( 140036 )  2024/02/17 00:54:29  
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2022年、大阪府富田林市で2歳11か月の孫を改造されたベビーサークルに57時間以上監禁した後、熱中症で死亡させた47歳の祖母が判決を受けました。

検察の求刑通り、祖母には懲役9年の実刑判決が下されました。

祖母は緊縛行為を否認していましたが、判決は緊縛行為を認定しました。

祖母は優陽ちゃんを養育する際の選択肢を真摯に検討せず、虐待の末に犯行を犯したと指摘されました。

(要約)

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MBSニュース 

 

2022年に大阪府富田林市で、当時2歳11カ月だった孫の女児をベビーサークルの中に監禁・放置し、熱中症で死亡させた罪に問われていた祖母(47)。大阪地裁堺支部は2月16日、検察側の求刑通り、祖母に懲役9年の実刑判決を言い渡しました。祖母は、USJ遊興中に粘着テープで両手足を縛り監禁していた点を否認していましたが、判決は緊縛を行っていたと断じました。 

 

【家系図を見る】優陽ちゃんの面倒を四男(当時高校1年)が見ていたか…被告との関係は? 

 

小野真由美被告(47)は2022年6月24日~27日、大阪府富田林市の自宅で、当時2歳11か月だった孫の小野優陽(ゆうは)ちゃんを、“改造ベビーサークル”の中に計57時間も監禁。 

 

さらに27日夜~29日には、両手足を粘着テープで縛った状態で監禁し、十分な水分や食事を与えずに放置。優陽ちゃんを熱中症で死亡させたとして、逮捕監禁と保護責任者遺棄致死の罪に問われていました。 

 

“改造ベビーサークル”は、ベビーベッドの中板を取り外した上で、ベニヤ板で四方の側面を板張りにし、さらに上部にも2つ折りのフタをつけているという、実質“箱”のような空間でした。 

 

容積は1㎥にも満たず、底板もなく、フローリングの上にじかに置かれていました。寝具も入れられていなかったとみられます。 

 

優陽ちゃんがベビーサークルの中に、両手足を縛られた状態で放置されていたとみられる27日夜~29日、真由美被告は当時同居していた桃田貴徳被告(52)や両被告の実子(当時5)とともに、泊まりがけでユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)に出かけていました。 

 

27日夜~29日に優陽ちゃんに与えられたのは、28日午後に真由美被告の四男(当時15歳で高校1年)が、コップに入れて差し入れた水のみだったとみられていて、優陽ちゃんの遺体を司法解剖した医師も、体内に残っていた水分は極めて少なく「胸腔もカラッカラ」だったと裁判で証言しています。 

 

1月下旬の初公判で真由美被告は、優陽ちゃんを監禁・放置し死亡させた罪は認めたものの、「27日から29日の間、緊縛したとありますが、(そうした)事実はないです」「ベビーサークルの上にフタを置いてはり付けたとありましたが、(事件当時)フタはありませんでした」と、起訴内容を一部否認。 

 

解剖を行った医師は、遺体の手首には変色した圧迫痕や表皮はく奪が認められたため、“事件当時、優陽ちゃんは両手首を縛られていたと考えるのが合理的”という見解を示していますが、真由美被告は被告人質問でも、USJを訪れていた際の緊縛行為は一貫して否認しました。 

 

また、ベビーサークルのフタについては、事件の約1か月前に取りつけたものの、“サークル内を掃除しにくくなったのと、優陽ちゃんが可哀想だと思ったので、10日前後で取り外した”という旨の供述をしました。 

 

 

裁判で真由美被告は、事件の約2年半前に優陽ちゃんを引き取った当初は、▽絵本の読み聞かせをしたり ▽優陽ちゃんの好物のプリンを一緒に食べたり ▽ディズニーランドに行ったりと、“ごく普通の養育関係”が存在していた旨を説明しました。 

 

しかし優陽ちゃんが物を口に入れたり、オムツの中の汚物をまき散らしたりするなどの行動を見せるようになったのにつれ、次第に“距離”が生じるようになり、目を離さなければならない際には改造ベビーサークル内に入れるようになったと話しました。 

 

事件の約1か月前から桃田被告らと頻繁に外泊していた点は、「(優陽ちゃんの世話から)解放されたい気持ちが強くなっていた」「現実逃避しようと思った」と説明しました。 

 

また、事件前に緊縛行為を行っていた点は認め、その理由について “優陽ちゃんが陰部を床にこすりつけるなどの自慰行為的な動作をするようになり、それが被告自身が過去に受けた性被害の記憶と重なった。なんとかやめさせようと思った”という旨の供述をしました。 

 

緊縛の仕方について、両手と胴体を一緒に粘着テープで巻きつけたこともあったという趣旨の供述もしています。 

 

検察側は論告で、真由美被告が否認している点について、以下の主張を展開。 

▽普段からオムツを自力で脱げていた優陽ちゃんなら、緊縛されていなければ、かゆみや痛みを感じるなどしてオムツを脱いだはず(実際に遺体には重度のオムツかぶれがあった) 

▽遺体の手首に受傷から1日未満の圧迫痕などが確認された点などからも、緊縛されていたのは明らか 

▽取り外した後のフタを、幼い実子の子ども部屋に約1か月も放置していたというのは不自然  

 

さらに ▽事件の約1年前から頻繁に緊縛に及んだこと ▽被害女児の身長体重は、被告が引き取った時には平均を上回っていたのに、その後平均を下回り、解剖時には栄養失調だったこと ▽被害女児を保育園から退園させ、保健師がすすめた児童発達支援事業所への通園もさせなかったこと などを踏まえると「常習的な虐待の末に、起きるべくした起きた悲劇」だったと指摘。 

 

「被害女児は“檻”の内部で空腹と脱水状態に置かれ、絶望の中で死亡した」と糾弾し、懲役9年を求刑していました。 

 

一方、真由美被告は最終陳述で涙ながらに「優陽に対して可哀想なことをしてしまったことを……ごめんなさいって謝りたいです」「私は1人の人間として、申し訳ないことをしてしまいました」「一生懸命つぐなっていきます。ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい」などと、謝罪の言葉を繰り返していました。 

 

 

大阪地裁堺支部(藤原美弥子裁判長)は2月16日の判決で、「被告らがUSJに泊まりがけで出かけていた際に、優陽ちゃんが粘着テープで緊縛されていたとする被告の四男の証言は、遺体の手首の圧迫痕や、現場で見つかった粘着テープ片など、客観的証拠と整合するから信用できる」と指摘。真由美被告が否認していた、“事件当時の緊縛行為”について事実認定しました。 

 

そのうえで、 

▽四男や真由美被告・桃田被告の実子の生活は十分気にかけていて、年少者を養育する能力に特段問題はなかった 

▽被害女児の行動について、公的機関への相談などの選択肢を真摯に検討した形跡もない。被告自身の性被害の経験を考慮しても、少なくとも汚物をまき散らす行動については、相談に特段の支障はなかった 

▽被害女児にわずらわされることなく、テーマパークなどで遊興したいという動機も身勝手 

などと指摘。 

 

日頃から十分な食事を与えないなどの「日常的虐待の末の犯行」で、「空腹と脱水状態の中で死亡していった過程で、被害女児が味わったであろう苦痛と絶望感は察するに余りある」と糾弾。 

 

検察側の求刑通り、小野真由美被告に懲役9年の実刑判決を言い渡しました。 

 

判決言い渡しの間、真由美被告は終始、伏し目がちでした。 

 

 

 
 

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