( 136466 )  2024/02/06 13:43:37  
00

CA出身の鳥取三津子氏が日本航空(JAL)の新社長に就任することが発表された。

彼女はJAS時代からの同僚や関係者からは肯定的な評価が多く、信頼される後輩として知られていた。

しかし、統合後の人事で恨み節もあり、管理職として人員削減策を実行した際には問題が起こった。

社長就任については、JAL出身者からは疑問の声もあり、双方の歴史的な溝が浮き彫りになっている。

(要約)

( 136468 )  2024/02/06 13:43:37  
00

“CA出身”のJAL・鳥取三津子新社長、元同僚からの評判は…「あだ名は『乗っ取りさん』」 

 

「安全とサービスの2つ、これが私のキャリアそのものでございます」 

 

 そう挨拶したのは、4月から日本航空(JAL)の社長になると発表された、鳥取三津子氏(59)だ。 

 

【画像】JAL新社長に就任するCA出身の鳥取三津子氏 

 

◆ ◆ ◆ 

 

 経済部記者が解説する。 

 

「大手航空会社の社長に女性が就任するのは史上初。CA出身社長であることも同社初で、まさに“異例ずくめ”の人事となりました」 

 

 福岡県久留米市で育った鳥取氏は高校卒業後、長崎県の活水女子短大に進学。 

 

「地味でおとなしいタイプ。『英語を活かした仕事がしたい』とミッション系の活水に進んだそうです」(高校の同級生) 

 

 85年に東亜国内航空(JASの前身)に入社。当時を知る元CAが語る。 

 

「親しみを込めてみんな『みっちゃん』と呼んでいた。国際線が就航したばかりの89年頃、ハワイの人気店の『エッグスンシングス』にパンケーキを食べに出かけたりも。人の気づかない仕事もサッとしてくれる、信頼できる後輩です」 

 

 その後、新人CAを訓練する“教官”も務めた。 

 

「それは怖い存在でした。でも、鳥取教官は頭ごなしに叱るのではなく、落ち着いたトーンで諭すように話すタイプでした」(指導を受けた旧JASの元CA) 

 

 JAS時代を知る関係者からは、「鳥取さんを悪く言う人はいない」との声が聞こえてくる。ただ、02年のJASとJALとの統合後、彼女を知った関係者からは恨み節も。 

 

「人事的に旧JASの人を昇進させる配慮があったので、彼女はすぐマネージャーになった。でも経験も少ないのに長距離路線のCAの評価をする立場になり、トンチンカンなことを言うとCAからの評判はイマイチ」(元JALのCA) 

 

 そんな鳥取氏が管理職として辣腕を振るったのが、“人員削減策”だった。 

 

「19年、国内線仕様のボーイング機の導入時に、通常は飛行機の非常口と同じ数の乗務員を配置するところ、その数を減らし、上層部からの評価は高まった」(現役CA) 

 

 20年には執行役員・客室本部長に昇進。コロナ禍で航空需要が激減するとCAを厚労省や一般企業に出向させ、陣中見舞いを重ねるなど最前線でケアを行った。ところが……。 

 

「需要回復時に人員配置計画がうまくいっておらず、有給休暇を取れないCAが続出したので、CAを統括していた彼女が矢面に立つことになった」(同前) 

 

 

 鳥取氏はプライベートの話をあまりしないが、JALのベテラン社員はある1件を覚えている。 

 

「独身の彼女がミーティングの席で『私が結婚したという噂が流れている』『そんなウソを流すのは信じられない』と話し始めた。みんなポカンとしていました」 

 

 そして今年1月、突然の社長就任発表となった。 

 

「正直に言って、JAS出身のCAが社長なのは納得できない。私たちJAL出身者の間では、彼女は鳥取さんならぬ『乗っ取りさん』と呼ばれています」(同前) 

 

 旧JASと旧JALの溝は、いまだ埋まっていないようなのである。 

 

 JALに質問状を送付したところ、回答があった。 

 

「(乗務員配置策は)ボーイングが定める基準を満たす数を設定しました。(人員不足の件は)本人の承諾を得たうえで、有給休暇の時季を変更いただいたことはございます。(プライベートについては)回答は差し控えさせていただきます」 

 

 前出の高校の友人は、社長就任で、昨年、専務執行役員になった際に聞いた彼女の言葉を思い出したという。 

 

「『たまたま波に乗っただけ』『荷が重いけど、もうやるしかない』と覚悟を決めた様子でした」 

 

 新たな波は、前途多難? 

 

「週刊文春」編集部/週刊文春 2024年2月1日号 

 

 

 
 

IMAGE