( 137183 ) 2024/02/08 14:42:23 0 00 Bloomberg
(ブルームバーグ): 日本銀行の内田真一副総裁は8日、マイナス金利解除後の短期政策金利について、今後の経済・物価情勢次第になるとしながらも、「どんどん利上げをしていくようなパスは考えにくく、緩和的な金融環境を維持していく」との見解を示した。奈良県での金融経済懇談会で講演した。
内田副総裁は、日本の実質金利は大幅なマイナスであり、金融環境は極めて緩和的とした上で、「この状況が大きく変化することは想定されていない」と語った。
消費者物価は2025年度にかけて生鮮食品を除くベースとエネルギーも除くベースのどちらもおおむね2%となる見通しで、「賃金上昇を伴う望ましい形で2%の目標を実現する姿となっている」と説明。先行きの不確実性はなお高いとしながらも「こうした見通しが実現する確度は少しずつ高まっている」と述べた。
1月の金融政策決定会合後の植田和男総裁の記者会見や同会合の「主な意見」で政策正常化に前向きな発言が相次いだことを受けて、市場では3月か4月の会合でマイナス金利解除などの政策変更が行われるとの見方が大勢を占めている。内田氏は正常化のタイミングには言及しなかったが、個々の政策を修正する場合の基本的な考え方を具体的に説明し、市場とのコミュニケーションを図った形だ。
内田氏は、イールドカーブコントロール(長短金利操作、YCC)の枠組みを廃止あるいは変更の場合でも、「その前後で不連続な形で買い入れ額が大きく変わったり、金利が急激に上昇するといったことがないよう丁寧に対応したい」との考えを示した。
大規模緩和の一環として行っている上場投資信託(ETF)と不動産投資信託(J-REIT)の買い入れについては、「大規模緩和を修正する時には、この買い入れもやめるのが自然」と述べた。
マイナス金利解除後も急な利上げは想定していないとの内田氏の発言を受け、債券相場は上昇に転換。為替相場は円売りが優勢となり、対ドルで148円台前半で推移している。
内田氏は日銀生え抜きの副総裁として昨年3月に就任。植田体制における金融政策運営の要と言える存在だ。企画局長を5年間務めるなど長く金融政策の企画・立案を担う企画畑を中心に歩み、黒田東彦前総裁が13年4月に打ち出した量的・質的金融緩和(QQE)や16年1月のマイナス金利、同年9月のYCCの導入に中心的な役割を担った。
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Sumio Ito
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