( 136856 )  2024/02/07 14:46:04  
00

北海道の苫小牧市で、大型トラックと白バイが衝突し、警官が亡くなった事件の裁判で、被告人質問が初めて行われた。

トラック運転手の谷口被告は事故後に気が動転しており、最初は白バイに気づいてなかったと話したが、後に証言を変えたことを認めた。

公判で被告は「亡くなられた被害者、遺族に申し訳ない」と謝罪した。

被告は無事故で優良ドライバーと述べ、被告人質問は次回も続くことになった。

(要約)

( 136858 )  2024/02/07 14:46:04  
00

谷口被告の大型トラックと当時32歳の警官が死亡した白バイ(2021年9月、苫小牧市) 

 

 2021年9月、北海道苫小牧市の交差点で、白バイと衝突し、警察官を死亡させた罪に問われている大型トラックの運転手の裁判…6日午後、初めての被告人質問が行われ、この日で終了の見通しでしたが、不明な点も多いとして、異例の“延長”となりました。 

 

【写真を見る】白バイ警官死亡事故、初の被告人質問は異例の“延長”へ…120キロで直進と右折で衝突、トラック運転手「遠くに自転車やバイクのような“影”が見えただけ。あの距離なら曲がれると思った」 

 

 起訴状などによりますと、砂川市の無職、谷口訓(さとし)被告55歳は、おととし9月、苫小牧市柏原の道道で大型トラックを運転中、信号機のない丁字路交差点で右折しようとした際、反対車線を直進してきた白バイと衝突…白バイに乗っていた男性警察官(当時32歳)を死亡させた過失運転致死の罪に問われています。 

 

 この事故をめぐり、検察は、おととし3月、谷口被告を不起訴処分としましたが、検察審査会への申し立てを受けて再捜査した結果、去年5月8日付けで在宅起訴していました。 

 

 これまでの公判で弁護側は「時速120キロという高速のバイクの接近を予見し、回避することは不可能、被告に過失はない」と無罪を主張。 

 

 これに対し検察は「当時、白バイは警ら中で、赤色灯を点灯させながら118キロで走行していたが、トラックを見つけて88キロまで減速した。トラックは、右折先の反対車線に停止していた車両の内側を進行しようとして安全確認を怠り、事故が起きた」と指摘していました。 

 

 その後、北海道警察が事故防止に向けて、白バイに「最高速度は100キロ」とするよう通達していたことも判明。検察は、白バイの速度118キロについて、警ら中であり、法律上は問題ないとしているものの、通達を20キロも超える速度で走行するほどの緊急性が白バイにあったのかなどは、説明していません。 

 

 また、去年12月の公判では、事故当時、右から白バイ、左からトラックが走行してくるのが見える位置で一時停止、トラック側の車線に右折で合流しようとしていた男性の証人尋問が行われ、男性は下記のように証言しました。 

 

■事故現場に居合わせた男性の証言 

 

・赤色灯はついていたが、サイレンの音は聞いていない 

・ドライブレコーダーでは、トラックがウィンカーを点けてたようだが(自分は)見えなかった 

・トラックは真っ直ぐ行くだろうと思った 

・太陽がトラックの背にあり、白バイを照らしていた 

・衝突の瞬間は見ておらず「バチャーン」という音で気づいた 

・トラック運転手は事故直後「白バイを全く確認できていなかった」と話す 

 

 こうして迎えた初めての被告人質問…冒頭、谷口被告は「今回の事故で亡くなられた被害者、遺族に申し訳ない。反省してます」と謝罪。 

 

 その後、弁護人から「人身事故を起こしたことありますか?」と問われたのに対し「ありません。(免許の色も)事故を起こす前までゴールドでした」と話しました。5年間、無事故で、会社から優良ドライバーの表彰も受けていたといいます。 

 

 そして、弁護人、検察、裁判長からの質問に下記のように答えました。 

 

■谷口被告の被告人質問 

 

<弁護人とのやりとり> 

 

・直進の車両を2~3回、確認する中で、遠くに自転車やバイクのような“影”が見えただけ 

・あの距離なら曲がれると思って、右折した 

・(白バイと認識は?)ありません 

・(赤色灯は?)見えません 

・(サイレンは?)聞こえません 

 

・事故直後、気が動転していて、警察に「白バイに気づいてなかった」と話した 

・帰宅して落ち着いたら、遠くに見えていたことを思い出したので、証言を変えた 

・検察からは「見えなかったんだろ?見えた、見えないはどうでもいい」などと攻め立てられたが「最初は見えた」と話した 

・事故直後の状況は、はっきりとは覚えていない 

 

・その日は仕事で、苫小牧市から雨竜町に向かっていた 

・週に1回ほど通る道、時速60キロほどで走行し、右折時は40キロほど 

・右折先の乗用車が停止線から出ていて、曲がり切れなさそうだと思い、やむなく内回りしたが、不適切だった 

 

<検察とのやりとり> 

 

・影を確認してから、4~5秒あった 

・(影を見てから、ずっと影を見続けた?)ずっと見ていたわけではない 

・(影が見えた場所は?)橋があって、カーブがあったところの先 

・(対向車の速度は?)わからない 

・(対向車との距離は?)わからない 

・(実況見分で、白バイが2回見えた旨の説明を?)覚えていない 

・(先に曲がろうとしたのは、なぜ?)影が見えて、あの距離なら曲がれるだろうと思った 

 

<裁判長とのやりとり> 

 

・(影のようなものは、どのように確認?)パッと見ではなく、正面を見て 

・(ハンドル切る直前の確認は?)記憶がないです… 

 

 被告人質問は6日で終了する予定でしたが、被告人が「影を確認した」という位置などについて、検察が用意した証拠の図面には記載されていないなど、不明な点も多いとされ、次回、29日も続けて行われる異例の展開となりました。 

 

北海道放送(株) 

 

 

 
 

IMAGE