( 136135 ) 2024/02/05 14:45:31 1 00 中北朋宏氏は元お笑い芸人であり、現在は芸人のセカンドキャリア・転職を支援する『芸人ネクスト』と、心理的安全性や営業力を向上させる独自のノウハウ「コメディケーション」を提供している。 |
( 136137 ) 2024/02/05 14:45:31 0 00 仕事をしていくうえでフィードバックは大切ですが、やり方を間違えてしまうとパワハラになってしまうことも……(写真:Taka/PIXTA)
「人間の悩みは、すべて対人関係の悩みである」 と心理学者のアドラーが考えたように、ほぼ全ての人が人間関係で悩んだ経験があるはず。 「人から嫌われたくない」「飲み会のような場を避けたい」「面白いことを言わないといけない」。そんな悩みを一度でも感じたことのある方にオススメなのが「笑いの力」を利用すること。 元お笑い芸人である中北朋宏氏は、芸人引退後に未経験でコンサル業界に転職し、「笑いの技術」を駆使して3年で売り上げナンバーワンに。
【簡単にチェック】あなたのアドバイス、「陰湿」な印象になっていませんか?
その後、起業して株式会社俺を設立。現在は芸人のセカンドキャリア・転職を支援する『芸人ネクスト』と、「お笑い」と「コミュニケーション」を掛け合わせた、心理的安全性や営業力を向上させる独自のノウハウ「コメディケーション」を260社、2万6000人以上に提供している。 最新刊『おもしろい人が無意識にしている 神雑談力』では、中北氏のこれまでの経験から培った「笑いをビジネスに活かす技術」を網羅。
以下では、その中北氏が「若手から嫌がられるフィードバック」について解説します。
■フィードバックが「パワハラ」になる
あなたは「上司からの嫌なフィードバック」と聞いてどんなイメージをされるでしょうか?
「嫌なフィードバック」とひとことに言っても職種や職場環境によって、様々な形が存在すると思います。
とはいえ、「上司が一方的に叱ってくる」「職場の空気感が怖い」などのある種の「圧」のあるフィードバックを想起する人が多いのではないでしょうか。
私は人事コンサルタントとして260社以上の会社組織を見てきた経験や、自分の会社でも研修プログラムを運営している中での実経験を通して、令和の時代では「フィードバック」の形にも大きな変化が起きているなと感じています。
フィードバックをする上司はそんなつもりはなくても、パワハラ/ロジハラ(ロジックハラスメント)と部下に受け取られてしまうケースなどもあり、フィードバックをする側はいまアップデートを求められています。
またフィードバックを受ける側の部下も、発信側の意図せぬ受け取り方をしてしまっていることも多々あり、アップデートが必要かもしれません。
今回の記事では、フィードバックの仕方の変化から、「上司/部下」が「発信側/受け取る側」として、どんなアップデートが必要かを解説します。
期末に向けて、何かと面談やフィードバックの多いこの時期に、一緒に学んでいきましょう。
■「陰湿化」している現代のフィードバック
誤解を恐れず言うと、現代は本名も顔を出さず匿名で意見を言えることから、攻撃的な意見も増えてきていると感じています。
もちろん今までブラックボックスになってしまっていた問題が明るみに出ることで、解決や改善に向かう好事例もたくさんあります。
が、一方で、フィードバックをする側としては厳しいことを言わないといけない場面や、より高いレベルを求めないといけない場面でも、切り取られ方や受け取られ方によって、関係性が「炎上」してしまうことがあります。
そんなリスクもあり、正直なフィードバックをしづらい時代ともいえます。
これを読んでいる方の中でも、「部下に指摘するくらいなら、もう自分でやってしまおう」と一度や二度は考えたことのある上司の方がいるのではないでしょうか。
SNSの存在や時代の流れの後押しもあり、いわゆる「Z世代」というのは、他の世代が通過儀礼のように経験してきた「部活の顧問の先生の暴力」も通っておらず、他の世代と比べて最も理不尽が少ない世代であると私は感じています。
これはとても素晴らしいことではあるのですが、正直まだまだ世の中には理不尽が存在し、自分の意見や考えが通らないことは多々あります。
ただいきなり社会に出てもこの現実が受け入れづらく、関係性の無意味な炎上が生まれやすくなっています。
このような時代の背景により、双方悪意がなくとも、フィードバックをする側は指摘がしづらく、受ける側も正しく受け取りにくい「歪み」が生じています。
その歪みにより、フィードバックをする側は、「直接的なフィードバック」や「明確なダメ出し」を避けるようになってきました。
また中には、パワハラになる強い指導ができなくなったため、部下に対する嫌味をフィードバックの中に巧妙に入れている、言語道断なケースも見受けられます。
そんな中で生まれてしまっているのが、「陰湿なフィードバック」です。
では、陰湿なフィードバックにはどのようなものがあるのでしょうか?
■絶対NG! 「陰湿」フィードバック3選
前段にあるような背景から「直接的なフィードバック」や「明確なダメ出し」を避けるようにした結果、「本当は言いたいし、言わないといけないけど、言えないので察してほしい」という気持ちでフィードバックをしてしまう方が増えています。
これは逆効果で、受け取る側からしたら「結局何が悪かったのかはわからないが、相手が不機嫌なことは伝わった」となってしまい、最悪の場合「陰湿である」と受け取られてしまいます。
まずは「陰湿に聞こえているかもしれない」NGフィードバック3選を紹介します。
そして、それをどのように改善していくと良いのかを最後にお伝えします。
NGフィードバック① 「もうちょっと頑張れると思ったのに……」とボソッと言う 遠回しにネチネチと言っている印象になってしまい、どんな指摘をしたいのか本体の意図が伝わりません。
またボソッと言うことで変に本音感が出てしまうので、受け手としてはかなり陰湿感強めに見えています。
部下の落ち度や甘さは指摘しなければいけません。
が、1の甘えに対して、100の指摘をしてしまうと異常にモチベーションが下がってしまうので、指摘はモチベーションの上げ下げを見越してできると良いでしょう。
NGフィードバック② 「何でおれが怒ってるかわかる?」 これを言っているあなたが新卒社員だったときを思い出してほしいのですが、そもそも部下はあなたより仕事の経験が浅く、ゆえに仕事への解像度も低くなっています。
その中でミスしたこと自体がわかっていないことも多々あることをまず認識するのが大切です。
またこのフィードバックは相手に考えさせているようで、考えさせる対象が「個人の感情」となってしまっています。
これでは受け手はその後の指摘も正しく受け取れず、結果的に「陰湿」な印象だけが残ってしまいます。
NGフィードバック③ 「経営者目線を持て、相手目線を持て」 これらは一見正しそうですが、いち社員にいきなり経営者の視点を持たせようとするのはかなり困難です。
人事コンサル的な視点で言いますと、どれだけ優秀な人材でも能力は飛び級していきません。
新入社員、プレイヤー、マネジメント層、事業部長、経営陣などそれぞれのレイヤーごとの視座と視野はひとつひとつステップアップしていくことでしか、身につかないと感じています。
フィードバックする相手の能力や所属するレイヤーに合ったフィードバックをしなければ、そのフィードバックは無駄になってしまいますし、受け手としてもかなり無茶振りをされた印象だけが残ってしまいます。
一見正しそうなのに、結局何ができるかわからず、嫌な感情しか残らない陰湿なフィードバックと受け取られてしまうかもしれません。
■「パチンコ玉理論」を理解する
全てのフィードバックに共通してもっておくべきは、自身の影響力を客観的に理解した上で伝えるようにすることです。
私はこれを説明するために「パチンコ玉理論」というものをよく紹介しています。
例えばですが、パチンコ玉を隣同士で投げても痛くありませんが、高層ビルの上から投げて当てたら死んでしまう可能性もあります。
死なずともかなり重傷を負ってしまいます。
人間関係においても同様で、役職や年次が上がっていくと他愛ない言葉が突き刺さってしまうのです。
あなたは冗談で言った「ばか」「もっと頑張れ」という言葉も社長が新入社員に言うと、新入社員は「僕は本当にばかなのかもしれない」「おれは頑張りが足りないダメ人間なのかもしれない」と心の底から思ってしまうのです。
しかしこの理論は逆を言えば、「褒めること」や「感謝すること」などポジティブなメッセージを伝える際に利用すると、メンバーのモチベーションを高めることができます。
自身の役職や年次が上がることによって変わる影響力を理解した上で伝えることで、メンバーのモチベーションを低くすることも高くすることもできるのです。
前述にもある通り、「相手目線」を持つことはかなり難しいです。
ですので、まずは今自分がどの立ち位置にいるのかを理解するようにしましょう。
■フィードバックは10分までにする
部下へフィードバックするのは10分と時間を決めて行いましょう。
私が人事コンサルとして様々な組織を見てきた中で感じるのは10分を超えてフィードバックをし続けると、その中に感情(特に怒り)がどうしても入ってきてしまうなと感じています。
フィードバックをしている本人はそんなつもりがなく、相手のためを思っての「指摘」がどんどん「怒り」のメッセージへと変わっていってしまうのです。
当たり前のことですが、上司も人間です。
怒りを覚えたり、感情的になること自体は悪いことではありません。
ただ、それを部下に直接的にぶつけてしまうことが問題です。
あくまで「指摘」と「感情」は分けてフィードバックを行えると良いでしょう。
私の経験則で言うと、この「指摘」と「感情」のすみ分けは、普段どれだけロジカルな人でも起きてしまっている現象ですので、あえて時間で区切って行っていくのが良いでしょう。
中北 朋宏 :俺 代表取締役社長
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