( 142298 ) 2024/02/23 22:46:00 0 00 岸田文雄首相
【ニュース裏表 平井文夫】
昨年1月4日発行の本紙に「今年を占う初夢2023」という記事を書いた。初夢に見立てた予測なのだが、その中に「岸田文雄首相は増税でつまずき、解散総選挙で過半数割れ、日本維新の会、国民民主党と連立を組む」と書いている。これが1年遅れで現実になるかもしれない。
【アンケート結果】岸田首相にいつまで続けてほしいか
先週も書いたが岸田文雄首相は9月の自民党総裁選再選に向け、4月か6月の解散をうかがっている。日経平均株価が4万円を超え、実質賃金もプラスになり、所得税減税も行った6月の国会会期末というのが本命だ。
だが、その前の衆院3補選(4月28日投開票)が鬼門だ。3連敗したら退陣もあり得るので、「いっそ3補選に合わせて衆院を解散してしまえば、『政権選択の選挙』となりそれほど大きく負けない、という判断をするのではないか」というのが筆者の読みである。立憲民主党の泉健太代表は、これを「やけくそ解散」と呼んで警戒している。
だが、週末の世論調査結果は厳しいものだった。
FNN(フジニュースネットワーク)・産経新聞(17、18日調査)の内閣支持率は、前月比5・2ポイント下落して22・4%だった。自民党の政党支持率も下落し、その分、立憲民主党、共産党、国民民主党が上がっているのも自民党にとってはイヤな感じだ。
同時期に他社も調査したが、永田町で話題になっているのは毎日新聞の数字だ。内閣支持率は7ポイント減で14%にまで落ち込み、政党支持率は16%で立憲民主党に並ばれ、日本維新の会も13%で急追している。
毎日新聞は他社と調査方法が違うので比較しにくいが、それでも内閣支持率と政党支持率を足した「青木率」(=青木幹雄元官房長官が提唱した、内閣の安定度を示す経験則。『50』を割り込むと、政権運営は程なく行き詰まる)は「30」となり、政権はすでに詰んでいる。「選挙をしても与党で過半数は取れない」という数字だ。
それでも、岸田首相が解散総選挙を断行して、もし過半数割れしたら、日本維新の会か国民民主党を連立に入れるしかない。国民民主党は衆院7人しかいないため、日本維新の会(衆院41人)との連立の可能性が高いのではないか。
理屈で考えると、自民党にとってそんな怖いことが起こるかもしれないのなら、解散総選挙などやめた方がいい。そして、岸田首相を自民党総裁に再選させ、衆院任期の再来年10月までの1年8カ月、選挙をせずにひたすら政策実現を目指す方が「政権の責任」という意味では正しいのだろう。よく言われる、「黄金の〇年」というやつだ。そのうち支持率も上がるかもしれない。
筆者も賛成だ。岸田首相本人には、その気持ちもあるらしい。だが、歴史を見ると解散する力のない首相は必ずレームダック(死に体)になり、相手にされなくなる。結果的に政策の実現はできない。
「黄金の〇年」というのは存在しない夢の世界なのだ。岸田首相は生き残りたいなら、リスクがあってもどこかで解散しなければならない。 (フジテレビ上席解説委員・平井文夫)
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