( 137726 )  2024/02/10 12:43:40  
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東京都は、ふるさと納税によって住民税の減収が増加しており、行政サービスの低下につながると悲鳴を上げている。

20年度以降の減収額は3018億円に達し、都はこの減収を補いきれない状況にある。

この制度における返礼品の競争が激しくなり、不祥事が相次いでおり、政府は改正を進めているが、各自治体の人手不足もあり、問題が残る。

都は特別区長会、都市長会、町村会と連名で、抜本的な見直しを要請。

特に自治体間で格差が広がることや公平性の問題を指摘している。

(要約)

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ふるさと納税による都民税の減収額推移 

 

寄付総額が約1兆円にのぼるふるさと納税制度の影響で、住民税の減収額が年々増え続ける東京都が、行政サービスの低下につながると悲鳴を上げている。令和5年度の減収額は675億円に上り、同制度が始まった平成20年度以降からの累計の減少額は3018億円になる。都は同制度に参加していないため、受け入れで補塡(ほてん)することもできず見通しは厳しい。 

 

【写真】大阪府枚方市のふるさと納税返礼品になった10万円のうまい棒専用アルミケース 

 

同制度をめぐっては、返礼品競争が過熱し、産地偽装や誤表示といった不祥事が全国的に相次いでいる。政府は平成31年に地方税法を改正し、調達費が寄付額の30%以下の地場産品に限定。昨年10月には、加工や製造の主な部分を自治体内で行うよう求める地場産品基準の新ルールを導入しているが、各自治体の人手不足もあり、チェック体制が十分に機能しているとはいえない状況だ。 

 

こうした中で、減収額の拡大に危機感を募らせた都は昨年12月、特別区長会、東京都市長会、東京都町村会と連名で、同制度の抜本的な見直しを総務省に要請。都主税局は「各地で不祥事が続出しており、減収に歯止めがかからない状況は看過できない。そもそも制度自体に問題が多い」と指摘する。 

 

要請では、人気の高い返礼品を抱える自治体に寄付が集中し、自治体間で格差が拡大していることや、仲介サイトへの委託料などの経費で、「活用できる額は寄付受け入れ額の5割程度にとどまる」ことを問題視。自己負担額が一定で、高所得ほど多額の返礼品を受け取れることも公平性に欠けるとした。 

 

また、平成27年度に導入された、寄付者の確定申告が不要になる「ワンストップ特例制度」では、所得税から控除すべき税額を住民税から控除する仕組みとなっており、「本来、国が負担すべき税収減が転嫁されている」とする。同制度はマイナンバーを活用した簡素化が実現するまでの特例措置であることから、「廃止し、廃止までの間の税収減分について全ての地方自治体に財源措置を求める」としている。 

 

都の令和5年度当初予算における住民税収(個人)は1兆534億円で、ふるさと納税による減収の割合は約6%になる。都主税局は、「寄付総額は2兆円を目指すという話もある。このまま減収が続き、1千億円を超える事態になれば、都民生活への影響はますます大きくなる」と懸念する。(楠城泰介) 

 

 

ふるさと納税 

 

地域活性化を目的に平成20年度に始まった。都道府県・市区町村に寄付をすると、一定の上限まで自己負担分の2千円を除いた額が住民税などから差し引かれる。令和4年度の寄付総額は9654億円。3年連続で過去最高を更新している。 

 

 

 
 

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