的広場に建設された仮設住宅が完成し、被災者が入居を開始する。

能登半島地震の被災者向けに着工された1248戸のうち、6ヶ所が津波浸水想定区域内にあり、地元では災害リスク軽減と生活再建の両立が難しい状況だ。

住宅は浸水に備えてコンクリートブロックを用いたもので、3月末までに3000戸を着工し、1300戸を完成させる予定だが、地元での生活を希望する被災者の受け入れが課題となっている。

(要約)

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輪島市のキリコ会館多目的広場に完成した仮設住宅。津波浸水想定区域内にある場所のため、住宅の下にはコンクリートブロックが設置されている=石川県輪島市で2024年2月2日、平川義之撮影 

 

 能登半島地震の被災者に向けた仮設住宅が石川県輪島市で初めて完成し、3日から入居が始まる。県は避難生活の早期解消を目指し、1月に22カ所で1248戸を着工したが、うち6カ所(293戸)は津波の浸水想定区域内にある。山地が多い能登半島では建設用地の確保が難しい事情があり、地元での生活再建と災害リスク軽減の両立は簡単ではない。 

 

【写真まとめ】輪島市に完成した仮設住宅、内装は? 

 

 完成したのは、輪島市の海沿いにあるキリコ会館多目的広場の18戸。市によると平均で約60センチの浸水が想定されるため、住宅の下にブロックを置いて約70センチかさ上げした。現地を視察した坂口茂市長は2日、地震の影響で地盤が1・5メートルほど隆起していることから「浸水に耐えられる」との見解を示した。さらに28戸をこの場所で建設中だ。 

 

 県によると、他にハザードマップで津波の浸水想定区域に含まれるのは、珠洲市のみさき小グラウンド(50戸)など3カ所と、穴水町の町民農園(43戸)など2カ所。このうち1カ所は土砂災害警戒区域にも入っている。こうした建設用地について、馳浩知事は「地域のコミュニティーを維持することを第一に、市の要望を基に決定した」と説明する。 

 

 東京大大学院の片田敏孝特任教授(災害社会工学)は「可能ならば安全な場所に建設すべきだが、地理的条件なども考慮すれば、仕方のない側面が大きいのではないか」との見方を示す。その上で、緊急時の避難経路を考慮して住宅を設置する必要性を指摘した。 

 

 県は3月末までに約3000戸を着工、約1300戸を完成させる予定。入居申請は輪島市など4市町だけで約7000戸に上っており、受け付けをまだ始めていない自治体もある。地元で生活したい被災者の希望にどこまで沿えるかが課題となっている。【露木陽介、郡悠介、高橋広之】 

 

 

 
 

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