( 135427 )  2024/02/03 13:33:15  
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吉原馬雀は、師匠の三遊亭圓歌に対するパワーハラスメントを訴え、東京地裁で80万円の損害賠償を勝ち取った。

圓歌は訴訟で事実を認めたが、「師弟関係」の一環として違法性は認められないと主張したが認められなかった。

馬雀は、会見で「弟子にも人権がある」と訴え、業界の改革を呼びかけた。

圓歌は落語界で知られる人気落語家だが、これによって一般にも名前が広まり、皮肉な結果となっている。

(要約)

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判決後、会見を開いた吉原馬雀 

 

 芸能界の旧弊を打破する波が落語界にも訪れたのか。東京地裁は1月26日、落語家・三遊亭圓歌(64)に対し、元弟子に対する「指導」がパワーハラスメントに該当するとして、元弟子に80万円の損害賠償を払うよう命じた。 

 

【画像】「『メガネ外せ!』と怒鳴り、平手打ちにしたり……」元弟子へのパワハラで80万円賠償判決を受けた三遊亭圓歌(64) 

 

「訴えたのは落語家の元三遊亭天歌、現吉原馬雀(41)です。圓歌がことごとく馬雀らに辛く当たり、殴ったり悪口を浴びせたりするだけでなく、ときには坊主刈りや先代の墓掃除を命じたりしたことも事実として認定。一部をパワハラと認めました」(司法担当記者) 

 

 圓歌は鹿児島出身。大げさな身振りで威勢のよい落語で知られ、豊富な新作に加えて古典もこなす人気落語家だ。師匠の三代目三遊亭圓歌門下で長く三遊亭歌之介として親しまれたが、2019年に四代目三遊亭圓歌を襲名した。落語協会の理事にも就くなど、落語界で知らぬものはいない存在だ。 

 

 落語に詳しい関係者は、「高座での人気は高い一方でテレビでの露出は少なく、一般への知名度はさほどではありません。今回の訴訟で落語に詳しくない人にまで名前が広まったかと思うと皮肉なことです」とため息をつく。 

 

 一方の馬雀は写真週刊誌「フライデー」などで一連のパワハラを訴えた後、「ハラスメント根絶」を掲げる、落語会随一の「理解ある師匠」吉原朝馬に弟子入りをし直し、落語家として復帰。その過程で一連の疑惑を東京地裁に持ち込み、多くが事実と認定された。 

 

「落語会のあと、常連との食事会で別の弟子の服装を『だらしない』と怒って食事会中、馬雀らをすのこの上で正座させたり、移籍を試みたことが判明すると『メガネ外せ!』と怒鳴り、平手打ちにしたり……。ほかにも『視界に入るな』『破門だ』と怒鳴った事実が裁判所のお墨付きとなりました」(前出・記者) 

 

 不思議なのは圓歌自身、訴訟で事実関係の大筋は認めていたことだ。圓歌はそれが「指導の一環」で「落語という文化芸術の伝承における師匠と弟子の関係性を踏まえると、違法性は認められない」とする“斜め上”の主張を展開したのだ。 

 

「今時『師弟関係が特殊だから』で逃げ切れると思う方が驚きですが、地裁は当然、主張を却下。ただ、墓掃除を命じたことなどには馬雀の自主判断の可能性があるとして一部の違法性は否定しました」(司法関係者) 

 

 判決後、馬雀は会見で「弟子にも人権がある」と訴え、「社会人の自覚が師匠にも弟子にも必要」と旧態依然たる業界に呼びかけた。 

 

 三代目の愛弟子として、親子のような師弟関係を、時に涙を誘いながら高座の枕としてきた圓歌。元弟子への自身のパワハラが裁判で認められた事態に、どうオチを付けるのか。 

 

「週刊文春」編集部/週刊文春 2024年2月8日号 

 

 

 
 

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