( 140863 ) 2024/02/19 14:31:03 0 00 パワハラ上司が巧妙に仕掛けてくる陰湿な3つの攻撃とは?(写真:mits/PIXTA)
「人間の悩みは、すべて対人関係の悩みである」 と心理学者のアドラーが考えたように、ほぼ全ての人が人間関係で悩んだ経験があるはず。 元お笑い芸人である中北朋宏氏は、芸人引退後に未経験でコンサル業界に転職し、「笑いの技術」を駆使して3年で売り上げナンバーワンに。 その後、起業して株式会社俺を設立。現在は心理的安全性や営業力を向上させる独自のノウハウ「コメディケーション」を260社、2万6000人以上に提供している。
【簡単にわかる】陰湿上司の攻撃パターンとその対処法
最新刊『おもしろい人が無意識にしている 神雑談力』では、中北氏がこれまでの経験やお笑い芸人として培った技術を駆使した「人を動かすコミュニケーション術」を網羅。
以下では、その中北氏が「陰湿な上司への対策」について解説します。
■増える「巧妙」なパワハラ
以前の記事【「パワハラ禁止のはずが…」“陰湿な職場”急増の訳】では「心理的安全性の重要性」が悪い方向へ働いてしまい、キャリアの安全性が保証されていない「ゆるい職場」が生まれてしまっていることについて書きました。
「ゆるい職場」とは心理的安全性(≒居心地の良さ)は確保されているものの、キャリアの安全性を感じることができない職場のことです。
これに気づいた優秀な若手から組織を抜けるということが起き始めています。
そうなってくると上層部は、結局は心理的安全性(≒居心地の良さ)だけではダメ、「成長のためには厳しい指導も必要」となり、ネジを締め直すように、キャリアの安全性を担保するために厳しさを復活させようと試みる会社も増えてきています。
このような背景から、いきなりパワハラと受け取られてしまうような強い指導はできないので、部下に対する嫌味をフィードバックの中に巧妙に入れてしまっている陰湿な上司が増えてきています。
実際に私が人事コンサルとして携わる組織も、ここ数年で今までのような明らかに顕在化している問題(パワハラ、ロジハラ)より、巧妙に隠れている潜在化された問題(陰湿さ)が増えてきました。
このような陰湿上司は、一見「ちゃんとした上司」という評価を受けているため、陰湿なフィードバックを受けたとしても、部下は「自分が悪かった」と自責の思考を持ってしまいがちです。
何度も、巧妙な陰湿フィードバックを受けると、やがて部下の自己肯定感や、仕事への自信は下がり続け、メンタル不全に陥るケースもあります。
今回の記事では、「陰湿上司がやりがちな3大陰湿攻撃を知り、それからどう自分を守るのか?」について紹介したいと思います。
自分の上司が「陰湿かどうか」の判断をするために学んでいきましょう。
■絶対NG! 陰湿上司がやりがちな3大攻撃
【陰湿攻撃①】「1つのミス」を「100の火力」で責める
仕事をしていたらミスをしてしまうことは誰にでもあります。
もちろんないに越したことはありませんが、ミスをしたこと自体は悪いことではなく、「そのミスをどう取り返していくか?」でビジネスパーソンの真価が問われるものです。
一方で、その1つのミスにつけ込んでネチネチとフィードバックにしてくる上司には注意です。
フィードバックという指摘を伝える場から、ネチネチと日頃の怒りを伝える場になっている可能性があります。
ひとつの見極めポイントはフィードバックをする時間です。
10分以上のフィードバックには注意 10分以上、フィードバックをしてくる上司は怒りに感情を任せている可能性があります。
具体的には「お前って前からさあ……」「今回、全力出してないよね」などのそのミス以外の過去のミスや人格批判などをしてきたら、要注意です。
こちら側へ異常に質問を投げかけてくる陰湿上司にも注意しましょう。
■弱みを引き出すように質問してくる上司に注意
【陰湿攻撃②】「答え」を誘導して責める 「なぜ、今回結果が出なかったか、わかる?」「自分で全力を出してやったと実感してる?」など、部下の言うことを聞く姿勢を見せつつも、基本的には自分の欲しい回答を言ってくれるのを待っているだけです。
昨今ビジネス界でも「ビジネスコーチング」や「傾聴力」などが話題ですが、このタイプはこれらの領域を表層的に軽くかじっている場合が多いです。
私はこのような陰湿上司の動きを、「誘導コーチング」「誘導傾聴力」と呼んでいます。
本来のコーチングや傾聴力とは真逆の行いをしているのにそれに気づいていないことが多く、かなり厄介です。
ひとつの見極めポイントとしては、下記のように想定とは違う返しやあえてとんちんかんなことをぶつけてみることです。
上司:「なぜ、今回結果出なかったかわかる? (攻める理由・弱点を引き出したい)」 回答例:「そこなんです。私も、本当に理由が知りたいです」 上司:「全力出してやったと思っているの? (「いいえ」を引き出したい)」
回答例:「全力かはわかりませんが、気づいたら朝になっているほど集中していました」 無理に自分の意見や自分のロジックへ修正しようとしたら「クロ」ですので、注意して距離を置きましょう。
【陰湿攻撃③】「名言」を引用する 最後はやたらと「名言」を引用する上司です。
例としては「“仁義を通せ”と〇〇さんも言ってる」などとフィードバックの際に、ビジネス界の重鎮やエリートが自分の本の中やインタビューで使っている言葉をフィードバックで多用してくる上司にも注意です。
もちろん、ちゃんとフィードバックに適した場合の引用は問題ありませんが、引用を多用するときは、実は自分の主張やワガママを通すために、名言を都合よく解釈して、隠れ蓑にして陰湿化している可能性があります。
例えば、「仁義を通せ」という話をしてくるけど、よくよく話を紐解いていくと、「おれに話を通してからにしろ」という実に女々しいパターンもあります(もちろん本当に上司に話を通したほうがいいケースもあります)。
何に対してのフィードバックなのか、ロジックが飛躍してないか、しっかり見極める必要があります。
私はいちビジネスパーソンとしても、プロの人事コンサルタントとしても、基本的にこのような陰湿な攻撃をする上司からは逃げていい、関わらなくていいというスタンスでいます。
せっかくなので、少し私の話をさせてください。
■「陰湿上司」に、どう対応すればいい?
私も同じように私のことを雑に扱い、立場を利用して陰湿な行動をしてくるいわゆる「苦手な人」に悩んでいました。
ただ、あることに気づきました。
私は、「相手に嫌われることを恐れていました」が、私にも「相手を嫌う権利がある」ということです。
そこに気づいた日から私は、苦手なAさんに対して3つのことをやめることにしました。
【やめたこと①】愛想笑いをすること 場を和ますためにヘラヘラとすることを一切やめました。むしろ、Aさんがこちらに向けているのと同等の表情をすることにしました。
【やめたこと②】業務以外の雑談をすること
業務に必要ではないことは一切話すのをやめました。
端的に要点だけを話し結論が出たらすぐにその場を去るようにしました。
【やめたこと③】フィードバックをちゃんと聞くこと 今まではフィードバックに対してメモなどをしていましたが、一切やめて「ありがとうございます」という言葉だけとし、 何を言われても「ありがとうございます」の一点張りで右から左へと受け流しました。
この3つを実施し続けたことで、苦手なAさんに2段階の変化が表れました。
まず1段階目の変化は、フィードバックへの「ありがとうございます」の言葉に対して、Aさんから「話聞いてる?」という追及するようなフィードバックがあるようになりました。 そのフィードバックに対しても「ありがとうございます」と返し続けました。
Aさんはイライラしている様子でしたが、完全に無視し続けてみました。 なぜならば、私にも「Aさんを嫌う権利がある」からです。
すると、2段階目の変化が訪れました。
今までこちらの様子を窺うことは一度もなかったのですが、Aさんから「機嫌が悪いのか?」「何かした?」というような私への気遣いの言葉が増えるようになりました。
その後、月日が経ち……、実はAさんとは今でも非常に仲の良いビジネスパートナーとなっています。
という噓臭い話にはならず、雑談をする程度には回復しましたが、 完全に疎遠です。
人間関係なんてそんなものです。
そんな陰湿な人にあなたの重要な人生を使う意味も必要もありません。
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