( 135422 )  2024/02/03 13:27:51  
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自民党の永田町で「裏金議員ランキング」と呼ばれる怪文書が流出し、政治資金パーティーの裏金事件が国会に波及した。

怪文書には25人の議員がリスト化され、彼らが政治資金収支報告書に記載されていない裏金を受け取っていたとしている。

特に安倍派の議員が顕著に含まれており、その裏金疑惑に対応して多くの修正申告が行われた。

野党側が裏金を受領した議員リストの提出を求めており、議会では激しい攻防が展開されている。

安倍派や他の派閥は解散する動きを見せており、政治資金に対する透明性が求められる一方で、派閥解消が新たな問題を引き起こす可能性も指摘されている。

(要約)

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集英社オンライン 

 

「裏金議員ランキング」――。通常国会が開会し、岸田文雄首相が衆参両院の本会議で施政方針演説を行った直後の1月31日、永田町でこう銘打たれた“怪文書”が出回った。 

 

〈永田町で「裏金議員ランキング」なる怪文書が流出!〉大野泰正、池田佳隆、谷川弥一の“裏金高額3兄弟”に続く議員は…⁉ 

 

昨年末から自民党を直撃している派閥の政治資金パーティー裏金事件は、国会にも波及している。通常国会は1月26日に召集されたが、通例では初日に行われるはずの首相の施政方針演説をはじめとする4閣僚による「政府四演説」が1月30日先送りされ、初日となった1月29日には「政治とカネ」をめぐる衆参両院の集中審議が行われる波乱の幕開けとなった。 

 

その直後、永田町関係者に一斉に広まったのが、「裏金議員ランキング」と銘打たれた“怪文書”である。 

 

リストアップされた議員は25人。自民党派閥の政治資金パーティーの売り上げのうち、議員各自に課された「ノルマ」を超過した資金の環流部分、いわゆる「キックバック」を受けながら政治資金収支報告書に記載していなかった資金が「裏金」と指摘され、その金額が多い議員をランキングにしたものだ。 

 

裏金の金額と、議員の名前、所属派閥と選挙区、さらには「これまでの主な役職」として過去の党内での役職や大臣、副大臣、政務官の「政務三役」の経験の有無などが一覧できるようになっている。 

 

「裏金の額が最も多かったのが大野泰正参議院議員の5100万円。ついで池田佳隆衆院議員の4800万円、そして、一連の事件の発覚を受けて辞職した谷川弥一前衆院議員の4355万円と続きます。上位3人に共通するのは金額が4000万円以上と突出して多いことと、いずれも『安倍派』である点、さらに大野氏が在宅起訴、池田氏が逮捕、谷川氏が略式起訴という刑事処分を受けたところにあります。 

 

怪文書の中では、特に4位以下の残り22人について『4000万円以下未だお咎めなし』と強調しています。作成者が誰なのかは判然としませんが、収支報告書の虚偽記載で、会計責任者だけが処罰対象となる政治資金規正法の問題点を指摘したいという意図はうかがえます」(全国紙政治部記者) 

 

 

実はこの怪文書が出回った1月31日、永田町では大きな動きがあった。この日、政治資金制度を所管する総務省に、自民党の「清和政策研究会」、つまり裏金事件が直撃している「安倍派」が過去3年分(2020~22年)の修正申告を行ったのだ。 

 

これにより、これまで収支報告書に記載していなかった議員へのキックバック分が明らかになり、安倍派に所属する各議員も一斉に自身の収支報告書を修正。具体的な裏金の額が一気に明るみに出たことが、怪文書拡散の背景にあったようだ。 

 

安倍派については、すでに政治団体としての解散をする方針を決めており、2月1日には自民党本部で最後の総会を開催。これに先立って所属議員が派閥の動きに足並みを合わせて収支報告書の修正に動いた格好だが、永田町を取材現場とする記者たちからはこんなブーイングも漏れていた。 

 

「安倍派の所属議員のなかには、政治資金について沈黙を貫いた議員が少なくなかった。『派閥の指示があった』といち早く明かした宮沢博行衆院議員のような例外もありましたが、所属議員の多くは取材に対してダンマリを決め込んでいた。 

 

そのために記者たちは総務省に出された収支報告書を手がかりにして各事務所に問い合わせるしかなく、タイトな時間での作業を強いられました。 

 

なかには事前に『キックバックはないかもしれない』とシロをアピールしながらも、多額のキックバックを受けていたケースもあった。国会では『政治とカネ』についての野党からの追及を受けていますが、本当に反省しているのかと問いたくなりましたよ」(前出の政治部記者) 

 

裏金事件をめぐっては、野党側が、「実態解明のため」として裏金を受領した議員リストの提出を求めるなど、国会での攻勢を強めている。 

 

世論の反発も受け、岸田文雄首相が、自身を本部長とする「政治刷新本部」を立ち上げて政治不信の払拭に躍起となっており、総裁派閥の「岸田派」(宏池会)をはじめとして、「安倍派」(清和政策研究会)や「二階派」(志師会)、「森山派」(近未来政治研究会)が次々と解散を発表。森山裕総務会長ら党幹部が収支報告書の不記載があった議員からの聴取も始めた。 

 

連立を組む公明党側からは、収支報告書での不正があった場合、議員本人も法的責任を負う「連座制」の適用を提案されるなど、身内からの圧力も日に日に強まっている。政治資金規正法の改正も含めた抜本的な対策が不可避の情勢だが、議員側からはこんな声も漏れ聞こえる。 

 

「派閥を解消するのは情勢としてしかたがない面もあるが、政治資金の受け皿となる政治団体がなくなってしまえば、カネの流れはかえって見えにくくなる。これまでよりも裏金づくりに走る議員が出てくることにもなりかねない。派閥のガバナンスが効かなくなることによる弊害もあるはずだ。今の情勢ではこんなことも大きな声では言えないのだろうが……」 

 

政界を覆う「黒い霧」は我々庶民が想像する以上に濃いのかもしれない。 

 

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班 

 

 

 
 

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