( 140296 )  2024/02/17 23:17:44  
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地方銀行が初任給を引き上げており、学生の就職活動で首都圏の企業に学生を奪われ、人材確保が難しい状況となっている。

引き上げ額は5万円前後で、地銀は人材を獲得するためにメガバンク並みの待遇を提供したい考えだ。

地銀は収益力の低下や人手不足に直面し、拠点を持つ地域で初任給の横並びを検討している。

一部の地銀はデジタル化対応のため、IT人材の採用を強化している。

(要約)

( 140298 )  2024/02/17 23:17:44  
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読売新聞 

 

 地方銀行が相次いで初任給を引き上げている。売り手市場が続く学生の就職活動で、首都圏の企業に学生を奪われ、収益力低下によってかつての人気就職先も人材確保が難しくなっているためだ。引き上げ額は5万円前後にも上り、各行は「メガバンク並み」を売りに優秀な人材を獲得したい考えだ。(中西瑛) 

 

 西日本シティ銀行は2024~25年度の新卒採用で段階的に初任給を引き上げる。大学卒総合職は23年度より4万5000円多い26万円となり、若手行員の基本給も上げる。村上英之頭取は「入行3年目までは年収が約2割増える見通しだ」と話す。 

 

 ふくおかフィナンシャルグループ(FG)の傘下3行と九州FGの傘下2行のほか、大分銀行や宮崎銀行も25年度までに大学卒総合職で26万円に増額する。各行は高校卒や短大卒の初任給も引き上げる。宮崎銀は大学院卒を27万円に増額し、デジタル化対応のため、ITに強い理系人材の採用強化を図る。 

 

 各行が初任給を引き上げるのは、メガバンク3行が24年度から大学卒総合職で25万5000~26万円に引き上げるからだ。西日本シティ銀は例年、新卒者の2~3割が関東・関西圏の学生で、担当者は「メガバンクとの競合は避けられない」と話す。各行は25年春の採用活動が本格化するまでに「メガバンク並み」の待遇をPRしたい考えだ。 

 

 地銀は地方出身者の人気の就職先だったが、低金利の長期化で収益力が低下し、全国的な人手不足もあって人材確保が難しくなっている。西日本が拠点の地銀では、今年4月入行の採用数が計画の8割弱にとどまった。同行は「東京や地方の主要都市に人材が流れ、初任給の横並びを検討せざるを得ない」とする。 

 

 ネット取引の拡大で来店客が減り、店舗の統廃合を進める地銀は多いが、企業向けコンサルタント業務や個人向け投資商品の販売などを強化するため、人員は確保したい考えで、「優秀な人材の不足感は逆に高まっている」(地銀広報)という。 

 

 帝国データバンク福岡支店が九州・沖縄の企業を対象に昨年10月に行った調査では、正社員が「不足」と回答した割合は、地銀など金融業で77・8%と業種別で最も高かった。同支店は「地銀がデジタル化を進めるため、専門性の高い人材獲得に乗り出したことも一因だ」と分析している。 

 

 

 
 

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