( 140883 ) 2024/02/19 14:46:24 0 00 野村証券のトレーディングフロア。同社トレーディング・サービス部の柏原悟志担当部長によると、フロア内でも高値更新への期待感が高まっているという(撮影:尾形文繁)
バブル時につけた最高値がいよいよ射程圏に入った。
東証プライム市場上場の225銘柄を選定し、その株価を使って算出する日経平均株価指数。終値での史上最高値3万8915円は、1989年12月29日につけた。
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それから34年余り。2月16日の場中に、日経平均は一時3万8865円にまで上昇した。
「今まで経験したことのないような盛り上がりを感じている。『歴史的な瞬間に立ち会えるかもしれない。わくわくするよね』とフロアの中で話している」
東京・大手町にある野村証券のトレーディングフロア。その前で同社トレーディング・サービス部の柏原悟志担当部長が、報道陣の取材に期待感を述べた。
■日経平均に高値警戒感はない
日経平均の2月16日の終値は3万8487円。1月4日の初値は3万3193円だったため、1カ月半で約16%も上昇した計算となる。ただ、高値警戒感は薄い。
「日本企業の体力や稼ぐ力はかつてと異なる。高所恐怖症のような感覚は正直ない。むしろ海外投資家は日本株を安いと思って買ってきている」と、柏原氏は話す。
大和証券グループ本社の松井敏浩副社長も過熱感は少ないと語る。1985年入社の松井氏はバブルを肌感覚で知っている。
「1989年は熱狂の中でつけた高値。多くの人が『買えば上がる』という買い方をしていた。非常に危うい上がり方だった。今は利益に対して適正なバリュエーションで買ってこの株価なので、当時と比べて落ち着いている」
松井氏は、全体として好調な企業利益と株主還元姿勢の強まりが海外投資家の日本株評価を改めさせたとみる。「低バリュエーション(本来の企業価値より株価が割安な状態)が見直されるきっかけが集中した」ことが株高の原動力というわけだ。
「最高値更新は時間の問題」。2月19日の週に更新してもおかしくないと、大和の本社に詰めかけたメディアを前に語った。
■46銘柄が年初から株価下落
日経平均が歴史的な節目を迎えようとする中、その構成銘柄すべてが上昇しているわけではない。225銘柄の年初来騰落率を出した結果、46銘柄が株価を下げていた。
下落率の大きい順に並べたのが下の表だ。1位のあおぞら銀行の下落率は33%。アメリカのオフィス向け融資で多額の引当金を計上、15年ぶりの最終赤字に転落すると2月1日に発表したことで失望売りを浴びた(詳細はこちら)。
(※外部配信先では表の画像を全部閲覧できない場合があります。その際は「東洋経済オンライン」内でお読みください)
一方で年初来の上昇率をみると、225の構成銘柄で1位となったのはSCREENホールディングスだった。
年初に1万1200円だった同社の株価は1万8780円に上がった。半導体の製造工程で細かなゴミを取り除く洗浄装置を主に生産する企業だ。
■上昇率上位の顔ぶれは今後変わる?
「史上最高値は目標というより通過点」(野村の柏原氏)。実際、証券大手は今年の日経平均の予想レンジを上方修正している。大和は年末の予想値を4万3000円に引き上げた。
特定の業種や銘柄からほかの業種・銘柄へと買いの動きが移っていくことを「循環物色」という。これまでは半導体関連を中心に買いが集まったと指摘されるが、市場関係者は循環物色が進み、幅広い銘柄が上がることを期待している。
日経平均が無事に4万円台に到達した際には、上昇率上位の顔ぶれが変わるかもしれない。
緒方 欽一 :東洋経済 記者
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