( 138301 )  2024/02/11 23:46:51  
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日本の税制と経済格差に関する質問に、経済学者のガブリエル・ズックマンが答えた。

日本は家父長制の影響下にあり、女性が低賃金の非正規雇用に拘束され、格差が固定化されていると指摘している。

ジェンダーの不平等は世界的な課題であり、その解決策として、保育施設の増加や雇用機会の均等な規制、ジェンダー・ニュートラルな育児休暇の導入が必要だと述べている。

(要約)

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Photo: Lea Suzuki / The San Francisco Chronicle / Getty Images 

 

クーリエ・ジャポンの読者やさまざまな分野の有識者から質問を募集し、税制と経済格差問題の専門家ガブリエル・ズックマンに答えてもらいました。 

 

【画像】気鋭の経済学者ガブリエル・ズックマン 

 

日本は社会構造が大きく変容しているにもかかわらず、税制や社会保障制度の根底に家父長制が幅を利かせている国です。男性が主な稼ぎ手で、女性は夫の扶養の範囲内で家計補助的な仕事をすればいいとの考えがいまだに根強く残っています。その結果、非正規雇用の多くを女性が担わされ、低賃金でいつ首を切られるかわからない不安定な状況のなかで働いています。 

 

現実のライフスタイルの変化から目を逸らし、実態以上に「家族」イデオロギーが強調されることで、格差が固定化され、経済も悪循環に陥っていると考えますが、このような日本の状況をどう見るか、解決策はどこにあるか、考えをお聞きしたいです。 

 

ジェンダーの不平等が、現代の不平等の大きな特徴であることは、ご指摘のとおりです。これはさまざまなところで見られる問題です。 

 

世界全体では、全労働所得の65%強を男性が稼いでおり、女性が稼ぐ割合は35%弱です。この点に関する改善の歩みは、あまりにも遅々としています。 

 

また、ご指摘のとおり、日本はジェンダー不平等が特に深刻です。公立の保育施設数の増加、雇用機会均等の規制強化、ジェンダー・ニュートラルな育児休暇の導入などは、ジェンダー格差を縮小できる政策です。 

 

そして根本的には、社会の規範が変わっていかなければなりません。 

 

■回答者プロフィール:ガブリエル・ズックマン 

1986年生まれ。経済学者。カリフォルニア大学バークレー校准教授。パリ経済学校教授。調査機関「EUタックス・オブザーバトリー」代表。専門は租税回避や不平等問題。博士課程在籍時の指導教官はトマ・ピケティ。著書に『失われた国家の富──タックス・ヘイブンの経済学』、共著書に『つくられた格差──不公平税制が生んだ所得の不平等』がある。2023年、ジョン・ベイツ・クラーク賞受賞。 

 

COURRiER Japon 

 

 

 
 

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