( 136993 ) 2024/02/08 00:09:16 0 00 AdobeStock
新NISAがついにスタートした。このタイミングで投資を始めた人もいれば、未だ挑戦に踏み切れていない人もいるだろう。たしかに最初の1歩は怖い。みんかぶプレミアム特集「日経4万円時代の歩き方」第7回は配当だけで378万円の収入を得るスゴ腕投資家「長期株式投資」氏に「投資初心者がどうどう新NISAと戦うべきか」を解説してもらったーー。
2023年の日経平均株価は約28%の上昇とアベノミクス相場以来の上昇率となりました。一般に株式というアセットクラスの平均的な期待リターンは6%強と言われていますので、昨年のような突出したリターンが複数年に渡って続くというのは考えにくいと認識しています。2024年に入ってからも日経平均株価は好調で過熱感のある相場となっています。どこかで調整が入ってもおかしくなく、突発的な暴落には警戒しておく必要があるでしょう。
短期的な株価の動きは需給で形成されるため、目先の株価が上がるか下がるについて精度の高い予測をすることは不可能だと考えています。しかし、企業の利益水準(日経平均EPS)と投資家の期待(日経平均PER)から、ある程度想定される値幅を把握しておくは可能だと認識しています。例えば、ここ10年間における日経平均の予想PERは、コロナ禍という特殊要因を除けば、概ね12倍~17倍程度で推移しています。日経平均株価なら、2万7000円から3万8250円程度の値幅となります。つまり、過去の歴史を踏まえれば、この値幅内でどのように動いても特に驚きはありません。また、3月決算の企業が5月頃に発表する次期の業績予想が今期よりもよいものとなれば、バブル時の最高値3万8915円を超える株価もあり得ると考えています。
最近、物価の高騰について、スーパーでの買い物や外食の際に身をもって実感している読者も多いのではないでしょうか。現在のインフレは、主に原材料価格の上昇によるコストプッシュ型となっています。そのため、目先の景気がどうあれインフレは避けられなくなってきています。このインフレが続けば、価格上昇分だけ企業の売上高も上昇します。利益のボリュームも大きくなり、1株利益の上昇につながります。株価は長期的には業績に連動しますので、インフレによって、長い目で見れば株価も上昇すると考えられます。
また、2022年のロシアによるウクライナ侵攻で国際政治の地図は一変しました。かつての東西冷戦のような単純さはないものの、国際関係論上、日本はいわゆる西側諸国における最重要国家の一つとなっています。これまで東側に流れ込んでいた資金がアジアでは日本に流れ込むことも考えられます。
上記のようなインフレや国際情勢を踏まえて5年、10年という長期的なスパンで日本市場を捉えたときには、資金の受け皿として機能し、株価は上昇傾向が続くのではないかと考えます。
さて、そんな株式市場の中で新NISAがスタートしました。「興味はあるけど、何をしたらいいかわからない」という投資未経験者も多いのではないでしょうか。
資産形成には収入の範囲内で生活することが必須です。まずは家計簿をつけることにより、何にいくら使っているのかを把握することが第一となります。支出の透明化により投資資金を捻出することは、投資を長く続けられる環境を作ることを意味し、このことは最も重要と言っても過言ではありません。
資産形成の王道本として『バビロンの大富豪』(ジョージ・S・クレイソン/グスコー出版)という本があります。そこで推奨されているのは「最低でも収入の十分の一を貯める」ことです。つまり、日本人の年収の中央値である、年収350万円であれば最低でもその十分の一である35万円/年、1カ月換算で最低も2万9167円を毎月貯蓄する必要があります。これができていなければ、持続的な投資環境が整っていませんので、まずは家計簿を確認の上で優先順位の低い支出を削減し、最低でも収入の十分の一を確保できるようになりましょう。これが最優先事項です。
長期株式投資
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