( 142376 )  2024/02/24 00:11:15  
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日経平均株価が34年ぶりに史上最高値を更新し、好景気が続いているように見えるが、実際には物価高に見合う賃上げがなく、市民には好景気の実感がないとの指摘がある。

バブル時代を経験した人たちも、現在の状況に疑問を持つ声が挙がっている。

企業トップたちの反応も様々で、実体経済の活気や賃金の問題を指摘する意見もある。

国内企業の賃上げにつながるかは不透明であり、実際の賃上げ実績は低いとの見方がある。

(要約)

( 142378 )  2024/02/24 00:11:15  
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読売新聞 

 

 バブル経済崩壊以降、長らく低迷していた日経平均株価が22日、34年ぶりに史上最高値を更新した。だが、歴史的な物価高が続いているうえ、それに見合う賃上げは実現されておらず、市民からは「好景気の実感はない」との声が漏れる。 

 

 この日午後8時頃、九州最大の歓楽街、福岡市・中洲は、雨のせいもあってか、連休前にもかかわらず客の姿はまばらだった。 

 

 中洲で生まれ育ち、自治組織「中洲町連合会」会長を務める南原茂さん(70)にとっても、バブルの熱狂は格別だった。通りは会社の費用で飲食の接待をする「社用族」であふれ、多くの店が潤った。 

 

 バブルははじけ、社用族はめっきり減った。それでも、朝まで飲み明かす客でにぎわったが、新型コロナ禍が直撃。「コロナが明けた今も、客の多くは午前0時前に解散する」と話す。 

 

 今、通りに目立つのは訪日観光客の姿。南原さんは「バブルのような時代はもう訪れないのではないか」と語った。 

 

 史上最高値への企業トップたちの反応は様々だ。 

 

 琉球銀行(那覇市)の次期頭取に内定した島袋健・代表取締役専務(60)はこの日の記者会見で「日本経済が海外から注目されているのは間違いなく、(株価が)さらに高くなるのかどうか、今後見極める必要がある」と述べた。 

 

 JR九州(福岡市)の古宮洋二社長(61)も記者会見で、「株価だけでなく、世の中全体の活気や人の動きが活発になって実体経済を伴うことが望ましい」と期待を込めた。 

 

 一方、福岡県中小企業家同友会の代表理事で、水処理施設関連事業を展開する「コースイ」(福岡県飯塚市)の鶴田和寿会長(71)は「地場の中小企業で本当に業績が良い企業はごくわずかだ。(日経平均株価は)中小の状態を示す指標ではない」と話した。 

 

 好調な株価上昇が、国内企業の十分な賃上げにつながるかは不透明だ。 

 

 信用調査会社「東京商工リサーチ」が今月上旬に行ったインターネット調査では、2024年度に賃上げを「実施する」と回答した企業の割合は85・6%となり、調査を開始した16年度以降で最高となった。ただ、連合が掲げる「5%以上」の賃上げを実施する企業は25・9%にとどまり、前年度から10・4ポイント低下している。 

 

 午後6時頃、福岡市博多区のスーパーで買い物をした会社員(60)は「バブル期は給料が右肩上がりだった」と振り返り、「今は給料は上がらず物価は上がって、最高値の恩恵は感じない。数字だけが踊っているように見える」と厳しい表情を浮かべた。 

 

 

 
 

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