( 140061 )  2024/02/17 12:32:20  
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お笑いコンビ「ダウンタウン」の松本人志に対する性的強要疑惑について、週刊文春の報道が芸能界に激震をもたらしている。

有料メディアによる報道の違いや松本人志と吉本興業の関係性、松本氏と後輩芸人との関わりについて解説している。

特に文春報道によれば、松本氏との性行為に至るプロセスが計画的であり、様々な報道によって問題の核心が明らかにされている。

さらに、週刊誌による報道には、怒りを覚える意見もあり、今後の展開に関しても様々な予想がされている。

(要約)

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お笑いコンビ「ダウンタウン」の松本人志 Photo:JIJI 

 

 週刊文春が報じた、お笑いコンビ「ダウンタウン」松本人志の性的強要疑惑をめぐり、芸能界に激震が走っている。問題の核心は何なのか。新たな展開は。最新の有料メディアの報道を読み解く。(イトモス研究所所長 小倉健一) 

 

● 出版社系メディアと 新聞社系メディアの違い 

 

 「松本人志」問題について、有料メディアはどう報じていたのだろうか。 

 

 「有料メディア」には、大きく二つの流れがあり、それは「新聞社系」と「出版社(雑誌)系」だ。事件、事故を報道する際は、民事、刑事、行政のカテゴリーがあるが、新聞社系メディアは刑事や行政などファクトが固めやすいものを得意としている。出版社系メディアは、そうした新聞の通らない道、すなわち民事分野での報道を得意としている。 

 

 出版社系は、確定的でないファクトや時効が過ぎてしまったものでもどんどん率先して扱う。その好例が昨年の「ジャニー喜多川氏の男児性虐待」だろう。男児の性虐待では、脳の発達なども関係して、被害当時にはそれが「性虐待」であることを認識しないことはよくある。時効は何十年も過ぎたものでも、躊躇(ちゅうちょ)なく報道できるのが出版社系の強みだ。その一方で、あまり確定的でないファクトを報じることも多いため、しばしばトラブルも起きている。 

 

 さて、その意味で、松本氏の報道では、出版社系が中核的役割を果たした。 

 

● 松本人志と吉本興業の 意外な関係性 

 

 まず、松本氏と松本氏をマネジメントする吉本興業との関係性だ。週刊現代(1月13・20日号)によれば、吉本興業関係者の証言として<「昨年5月、松本さんの最大の理解者だった大崎洋前会長が会社を去った。/これにより、松本さんと対等に話せる人間は社内にひとりもいなくなりました。岡本昭彦社長と藤原寛副社長は元ダウンタウンマネージャーとして出世を遂げましたが、力関係では完全に松本さんが上。一連の報道について、松本さんに進言や忠告ができる人間は皆無でした」>という。 

 

 FLASH(2月13日号)では、<当然、裁判に関しても吉本興業による強力なバックアップがあるのかと思いきや「松本さんは後ろから“刺される“かもしれません」と声を潜めて語るのは、吉本興業関係者だ。/「松本さんの代理人弁護士は、元東京地検特捜部の田代政弘氏で、吉本興業が契約している顧問弁護士ではありません。むしろ吉本興業が損害賠償を求めて、松本人志を訴える可能性があるんです。両者の間には、すでに深い亀裂が入っていますから…」(同前)>。 

 

 週刊現代とFLASHは、吉本興業が問題勃発当初、「当該事実は一切なく」というコメントを出していたが、1月24日にはそちらのコメントを事実上撤回し、「真摯に対応すべき問題であると認識しております」と発表したことの背景を、上記のように説明したわけだ。 

 

 では、松本氏が、後輩芸人と一緒になって、何をしていたのか。問題の核心は何か。文春報道が先行しているが、他メディアの報道も併せて考えてみたい。 

 

 

● 「念入りの確認」の証言が 事実であれば衝撃 

 

 週刊文春電子版(2023年12月26日)によれば、誘われた女性には、<今日の場所なんだけど、先輩が写真とかに撮られるとまずいので六本木のグランドハイアットのスイートで部屋飲みって感じになりましたが大丈夫ですか?><VIPをお呼びするから絶対にドタキャンはしないように>などとLINEで後輩芸人からの注意喚起があった。 

 

 文春の他の記事でも同様に、性的な目的であることはにおわされていない。しかし、報道によると、松本氏との性行為に至るプロセスは、毎回同じで、システマチックに計画されていたことになる。 

 

 FRIDAY(2月16日号)では、<当日、VIP飲み会の前に※※と合流したA子さんたちは居酒屋へ。/「そこでも※※さんはB子に向かって、『(VIPと)そういうことはデキるんやんな?』と念入りに確認していました」その後、店を後にしたA子さんたちが連れられて向かった先は、一泊10万円はくだらない関西屈指の高級ホテル「サ・リッツ・カールトン大阪」の35階のスイートルームだった>(誌面では※※に後輩芸人の名前が入っている)と報じている。 

 

 「念入りの確認」の証言が事実であれば衝撃だ。この後輩芸人※※は、文春報道にも出てくるが、「念入りの確認」については報じられていない。FRIDAYが取り上げた事件が起きたのは、2018年10月中旬、文春は2019年10月だ。 

 

 「そういうこと」があるかないかを事前に確認していたのであれば、松本氏たちへの印象はかなり違う。1年で確認をやめたのかもしれないし、当日たまたま確認しなかったのかもしれない。はたまた、文春が報じていないのかもしれないし、告発したD子さんが文春に対してその話をしなかったのかもしれない。一方、※※は自身のYouTubeで「言ってません」「これウソ」と発言を否定しており、その場合はまた前提が変わってくる。 

 

● 文春報道に 怒りを覚える人も 

 

 いろいろな可能性があるものの、加害を見た、受けたという当時に告発をしなかったことの不都合がこのあたりに出てきているのではないだろうか。犯罪を無罪放免にする「時効」には、当然、根拠がある。証拠が劣化し、記憶が曖昧になることで公平な裁判ができないのだ。 

 

 その日、その場でセックスにまで持ち込むという、性交目的のコンパをシステマチックにこなしていたのだとしたら、その行為自体に問題はあると思う。今回の報道において、弱い立場の女性をとことん守れという人もいる、文春報道に怒りを覚える人もいる。しかし、昔のこと過ぎて、関係者は一様に、事件当時より記憶が曖昧になっているのは間違いない。 

 

 こうした「民事」の扱いを苦手としてきた新聞系有料メディアだが、デジタル部門の立ち遅れもあってか、「禁じ手」を繰り出していることも指摘しておかねばならない。 

 

 

● 泥棒の片棒を担ぐようでは 情けない 

 

 読売新聞オンラインの1月25日付の記事(現在は削除)である。その記事は<週刊文春で「元タレントが実名顔出し告発」松本人志の被害訴える女性が続き「全部うそだと言いにくく…」とゴゴスマ弁護士>と題されていて、私が確認する限り、3日間にわたって、読売新聞オンラインでアクセスランキングの上位にランクインしていた記事である。 

 

 驚くのはその内容で、TBS系の情報番組の内容や識者の発言を、そのまま文字にして流しているだけの記事なのである。まさか読売新聞が有料記事で、そんなことを始めたとは正直がっかりしてしまった。 

 

 これはスポーツ報知の無料記事をそのまま転載したもののようだが、むしろ親会社としてスポーツ報知にこのような無法な行為をやめるよう注意しなくてはいけない。良質なメディアを自称して、むしろ週刊誌記事を排斥するような動きも見られる読売新聞が、泥棒の片棒を担ぐようでは情けない。 

 

● 今後の展開を 週刊誌はどう予言しているのか 

 

 では、松本氏は今後どのような展開を迎えるのか。女性自身(2月20・27日)では、<崖っぷち!松本人志 最終手段「号泣法廷」>と題する記事が掲載されている。「最終手段」に「号泣法廷」とびっくりするような文言が飛び込んできたので、その最終手段とはどのようなものか、誌面で確認すると…。 

 

 <松本を知る芸能関係者は、こんな可能性も指摘する。/「松本さんはメディアでほとんど泣いたことがありません。記憶の限りでは、伝説の関西ローカル『4時ですよーだ』(毎日放送)の最終回で号泣したぐらいでしょう。/昨秋の『水曜日のダウンタウン』(TBS系)では、目薬をさしてウソ泣きした彼らが番宣に登場し、<番宣CMでダウンタウンがガッツリ泣いてたら流石(さすが)に視聴率爆上がり説>が検証されたほどです。/泣く印象をまったく持たれていない彼だけに、浜田さんとの苦闘の日々などを思い返して思わず法廷で涙を流すようなことがあれば、周囲の見方が少しは変わることもあるかもしれないと思っているのです」> 

 

 本当かよ、女性自身! 

 

小倉健一 

 

 

 
 

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