( 140056 )  2024/02/17 12:25:45  
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宮崎県都城市では、ふるさと納税による寄付金を活用し、移住者や出生数を増やすことで人口を増やす取り組みを行っている。

この取り組みにより、移住者が急増し、市の人口も増加傾向にあるが、これによって保育士不足などの新たな課題も浮上している。

市はこれらの課題に対処するため、移住者や子育て世代の支援策を改善し、30億円の予算を策定した。

市は今後も柔軟に対応しながら、移住者を呼び込む取り組みを続けていく考えだ。

(要約)

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都城市役所にある「移住・定住サポートセンター」=宮崎県都城市で2024年2月16日午後4時37分、下薗和仁撮影 

 

 2022年度の「ふるさと納税」で全国最多の寄付を集めた宮崎県都城市への移住者が急増している。23年度の移住者は1月末現在で1833人。前年度1年間の435人から約4倍となった。想定を上回る人口流入で今後、保育士が不足する恐れもあるという。全国の地方都市が人口減少にあえぐ中、何が起きているのか。 

 

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 「全国どこから移住しても500万円」。そんなうたい文句のポスターやのぼりが都城市役所5階にある「移住・定住サポートセンター」に掲げられている。市は23年度、移住者や出生数を増やすことで10年後に人口増に転じる目標を打ち出し、移住支援に本腰を入れ始めた。 

 

 市の人口は16万人弱。少子高齢化や若い世代の市外流出などで、17万人超だった06年の1市4町合併以降、減少傾向にあった。移住者も13年度はわずか1人。18年度も113人だった。しかし、23年4月から24年1月までの10カ月間で、移住者は10年前の1800倍、5年前の16倍に急伸した。 

 

 背景にあるのは、市の手厚い支援策だ。23年度から、中学生までの子ども医療費、第1子からの保育料、妊産婦の健診費用の完全無料化を実施。子どもを産み育てやすい環境整備を進めた。 

 

 さらに移住者向けには、単身者に100万円、家族世帯に200万円、子ども1人につき100万円の加算など、市独自の移住応援給付金も拡充。これらの財源には好調なふるさと納税の寄付を充てた。 

 

 自主財源を確保し、子育て支援に力を入れることで、移住者の呼び込みにつながる――。歯車がかみ合うと、結果はすぐに表れた。23年4月の推計人口15万7554人に対し、24年2月時点では同15万8575人。このままのペースでいけば、市では13年ぶりの人口増となる。 

 

 一方、子育て世代の移住が増えたことで、新たな課題も浮上してきた。市内の保育所や幼稚園の入所者数は23年3月1日現在の7108人から、24年3月1日見込みが7268人と160人増加。これに対し、保育士、幼稚園教諭は約1500人で、今後も入所希望の子どもが増え続ければ保育人材が不足する懸念が出ている。 

 

 そのため、市は24年度から、市内の保育施設に就職した人に20万円、就職から2年経過すると10万円、3年経過で10万円の支援金を出す方針を決め、人材の確保や定着を図る考えだ。 

 

 また、激増する移住者への支援金については、24年度からは基礎給付を単身60万円、世帯100万円と引き下げ、子ども加算などを含めた上限を500万円に設定。支給条件とする市内への居住期間についても現行の「5年以上」から「10年以上」に延ばす。 

 

 市は24年度当初予算案にこうした人口減少対策として約30億円を盛り込んだ。池田宜永(たかひさ)市長は「課題も見えてきたので、移住支援の継続性、安定性を図るために制度を改善した。24年度の状況次第で、今後も柔軟に対応していきたい」と話している。【下薗和仁】 

 

 

 
 

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