( 140316 )  2024/02/17 23:39:41  
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日経平均株価は年初から大幅な上昇を続け、16日には史上最高値に迫る終値を記録。

主な理由は海外投資家の日本市場への積極的な投資や企業の改革に対する評価、新たな少額投資非課税制度(NISA)など。

しかし、中小企業や個人には景気の改善が実感されず、「実感なき株高」となっている。

(要約)

( 140318 )  2024/02/17 23:39:41  
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日経平均株価を示す株価ボード=16日午前、大阪市中央区(甘利慈撮影) 

 

東京株式市場で日経平均株価の16日の終値が3万8487円を付け、史上最高値(3万8915円)に迫るなど、年初から株価の大幅な上昇が続いている。海外投資家が日本の市場改革を評価し、日本株を積極的に買っていることなどが理由だ。ただ、中小企業や個人は景気の改善を感じていないことが少なくなく、「実感なき株高」となっている。 

 

【表でみる】なぜ株価が上がっているのか? 

 

株価は足元でバブル期以来約34年ぶりの高値を連日更新。16日には一時、前日比707円高の3万8865円まで上昇し、平成元年12月29日に付けた終値ベースでの過去最高値に肉薄した。 

 

株高の理由は、まず海外投資家による積極的な日本株買いだ。今年1月は「買い」が「売り」を約2兆円上回った。 

 

昨年、東京証券取引所が上場企業に株価を意識した経営を呼びかけ、株主への配当金を増額するなどの企業が相次いだ。海外投資家はこうした改革を評価。円安が輸出企業の追い風となり、企業決算が好調であることも材料だ。 

 

今年1月に始まった新たな少額投資非課税制度(NISA)も大きい。株式や投資信託の運用益の非課税枠が広がり、個人投資家の資金が流入した。台湾有事の懸念などから中国への投資が避けられ日本に資金が入っているとの見方もある。 

 

株価が上がれば、上場企業は高い株価で新しい株を発行して市場から多額の資金を調達でき、事業拡大につなげやすい。だが、上場していない中小はこのメリットが少ない。大手自動車メーカーに設備機械を納入している大阪市の業者は「今の株価は業績に特段プラスにならない」とこぼす。 

 

個人の場合、多額の株式に投資している富裕層は売却で大きな利益を得られる。保有株の値上がりでお金を使う意欲が強まり、日本全体の消費拡大の追い風にもなる。 

 

だが投資額が少ない個人にはあてはまらない。大阪府吹田市のパート女性(37)は、日経平均に連動する投資信託商品を数万円分、含み益が出た状態で持ち続けているが「利益確定しても臨時収入が多少入る程度。株高といわれてもピンと来ない」と指摘。 

 

「スーパーの食品は値上がりしているのに家計の収入は数年前からほぼ変わっていない。夫の勤務先は世間でいわれる賃上げとも無縁だ」と苦しさを訴える。賃上げについては、内閣府の1月の調査でも「株価は伸びているが、物価の上昇に賃金が追い付いていないため、景気が良くなっている実感はない」(東北の通信会社の営業担当者)といった声が出た。 

 

今後は中小からの納入品価格などへのコスト分の上乗せ(価格転嫁)を大企業が認めるなどして中小の業績を改善させ、賃上げにつなげることが必要となる。政府も価格転嫁の監視や支援を確実に行うことが求められる。(井上浩平、黒川信雄) 

 

 

 
 

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