( 138451 ) 2024/02/12 14:24:19 1 00 1980年代のバブル時代と現在の時代の類似点と相違点について述べられています。 |
( 138453 ) 2024/02/12 14:24:19 0 00 1980年代バブルと今の時代の類似点と相違点とは?(写真は1988年の東京証券取引所/時事通信フォト)
日経平均株価の高騰が続き、いよいよバブル崩壊直前の史上最高値(3万8915円)に迫ってきた。業績拡大の企業も続出し、さながら令和バブル前夜の様相を呈している。この先、あの1980年代の熱狂が再び訪れるのか──。日本中が狂乱の宴に酔いしれたバブル時代を見つめなおすことで、この国の未来が見えてくる。
【写真】かつてのバブル時代の象徴と言われる「ジュリアナ東京」 羽扇子をもって踊る人たち
1月以降、日経平均株価が3万6000円台まで上昇し、近く4万円を突破するとの見方もあるなか、「1980年代バブルとの相似」を指摘する声が聞こえてきた。あの熱狂の“兆し”が、再び見え始めているのだという。
昭和から平成にかけて日本中が異様なまでに沸いたバブル景気のきっかけは、1985年のプラザ合意にあった。この年の9月、米ニューヨークのプラザホテルで開かれたG5でドル高の是正が合意に至ると、1ドル=240円から120円台へと「ドル安・円高」が急加速。日本の輸出産業は窮地に追い込まれた。
危機感を募らせた政府と日銀は大規模な財政出動や金融緩和に乗り出し、市中に溢れたマネーが株式市場や不動産市場に集中。結果、株価と地価が膨れ上がるバブルへと突き進んでいった。
「日経平均は1989年末に3万8915円を記録し、日本全体の地価総額は米国全体の4倍。三菱地所がNYのロックフェラーセンターを買収するなど、海外資産を買い漁るジャパンマネーに世界が注目しました。国全体が異様な熱気に包まれていた」
そう振り返るのは、バブル時代に第一勧業銀行(現・みずほ銀行)の行員だった作家の江上剛氏。
「当時は土地を買っては高く売る“土地転がし”が繰り広げられ、銀行では融資の申請書ばかり書く日が続いていた。稟議書の中身を精査することもなく、右から左に流れていく有り様でした。
銀行の定期預金金利は年6%まで上昇。財テクブームに乗って、株式投資に主婦も参入するようになりました」
あれから30年あまり。日経平均のみならず、不動産も首都圏の新築マンションの平均価格が3年連続で過去最高値を更新した。
「株」と「不動産」の価格上昇──まさに1980年代バブルと重なる現象である。不動産コンサルタントの長嶋修氏が言う。
「現在の株や不動産など資産価格上昇の大きな理由は、コロナ禍で日銀をはじめ世界の中央銀行がこぞって金融緩和を進めたため。米国などは利上げで金融引き締めに動きましたが、それでもマネーが溢れかえっていることに変わりはない。
2024年内にも日経平均は4万円を軽く突破するでしょう。いよいよ1980年代を超える資産バブルが顕著になる可能性がある」
他方、当時と異なる点も少なくない。バブル期には地価の上昇が日本全国に波及していたが、現在は東京の都心部だけが大きく跳ね上がっている。
また、当時のバブルを牽引したのが国内の投資家だったのに対し、現在の株高や不動産価格高騰を牽引しているのが海外の投資家や資本家という点も見逃せない。
「現在は不動産などの現物資産に加え、ビットコインなどの暗号資産(仮想通貨)といった“新しい資産”の価格が上昇し、それらで膨らんだ利益がさらなる投資や消費に波及する流れになっています。その恩恵を受けているのは富裕層や高所得者層が中心。好景気といえども一般的なサラリーマンの給与所得はなかなか上がらず、物価高の進行や社会保障費の増大もあり、『景気回復実感なき資産価格上昇』が起きている。1980年代バブルのように“日本中が浮かれる”状況にはなりにくいかもしれない」(長嶋氏)
さらに根深いのが、国中に蔓延する「バブル嫌悪」の空気である。
元日銀審議委員で名古屋商科大学ビジネススクール教授・原田泰氏が語る。
「1990年代初頭のバブル崩壊、それによる『失われた30年』のトラウマから、この国では少しでも景気拡大が続くと、それをバブルだとマイナスに捉える風潮がいまだに強い」
確かに経済成長が永続することはない。いつかは停滞し、消える可能性があるからこそバブル(泡)と呼ぶのだろう。
※週刊ポスト2024年2月23日号
|
![]() |